東北楽天ゴールデンイーグルスの2023シーズンを振り返る

オリックスが独走して優勝を決めたのとは裏腹に、最後の最後までもつれたのがクライマックスシリーズの切符を巡る2~3位争い。
楽天イーグルスは最終戦を残して3位まで0.5ゲーム差の4位。10月10日のロッテ戦にて、勝てば3位、負ければ4位となっていました。ついでに勝敗数タイなので、勝てば貯金、負ければ借金となります。
試合結果は今シーズンの悪かったところが出きったかのような完敗で4位が決定しました。
結果的には首位から落ちていって借金2となった昨季と同じ順位なのですが、一年を通してみたら真逆でしたよね。

3~5月は日本ハム、途中から西武も加わってBクラスで最下位争い。6月も5位と6位を行ったり来たりの状態。
なにせ打線の冷え込み具合は半端なかったです。主力がそろって不調。おまけに去年活躍したセットアッパー西口投手が不調だったので、リードを保っていても終盤に逆転される試合が何度もありました。
大型連敗こそないものの、連勝もなく、負けて勝って負けての繰り返し。いつの間にか借金が膨らんで、最大13に達していました。
いくら投高打低とはいえ、打率2割台前半と1割台が占めるスタメン。捕手の打率が一番いい時があったくらいでした。

それが交流戦の頃から打線が復調してきました。ちょうど打撃コーチの配置転換(今江コーチが二軍から一軍へ)も功を奏したようです。
交流戦を五分の成績で収め、7月は8連勝を含む勝ち越しで借金は半分に減り、日本ハムと入れ替わるように4位に上がりました。

ただ、シーズン後半に入ると順位の差が広がっていて、Aクラスへの道は遠かったですね。
8月は五分の成績。9月に入ると調子を取り戻して勝ち越し。さらに上位のソフトバンク・ロッテに負けが込み始めてAクラスに迫ります。このあたりから混戦が始まったと言えましょうか。
イーグルスの借金も返済間近。9月下旬の10連戦で勝ち越して、ようやく10/1に同率2位になりました。長い道のりでした。
このままAクラスを維持できていればよかったのですが、ソフトバンクとのビジター2連戦で連敗したのが痛かったですね。すぐに4位に逆戻り。2年連続でAクラス=CS行きは叶いませんでした。


楽天のチーム成績

2021 2022 2023
順位 3位 4位 4位
得点 532(4位) 533(2位) 513(2位)
失点 507(3位) 522(4位) 556(6位)
得失点差 +25(3位) +11(4位) -43(6位)
打率 .243(3位) .243(3位) .244(3位)
本塁打 108(5位) 101(3位) 104(2位)
盗塁 45(6位) 97(2位) 102(1位)
防御率 3.40(4位) 3.47(6位) 3.52(6位)

シーズン序盤は本塁打と犠打やエラー絡みでしか点が取れず、タイムリーがなかなか出ませんでした。打率はリーグ最低だったのに、よくぞここまで上がったものです。盗塁数もダントツ1位です。
対照的に防御率・失点の多さ。負ける時は投手陣が崩壊して大敗する試合がよくありました。

去年まで苦しめられた左腕に関しては、一部(オリックス・田嶋投手)を除けば、さほど苦しめられた印象はありません。その代わりに西武・今井投手にはまったく勝てませんでした。
直球が強くて荒れ球の投手を苦手としている印象です。四球は取れても、点に繋がりません。
先発は打ち崩せないけど、投手が代った途端に集中打することもありました。ホームでのサヨナラ勝ちが増えたと思います。*1

バントを失敗しているイメージがありましたが、実は犠打125で1位。代打率.253で1位。チャンスに弱いイメージがありましたが、得点圏打率.254で2位。予想通り四球が490で1位、三振数も937で一番少ない。各打者のしぶとさはありました。
一方で守備と投手の指標は悪いです。去年少なかった失策は増えて72(同率4位)。QS率は46.15%で5位でした。
まさに打高投低のチームであったことが現れていますが、打ちまくったというイメージはないんですよね。単打と四球で塁上はにぎわすものの、併殺(108で最多)でチャンスを潰していたせいです。足があるので3塁打は一番多いのに、2塁打は一番少なかったようです。


楽天の各選手について
まずは先発投手陣。一昨年2人、昨年1人だった二桁勝利はついに出ませんでした。
トップは岸投手で9勝5敗・防御率3.07。チーム唯一の完投完封勝利も収めましたし、最年長ながら一番安定しています。10勝を賭けた最後の試合だけは残念でした。
ルーキー時代から長らく活躍を見せている則本投手(8勝8敗・2.61)。防御率はリーグ5位なのですが、最後の試合で見られたようにエラー絡みの失点や援護の少なさ。試合は作るも不運な印象が強かったです。
田中投手(7勝11枚・4.91)は日本復帰3年目で一番悪かったようです。良い時と悪い時が極端でしたね。悪い時はピンチでことごとく打たれたような。
ドラフト1位ルーキーの荘司投手(5勝3敗・3.36)。前半こそ無援護が多くて初勝利が遠かったものの、1年を通じてよく投げ、勝ち越してくれました。気迫のこもったピッチングが印象的でした。
早川投手(6勝7敗・3.44)。前半は良かったものの、コンデションを崩してローテーションを守れませんでした。

