楽天イーグルス対オリックスバファローズ(2022年5月20日・楽天生命パーク宮城)観戦&仙台半日観光

※今回の記事は長めです。

去年、初めて楽天生命パーク宮城で観戦した記事を書きました。
https://goldwell.hatenablog.com/entry/2021/10/17/181510
2021年シーズンの楽天イーグルスクライマックスシリーズでも敗退し、結局3位に終りましたね。
イーグルスは春先の好調から一転して後半で失速すると毎年のように取りざたされています。
2022年シーズンもオープン戦から引き続き3,4月は好調。ゴールデンウイークを通して球団新記録の11連勝まで達成。相変わらず春は調子いいなぁ。でも夏になったら失速するんじゃないか。そんな思いも捨てきれませんでした。
でも去年と違うのは西川選手の加入によって一番が固定されたこと。新規加入の外国人助っ人のうち、右の大砲として期待していたギッテンス選手は最初の試合で怪我で離脱*1しましたが、マルモレホス選手はいいところで打ってくれているので、成績より良い印象があります。左打者なのに左投手に強いのも〇。
ただ、連勝ストップ後してから4連敗を含めてカード負け越しが続いています。2位ソフトバンクがいまひとつ勝ち切れていないので、なんとか首位はキープしていますが。

とにかく、セパ交流戦直前のオリックス3連戦のホーム試合初戦を観戦することに決めました。ドームと違って天気が気になりますから、梅雨に入る前に行きたかったのです。
試合前までイーグルスは対オリックス6連勝中。もっとも圧倒しているわけではなく、僅差の試合の方が多いです。昨シーズンのリーグ覇者のオリックスも今季はBクラスに甘んじていて、投手陣は相変わらず安定していますが、野手に離脱者が多いあたりが影響しているのでしょう。

【一日目】

当日の天候は幸いなことに晴れ予報であると安心。今回も埼玉から普通列車を乗り継ぎ、長い時間かけて仙台まで行きました。乗り継ぎ時間諸々合わせて約8時間。お尻が痛くなりました(笑)
去年行った時のように早い展開で3時間程度で終れば最終の新幹線に間に合うでしょうが、今季は延長が復活して最長12回まであります。だから一泊予定にしました。
前は3塁側内野席でも前の方でしたが、今回は少し奮発してバックネット裏の中間くらい席です。やや距離はありますが、球場全体を見渡せるので試合状況を見るにはちょうど良い位置でした。

本日の先発は瀧中投手。2年目の昨シーズンは二桁勝利を達成。今季も防御率2点台で内容自体は悪くないのですが、勝ち星に恵まれていません。相手先発は田嶋投手。イーグルスが苦手とする左腕ですが、過去2試合では勝っています。内容は良いのに白星に恵まれない投手同士の投げ合いとなりました。

ちなみにこの日はFan's MATCHということで、イーグルスの選手は紺色のFan'sユニフォームを着用していました。オリックスのビジターユニフォームも紺色に近いので、フィールド上ではどっちのチームかわかりづらいという難点があったり。

試合は序盤から点が入らず進みます。イーグルスは初回に二死2,3塁のチャンスを得るもあえなく凡退。オリックスも2回表に二死2,3塁としましたが瀧中投手が踏ん張りました。
イーグルスは2回裏にも無死1,2塁とチャンスメークしますが、後続が凡退。早くも残塁祭りになりそうな予感がします。
その予感は悪い形で的中。3回表ツーアウトまでこぎつけたところで大城選手に一発を浴びてしまいました。まだソロだったから幸いといえましょうか。
中盤に入り、4回裏に四球・ヒット・死球で無死満塁という絶好のチャンスが訪れます。
外野フライ、悪くてもゲッツ―で同点。ワンヒットで逆転と期待するのは当たり前ですよね。まさか1点も入らないとは思いませんよね……。
なんと後続は浅いフライ、三振、ファーストゴロで無得点。観客席は重い溜息に包まれました。

後から思えば、3連戦通じて打撃絶不調で決定力不足(ヒットや四死球は出るが点に結びつかない)にすでに陥っていたとしか思えません。
6回までに瀧中投手が失ったのはソロホームランの1点のみ。QS(クオリティスタート)達成で、充分褒められるべき内容でした。中継ぎ陣も0点に抑えていました。
今季調子が悪くて失点を重ねていた西口投手が7回を完璧に抑えたのが嬉しかったです。

問題はやはり打撃陣ですね。両チーム同じ8安打でしたし、四球は選べる。なのにホームが遠い。こういう時にソロでもいいから主軸の一発が出れば嫌な雰囲気を振り払えるのに。
結局、0-1の敗戦。なんとも悔しい結果となりました。
前回観戦した時にはホームランを打ってくれた島内選手も2安打したものの、点に絡むことはなく。

私が観戦した時はどちらも瀧中投手が粘り強く投げるも、相手先発投手の方が上回り(イーグルスも打てず)惜敗する流れ。せっかく観戦するからには目の前で勝利を見届けて、ヒーローインタビューを見たいですよ。わざわざ遠くから来ているんですから。

そんなわけで悔しい結果となりましたが、バックネット裏での簡単な感想です。
テレビ中継とは逆方向でピッチャーが一球一球投げる様子が新鮮。もちろんキャッチャー・球審の背後ですが、打者の動きがよくわかります。内野に打球が飛んだ際の動きも一目瞭然。クリーンヒットの時はバットの芯に当たる音がよく響きました。
これが外野フライがどこまで飛ぶのか目で追うのは難しいです。特に薄暮の時間帯ではでは本当に球が消えます。風もある中で捕れる外野手はすごい。
あと、高い位置までネットが張られているので、基本的にファウルボールは落ちてきません。まぁ、人気があるので満員状態です。人数制限が