ローテーションには入りきれなかった他の先発投手。
辛島投手(1勝5敗・4.56)は大崩れはしないものの、好投手(今井投手とか)と対戦して援護少なく降りる不運さありましたね。
藤平投手(2勝4敗・4.44)、松井友投手(1勝2敗・3.86)は投手高齢化の中でローテ入りを期待しているので、もう少し伸びて欲しい。
藤井投手(3勝0敗・2.29)は先発だけでなく、終盤中継ぎでも良いピッチングが見られました。

中継ぎ・リリーフ。
シーズン序盤は崩壊気味でしたが、後半はだいぶ安定してきました。ただ、酷使が心配です。去年大活躍だった西口、宮森投手は今季コンデションを崩してしまいました。
安樂投手(3勝2敗10H・3.04)、宋投手(2勝1敗16H・2.89)、酒居投手(5勝3敗20H・2.98)はさすがに安定していましたね。鈴木投手(1勝1敗22H1S・3.30)は球は強いけどコントロールが荒れる時があって若干不安定でした。
高卒3年目の内投手(4勝2敗7H・2.28)は飛躍の年となりました。回またぎの救援もこなしてくれました。
なんといっても途中から勝ちパターンの8回を担ったのがドラフト3位ルーキーの渡辺投手(8勝3敗25H1S・2.40)。終盤は打ち込まれてしまう場面がありましたが、ここまで活躍するとは予想外。来年も引き続き活躍できればいいのですが。
守護神・松井裕樹投手(2勝3敗39S・1.57)はWBCで活躍できなかった悔しさを晴らすかのような仕事ぶりでしたね。2年連続最多セーブと最年少で通算200セーブ到達はお見事。ただし、海外FA権取得なので、来季どうなるか気になります。


次いで野手。なんだかんだで主力は打率2割後半に乗せてきました。
スタメン一番が多かった小深田選手(打率.258・5本・37打点)は初の盗塁王に輝きました。阪神戦での最終回逆転3ランが印象的です。守備(送球)がちょっと不安ですが。
シーズン序盤の不調を見事に戻してきたのが4番・浅村選手(.274・26本・78打点)。見事本塁打王に輝きました。長打だけでなく、軽打も巧かくて、チーム打率トップです。
同じく序盤は振るわなくてスタメンを外れることもあった辰己選手(.263・9本・43打点)ですが、後半は去年を想起するような逆方向の打球が増えましたね。
後半は5番が多かった岡島選手(.266・6本・43打点)。逆方向への長打が多く、勝負強さが光りました。
二度のタイトルホルダーながら、今季絶不調で二軍落ちも経験したのが島内選手(.236・7本・38打点)。復帰後は去年までのような巧打を見せてくれました。もともと波があるのはわかっていましたが、前半は本当に打てなかったですからね。
移籍してようやくパリーグの投手に慣れたのか。8月から調子が上がってきた阿部選手(.255・4本・24打点)。打席で粘りがあるし、右方向への打球が増えましたので、来年はもっと打ってくれると思います。

外国人としてはオープン戦や二軍では絶好調だったのに、怪我を繰り返して一軍で出場できなかったギッテンス選手はもう論外ですね。いくら能力があっても、試合に出られないのでは…。
ということでフランコ選手(.221・12本・23打点)一人だけでした。よく言われているようにNPB投手のレベルが上がった中、外国人バッターでホームラン数の最高は15本ですから、まぁ及第点なのかと思います。三塁守備も悪くないし、慣れてくると三振も減りました。ただ、早打ち凡打が多くて。残留か退団かわかりませんが、できれば残留して来年は豪快な打球を見せて欲しい。

そして今季ブレイク組。
小郷選手(.262・10本・49打点)。去年まで一軍ではあまり打席もらえなかったのですが、島内選手不調の中でチャンスを掴み、見事に開花しました。一時期3番を打っていましたが、終盤は8,9番。この成績の選手が下位にいるのは脅威じゃないでしょうか。
長らく守備代走要員だった村林選手(.256・2本・32打点)のブレイクはファンの誰もが予想していませんでした。楽天が欲しがっていた右打者。まさか彼が出てくるなんてね。守備も安定して、ショート争いを勝ち抜きました。

準スタメン、代打要員としては、鈴木選手(.244・5本・27打点)、伊藤選手(.245・5本・16打点)。山崎選手(.203・2本・19打点)は打線が不調だった春先に唯一といっていいほど頑張ってくれましたが、続かなかったのが残念。
二軍で打率3割後半と無双していた渡辺佳明選手は終盤になってようやく一軍に上がりましたが、まったく打てませんでしたね。


*采配・試合運び、その他
去年も書いたように石井GM体制ではFA・トレード・ドラフトによって戦力の底上げはされてきました。客観的に見て、Aクラスを狙えると思います。
ただし、主力選手の多くが30代なので、若手が伸びてこないとジリ貧になりそうです。
石井氏が監督専任となったのは、チームを支えてきたベテランが力を発揮できるうちに優勝をと思ったんじゃないかなと思います。
イーグルスに限った話じゃないですが、オリックスが強すぎて後塵を拝してしまいましたが。

多くの人がいろんなところでコメントしている通り、石井氏は戦力を整えるために手腕を発揮できるのですが、勝負師としては他球団の監督に劣るような気がするんですよね。甘さがあって非情に徹しきれないといういか。大事な試合で何が何でも勝利を掴もうという執念に乏しい。
また、うまくいった作戦(バントによる得点など)をまた試みようとして、相手に読まれてしまう。相手の裏をかくこと。相手が嫌がることをあまりできないタイプなのかもしれません。逆にイーグルスは裏をかかれたり、嫌な相手をぶつけられて苦戦してきました。作戦的にはがゆい思いをしたものです。

また、選手の好不調による入れ替えも滅多にしない。投手はともかく、野手は本当に入れ替えませんでしたよね。シーズン前半に思い切って投手と打撃のコーチの配置転換を行って効果が出ました。選手も不調だったら二軍で調整させ、二軍で好調な選手を上げる。そのあたりをもっと頻繁にやっていたらと思いました。
やはり、ベテランには甘く、若手には見切りが早い。そんな印象でした。

つい先日、石井氏が監督を辞任し、シニアディレクターに就任するとの報道がありました。
【楽天】監督退任の石井一久氏が取締役シニアディレクターに就任 トレード交渉役など編成面でチーム強化が狙い (スポーツ報知) - Yahoo!ニュース

新たに座るシニアディレクターは、チーム編成面で現場及び球団と連携を取り合い、各方面に様々な助言を送ることに加えて、トレードによる他球団との交渉役や三木谷浩史オーナーと球団との窓口のような役割も担うものとみられる。

石井氏はアンチが多くて、楽天球団から去って欲しいとのコメントもありましたが、私としてこういう形で球団に残ってくれたのはありがたいと思います。
問題は誰が次期監督になるか。本当はかつての野村氏・星野氏のような経験豊富な指揮官を迎え入れて体制を立て直したいところ。しかし、外部招聘は難しそうで、内部昇格、今江打撃コーチが最有力とか。
どうなんでしょうねぇ。打撃コーチとして成果を出しているのは確実。しかし、監督としては未知数です。
個人的には今江打撃コーチ留任で、内部ならば三木二軍監督の方が良い気がします。一年間とはいえ一軍監督経験者ですし。さらに二軍は去年優勝しています。
チームとして育成しつつ勝負をかけていくなら、妥当な人選だと思うのですが。


※順位推移や成績などはこちらを参照しました。
スポーツナビ(YAHOO JAPAN!) https://baseball.yahoo.co.jp/npb/
プロ野球Freak https://baseball-freak.com/chart/0.html
Baseball Data House  https://nf3.sakura.ne.jp/Stats/team_etc.htm

*1:私自身、現地観戦で二度あった。

楽天イーグルス対日本ハムファイターズ(2023年9月24日・楽天モバイルパーク宮城)観戦

9/16より始まった10連戦。オリックスとのカードは1勝2敗で負け越したものの、ソフトバンク相手には2連勝。しかし、1試合のみだった西武、日本ハムとのカード初戦を落として2連敗。23日は勝利を収めて、4勝4敗で迎えた24日の試合を観戦してきました。日曜日のデーゲームです。
当日は観戦日和の快晴でした。仙台の最高気温は26度とのことで、やや暑さを感じる程度。日差しは強いですが、先月と比べればだいぶ過ごしやすくなっていました。

今回は3塁側バックネット裏席です。
よく見えるはずなんですが、日差しが強いせいか打球が全然見えませんでした。近くの席の人も言っていたので、私だけでなかったようです。途中で陰ってくると少しは見えるようになりましたけどね。

先発はドラフト一位ルーキーの荘司投手。奇しくも前回現地観戦と同じでした。前回は制球悪く四球連発するも5回1失点に収め、味方も援護もあって勝利を収めました。
その後の試合ではだいぶ制球が良くなって、四球も出さなくなっていました。ついに負け数を上回って4勝3敗。それだけに期待は大きいです。

相手先発は加藤投手。昨季に比べればやや打てるようになったものの、好投手には違いなく、楽天イーグルス打線にとっては難敵と言えるでしょう。

1回表は連続三振に切って取るなど荘司投手は上々の滑り出し。その裏のイーグルスの攻撃は村林選手がいきなりヒット。しかし、小深田選手のショートライナーでゲッツ―を取られ、島内選手も三振。先制ならず。
2回はどちらも無得点。早くも投手戦になりそうな様相でした。
しかし、3回表は二死まできたところで初ヒット。さらに長打を浴びて先制点を許してしまいました。もったいなかったなぁと思いましたね。
今のイーグルス打線ならば追いつけるはず。そう期待していましたが、その後は無得点のまま進みます。イーグルスはヒットは出るものの、二度の盗塁失敗などチャンスを潰してしまいます。ファイターズの田宮捕手は初スタメンなのかな。肩いいですねぇ。
7回の裏、なぜか加藤投手が降りて継投に入ります。球数も少なくて、8回までいくのかと思われましたが。その途端、小深田選手がヒットで出塁。島内選手は倒れますが、浅村選手が同点の二塁打! ようやく打ってくれました。

イーグルスも8回から継投に入ります。渡辺翔太、松井裕樹投手が抑えて9回裏の攻撃。小深田選手の内野ゴロがエラーを誘って出塁。次はここまで無安打の島内選手。3球目を打ち返した打球はライナーでライトスタンドまで飛んでいきました。劇的なサヨナラホームラン! さすが、ここで島内勝利の一打ですよ。スタンドは大盛り上がりです。


ヒーローインタビューはもちろん島内選手。二度のタイトルを得たものの、今季前半は絶不調で打率の2割以下と苦しんでいました。二軍暮らしを経て上がってきてから、ようやく島内選手らしい打撃が見られるようになったのが嬉しい。

残り試合が少なくなっていく中、上位との差が縮まり、イーグルスにとってはCS進出への可能性が高まっていました。*1
好投した荘司投手を援護できず、勝ちがつかなかったのは残念でしたが、こうして勝利を得られたのは大きいですね。ついに3位が目の前にきました。
去年は春先絶好調からの夏から秋にかけて落ちていったシーズンですが、今季は真逆で上がっていく状態なのがファンとしては楽しみです。
シーズン終盤に差し掛かって選手たちも疲労が重いとは思いますが、一つでも順位を上げてもらいたい。その思いで応援していきたいと思います。

*1:10連戦が始まる前まで、2位ロッテとは3ゲーム差、3位ホークスとは2ゲーム差

道造 『貞操逆転世界の童貞辺境領主騎士2』

現代日本から男女の貞操観念が真逆の異世界へ転生し、その世界では珍しい男騎士となった辺境領主ファウスト
彼は第二王女ヴァリエールの初陣を成功させ、反逆者カロリーヌの遺児マルティナを自らの誉れのために助命嘆願し引き取った。
ポリドロ領に帰還し穏やかな日々を送るファウストだったが、またも王都に呼び出され、今度は隣国ヴィレンドルフへ和平交渉の使者として赴くことに。
リーゼンロッテ女王から、和平交渉の成否は「冷血女王」――ヴィレンドルフのカタリナ女王の心を斬れるかどうかにかかってると助言を受けるが……?
貞操が逆転した世界で“誉れ”を貫く男騎士の英雄戦記、待望の第二幕!!

本編が始まる前、ファウストにとっては侵攻してきたヴィレンドルフの軍勢を相手に第一王女アナスタシア、王女相談役のアスターテ公爵と共に戦い、敵の司令官にして英雄たるレッケンベルとのすさまじい一騎打ちの結果、見事討ち取るという大戦果をあげた戦い。
背が高く筋骨隆々のファウストは母国アインハルトでは男性の理想対象から外れているため、陰で嘲笑されまていますが、戦友となったアナスタシアとアスターテ、さらには女王リーゼンロッテからはモテるという現状を招いています(本人はまったく気づいていない)。

さて、1巻に続く2巻は停戦状態にある隣国ヴィレンドルフとの和平交渉が始まります。
ヴィレンドルフの現女王カタリナは幼い頃は感情の起伏に乏しく、何を考えているかわからない子供との評でした。しかし、相談役としてレッケンベルを迎えて教育を受け、長姉を一騎打ちで殺して王座を掴み取ったという人物。
彼女は停戦期限を前にしたアインハルトからの和平交渉を撥ねつけていました。ヴィレンドルフ側が望むのはファウスト
どうしてかというと、アインハルトとは違い、ファウストはヴィレンドルフの女性にとっては理想の男性像。英雄レッケンベルを討ったとはいえ、礼を尽くして遺体を返したのも好印象だったからです。

というわけで、正使は第二王女ヴァリエール、副使ファウストとして和平交渉に臨みます。国境線を越える前にファウストを待っていたのは一騎打ちを所望するヴィレンドルフの女性騎士たちでしたが。
ファウストは一騎打ちを拒むことなく、連戦連勝。99勝無敗で王都入りします。
正使であるはずのヴァリエールは空気と化し、ほぼファウストとカタリナとの会話で交渉が始まります。冷血との異名を取るカタリナの心をいかにして溶かすか。交渉の鍵はそこにかかっているのでした。


本書は異世界転生・貞操逆転という流行り要素を入れながら、骨太な戦記といった内容で人気を博していますね。史実の中世欧州の戦術、宗教、日常的な慣習などをしっかり描かれています。それでいてファウストの周りの女性たちも魅力的で、読んでいて楽しい。
1巻の終わりでファウストが命を救ったマルティナが側付きの騎士見習いとして登場。
子供とは思えない聡明なマルティナが今後絡んでくるのが楽しみです。

さて、今回は敵国(であった)の女王カタリナとの対決?がクライマックスとなります。ここでもファウストの朴訥とした人柄と想いがカタリナを動かすのですよね。
貞操逆転世界の男性ではまず見られないファウストの行動が見ものです。
それから、今後の大きなファクターとして中世欧州世界では避けられない大きな脅威。史実でユーラシア大陸を席捲したモンゴルがこの世界でも存在するわけで。
これを知っているのと知らないとでは大きな違い。唯一の男性騎士という立場でファウストの行動が今後の鍵を握ると言っていいでしょう。

単行本特別収録の外伝は今回も二つ。ファウストの母マリアンヌ視点の感動的な話。彼女はいかにして貴重な男子であるファウストを騎士として鍛えたのか。
もう一つはIFで、カタリナと恋仲となったファウストが自重を辞めて、本能のままに行動したら? ヴィレンドルフ側から見た傾国の美男が積極的に動いたらこうなるよな(笑)って内容です。

楽天イーグルス対ソフトバンクホークス(2023年8月27日・楽天モバイルパーク宮城)観戦

7月好調で最下位から4位に浮上。CS進出が狙える位置まできた東北楽天ゴールデンイーグルスですが、8月は停滞。
打線を引っ張ってきた村林・小郷選手のバットが湿り、浅村選手はヒットは出るもののホームランも8月一本しか出ていません。
その代わりに阿部・島内選手の復調が心強いですね。辰己・岡島選手もいいところで打ってくれています。

8月前半の週は五分の成績でしたが、お盆の週から3連敗を喫するなどカード負け越しが続いてしまいました。このままではCS進出の望みが絶たれてしまう。
そんなわけで25日からホームでのソフトバンクホークス3連戦は重要でした。*1
1戦、2戦ともにサヨナラ勝ち含む1点差で連勝。私は3戦目のチケットを取っていて、今季二度目のホーム観戦となりました。

試合は16時開始。曇り一時雨で気温も30度下回る天気予報だったのですが、到着してみたら見事に晴れて、関東と変わらない暑さでした。グラウンドでは開始前に水を撒いていました。
本日の席は三塁側内野席上段。初めて現地観戦したフィールド席より遠いけど、高い分視界は良好です。

本日のイーグルス先発はドラフト1位ルーキーの荘司康誠投手。好投するも勝ち運に恵まれずにここまで1勝3敗ですが、防御率3点台前半でローテを守っているわけで、ルーキーとしては充分ではないでしょうか。



相手先発はこちらもルーキー左腕の松本晴投手。一軍の先発としては初登板らしいです。

初回は荘司投手が完璧に抑えます。その裏、イーグルスの攻撃。先頭の小深田選手がいきなり四球で出塁し、相手にプレッシャーを与えられるかと思いきやダブルプレー。三人で終わってしまいました。
ただ、2回表に先頭四球を許すものの、お返しとばかりにダブルプレー
2回裏は浅村選手の2塁打を皮切りに岡島豪郎選手のしぶいタイムリー! 二死となりますが小深田選手の内野安打で2点目をもぎとります。打線が繋がって2点先制は幸先いいです。

荘司投手は相手打線の早打ち凡打に助けられてはいたんですが、3回はボールを見極められて四球連発。二死まできたのですが、押し出してしまいます。なおも満塁が続きましたが、1点で抑えられてほっとしました。

試合は中盤に入って4回裏。一死から辰己選手がツーベース。太田選手もヒットで繋いでチャンス拡大。ここで一番に戻って小深田選手がまたしてもタイムリー! 2点差に突き放します。満塁となったところで投手交代しますが、流れは変わらず押し出し四球。浅村選手もタイムリーが続いて、この回一挙3点入りました。制球に苦しみながらも抑えていた荘司投手にとって大きな援護点となりましたね。
荘司投手は5回先頭を四球で出すも、柳田・近藤というパ・リーグきっての強打者を連続三振。結局5回1失点に抑えて勝利投手の権利を得ました。

7回裏、一死1塁でフランコ選手の当たりがレフト後逸。3塁突入はきわどいタイミングでしたが、送球が逸れてベンチ前を転々としている間に打ったフランコ選手がホームイン。ランニングホームランかと思いましたが、記録はシングルヒット+2つのエラー。大きなダメ押し点が加わりました。
6回以降は酒居・安樂・宋・鈴木(翔)投手らが無失点で抑えてゲームセット。前2試合で好投した渡辺翔太・松井裕樹投手を温存できたのが大きかったですね。


さて、勝ち試合の楽しみは試合後のセレモニー。ヒーローインタビューは先制打の岡島選手と2勝目をあげた荘司投手が呼ばれました。


荘司投手の2勝目が嬉しかったですね。

これで3連勝でゲーム差2。この3連戦のイーグルスは運が味方についていたのもありますが、投手がよく抑え、相手3番4番に仕事をさせなかったのが大きかったと思います。
これで諦めかけていた3位浮上が現実味を帯びてきました。

前回ホーム観戦(楽天イーグルス対日本ハムファイターズ(2023年4月21日・楽天モバイルパーク宮城)観戦 - 雑葉抄)のような逆転サヨナラ勝ちは滅多に見られるものじゃないので感激も大きいですが、今日のように先発投手が抑え、打線が繋がって勝つ試合をこれからも見たいものです。

*1:24日時点で3位ホークスとは5ゲーム差

横山信義『連合艦隊西進す5-英本土奪回』、『連合艦隊西進す6-北海のラグナロク』

5巻の感想を書いてから投稿するのを長らく忘れていたので、この際だから2巻同時に投稿します。

念願の英国本土奪回作戦に挑む日英合同軍。ドイツは接収した英国艦戦を前面に立てて阻止する構えに。ここに英国艦戦同士の戦いが。

英本土奪還作戦が開始され、まずは日英の機動部隊による航空基地との戦いが繰り広げられました。
ここでモノを言ったのが、現地抵抗組織による輸送網遮断。それに潜水艦による本土からの補給破壊でした。
激しい航空戦が展開されましたが、補給が続かなくなったことでドイツ軍の抵抗は弱まり、連合軍が制空権を得たことで上陸が成功します。
ドイツ軍は上陸したばかりの陸上部隊を叩くため、本土より戦艦部隊を出撃させます。
それを阻止すべく出撃したの戦艦大和・武蔵、そして英軍の戦艦部隊。
ドイツ軍の戦艦は鹵獲したキングジョージⅣ級が主力であったため、奇しくも同じ国で生まれた戦艦同士の戦いとなったのです。

一方、枢軸軍から離脱したイタリアですが、ムッソリーニはドイツ特殊部隊の手により救い出されて政権を樹立したため、南北で分裂して戦うことになっていました。
分離した南側にはアメリカが強力な支援を行います。
今まで中立を保っていたアメリカですが、ドイツがソ連都市に無差別爆撃を行って民間人多数が被害に遭ったのが契機となり、世論は連合軍寄りに傾いた結果、イタリア・ソ連への武器支援に力を入れることになっていました。
一時は欧州で覇権を確立したように見えたドイツでしたが各方面において劣勢となっていく様子が描かれましたね。
イギリス軍は世界各地に根拠地があるとはいえ本土を失っているし、日本軍も欧州への補給はしんどいはず。ほぼアメリカのバックアップありきじゃないでしょうか。
特に主力航空機はほぼ置き換わっていますしね。*1
とはいえ、水上決戦は戦艦同士のぶつかりあい。一方的とはならずに激しい戦闘が描かれて、勝負は僅差となったのが著者らしいところです。

最後にイタリアの軍港で事件が起こりました。戦争も終わりを見据えて起きた感じがしないでもないです。歴史的に同じような事件が起きているので、わかりやすいですね。欧州本土でアメリカ軍介入かな。
そこまで来たら、史実に近い流れになって、面白味に欠ける気がしちゃいます。ただ、ソ連が史実より押されている現状、日英軍だけでドイツ本土に攻め込むのは難しいでしょうし。


英本土奪還へ王手をかけた日英連合軍。だが、ヒトラー総統の死守命令を受けたドイツ軍は、ロンドン周辺地域を固め徹底抗戦の構えを崩さない。
都市の破壊を引き起こす市街戦は避けたい英国政府としては、敵を兵糧攻めにして降伏に追い込むしかないと決断。英本土周辺海域にて、互いの援軍と補給を断たんとする激しい海空戦が繰り返されることとなった。
次々と新兵器を繰り出すドイツ軍は英仏海峡制海権を一気に握ろうとし、これまで温存されてきたドイツ大海艦隊をも出撃させた。必勝を期し、日英連合軍艦隊に最後の決戦を挑んだのである!

英本土に上陸を成功させた日英連合軍は占領地を拡大していきます。最終的には首都ロンドンの奪回です。
しかし、ヒトラーの厳命もあり、在英ドイツ軍はロンドンで守りを固めています。空と海で輸送を継続するドイツ軍との熾烈な戦いが展開されます。
特に難敵は史上初のジェット機であるMe262。アメリカからF6FやF4Uを導入した日本軍ですが、速度差は桁違いで歯が立ちません。強いて言えば航続距離が短いところが弱点です。
海上では通常の輸送艦ではもたないため、軽巡などを改装した高速輸送艦も用いられるようになり、妨害しようとする日英軍とのいたちごっこが続いていました。

しかし、イタリアへ支援に出ていた空母が潜水艦から雷撃を受けた事件*2をきっかけにして、アメリカ世論が沸騰。ついにドイツへの宣戦布告となります。
受けて立ったドイツ軍は潜水艦部隊に米東海岸への出撃を命じ、空母を始めとする多数の艦戦を撃沈させました。
また、英本土死守のため、温存していた大海艦隊が出撃。そこにはビスマルクとティルピッツだけでなく、大和を上回る主砲を持つ巨大戦艦も含まれていたのでした。


連合軍へと戦局が傾いていく中、アメリカ参戦で一気に加速するなぁと思っていました。初戦こそ潜水艦にいいようにやられましたが、対潜経験を積んだ日英と組むわけですし。各国に輸出してなお豊富な戦力を揃えられるくらい物量が桁違いですし。
そんな中、史実では計画のみで終ったH級を元にした化け物戦艦が登場し、大和との激戦。ここが最後の山場ですね。著者の作品で戦艦大和が自艦を上回る戦艦と戦うのは初めてだと思います。ただ、いくらスペックで上回っても、練度が話にならないのでは?というツッコミは野暮でしょうか。
一方でドイツのビスマルク+ティルピッツとイギリスのキング・ジョージ5世級戦艦。ライバルとも言える戦艦同士がガチで叩き合うのも見せ場でした。実際は省略されましたが。

決戦が終った後は一気に終戦まで飛びます。東方戦線でもソ連が押し戻してきた以上、あとは史実と似たような流れですからね。
史実と違うのはB29大9投入でドイツの国力ががた落ちしたようで、ベルリンを制圧したのは英米軍だったというくらい。
この世界では日本は犠牲は大きかったものの、連合軍として勝者に立ちました。大和と武蔵は残存しています。戦後の世界が気になるところですね。軍とか体制は残っても、米資本がだいぶ入ってきそう。
あとがきによると、日独対決という同じテーマの過去作品『蒼海の尖兵』シリーズとの違いを出すために意識されていたようです。
日本海軍が初期にUボートに大打撃を受け、変貌していくという点では確かに違いが出されていましたね。

*1:ドイツも英軍機を積極的に活用しているけど。

*2:真実は明かされていない。ドイツ軍人はアメリカの自作自演だと思っている。

楽天イーグルス対西武ライオンズ(2023年7月22日・ベルーナドーム)観戦

借金最大13まで膨れ上がって最下位に落ちていた東北楽天ゴールデンイーグルス。投手陣も良くなかったですが、なかなか勝ちに繋がらなかった最大の原因は打線の冷え込みでした。
それが交流戦を機に打線の調子が上向きとなって、五分の成績で終えると、7月からは8連勝を含めた快進撃。
オールスター前までに3位まで5差の4位に上がってきました。3位のソフトバンクホークスが9連敗と絶不調ですし、今後勝ちを重ねていけばAクラス入りが見えてきます。

その後半戦最初の試合は埼玉西武ライオンズとの2連戦。
今季初ビジター観戦ということで、1試合目に行きました。
去年と同じく電車ではなく車で来たのですが、行きに迷ったのと道路が混雑していたのを踏まえて早めに出ました。ナイター(18時開始)でしたが16時過ぎには到着して余裕がありました。

去年初めてベルーナドーム観戦しましたが、外野ビジター席ですと前の方はフェンス支柱が邪魔なんですよね。それで中段あたりの席を取りました。
視界はこんな感じです。ホームが遠いですが仕方ない。

待っている間に軽食を取ったり、試合前の練習風景を見たり。

ゴールデンエンジェルスとbluelegendsの合同パフォーマンスを見たり。

さて、楽天イーグルスと入れ替わるように最下位まで落ちた西武ライオンズでしたが、7月は6連勝で5位に浮上してきましたね。イーグルスとの対戦は試合前で4勝7敗1分。しかも相手先発は2敗している今井投手なんですよね。
イーグルス先発は辛島航投手。試合は作るものの、勝ち星に恵まれていません。ここは打線の奮起に期待したいところ。

いきなり初回は今井投手から三者連続三振を奪われます。辛島投手もランナーは許すも後続を断ち、両チーム無得点のまま序盤が終わりました。
↓これはデジカメのズームをいっぱいにして撮りました。

4回裏は順調にツーアウトを取りますが、四球を与えた後に痛恨のタイムリー2塁打で先制点を奪われます。
不思議なもので、点が入ると試合が動くようです。
5回表にイーグルスは先頭打者の阿部選手がライト前ヒット。辰己選手は当たり損ないの内野ゴロでしたが俊足を活かしてセーフになります。太田選手のバントは三塁への悪送球を呼び、なんと無死満塁の大チャンスを掴むのですよ。
ここでタイムリーが出て一気に逆転といきたいところ。ただ、他チームはいざ知らず、楽天イーグルスって無死満塁で意外に点が入らないんですよね。1点でも入れば御の字なんです。
ここで期待の村林選手。見事にライト前ヒット・・・と思いきや、二塁ランナーがアウト。なんでって思いました。後で知ったのですが、ライナー性の当たりだったので、太田選手のスタートが遅れたためのようです。記録はライトゴロでした。
ただ、阿部選手が生還して、まずは同点。一死一・三塁となりました。せめて犠牲フライか内野ゴロ*1で、もう一点取って欲しい。
ここで楽天ベンチが選んだのはバントでした。
しかし、一度ファールになったのもあって、相手に対応されましたよね。当たりが良すぎたらしく、三塁ランナーが挟まれて本塁帰還ならず。次の小郷選手もファールフライで凡退し、楽天ファンからは大きなため息が漏れました。

5回裏に先頭打者がヒットで出て、バントで二塁へ。ただ、次の打者は内野フライで抑えます。とにかく抑えて欲しいという願いも虚しく、源田選手にタイムリーを打たれて勝ち越しを許してしまいました。
また追いつけばいい。今の楽天ならそれができるはずと応援を続けましたが、チャンスすら掴めません。守る方は辛島投手の後を繋いだリリーフ陣も抑えました。
結局、どちらも点が入らず、1-2のままゲームセット。
なにせ三安打ですからね。打てなきゃどうしようもない。
昨季のビジター観戦は田中将大投手の力投で勝利しましたが、今季は敗北でした。
負けてさっさと球場を後にしたおかげか、渋滞の影響をあまり受けなかったのだけがメリットでしたかね。

サウナとの異名があるくらいのベルーナドーム。去年観戦したのは9月で多少暑さを感じる程度でしたが、今年は一番暑い時期。
埼玉県の最高気温は34度だったかな。やっぱり到着した頃から試合が始まっても蒸し暑かったです。おまけに今年から声出し応援解禁で、外野ビジター席はみんな声を出して応援します。
楽しかったけど、喉が涸れるのもあって、こまめに水分を補給していました。
試合開始して一時間経過した頃からようやく風が入り始めて暑さが和らいできましたね。ただ、勝ちを見たかったです。

*1:足の速い小深田選手なのでゲッツーになりにくい。

穂波了 『月の落とし子』

各国共同の宇宙プロジェクトにて月の裏側に着陸した探査機でしたが、クレーターに向かった乗組員が謎の出血を起こして急死してしまいます。
母船にいて生き残った日本人・工藤晃とロシア人女性・エヴァは仲間の遺体を確保して、地球への帰還を試みます。
しかし、途中でエヴァも同じ症状が出てしまい死亡。たった一人生き残った晃は着陸を許可された日本を目指すのですが……。未知のウイルスによって次々と乗組員が急死したとあって、日本政府が下した決断はミサイルによる撃墜。
しかし、完全に撃破することができず、機体の大部分が残ったまま、船橋市内のマンションに落下してしまうのでした。
多数の死傷者が出たことにより、自衛隊や救急隊が駆けつけます。しかし、致死率の高いウイルス(発見したクレーターの名前を取ってシャクルトン・ウイルスと命名)の感染者が出てしまいました。
政府は感染拡大を阻止するために船橋市は封鎖を決断。現場にいた救助隊含めて市外には出られなくなります。逃げだそうとした者は威嚇射撃するなど、誰一人の例外を許さない断固とした措置でした。
その中には兄のもとへ駆けつけた晃の妹・茉由(JAXA職員)、ウイルスの研究者で茉由に同行した深田もいました。
深田は現地で感染者が次々と亡くなっていく壮絶な光景を目にしながら、ウイルスへの対抗手段を模索するのでした。


本書が刊行されたのが2021年ですから、当然新型コロナの流行は意識されているようですね。
ましてや、出血を伴うエボラに似た致死率の高い未知のウイルス。対処方法などすぐに見つからないとなればパニックも当然です。
誰しも感染を怖れるわけで、船橋市内の完全封鎖に対して、市外の人々は賛意を示すのです。
さらに終盤に政府はウイルスに効くとされる劇薬の散布を強行しようとします。現実にはそこまで断固とした手段は取れないと思いますけど。
深田と茉由の二人を中心として、封鎖内に残された人々の様子が描かれていきます。
絶望的な状況をどうやって切り開いていくか。緊迫感がありました。
ただ、前半は探査機落下を含む緻密な描写が良かったのですが、後半に入ってからはテンポが良くないというか、少し退屈に感じてしまいました。
前半は非現実的な光景が連続しているのにも関わらず惹きつけられたのですけどね。後半の深田から視点は展開を急ぎ過ぎたのか、今一つ伝わりにくかったような気がします。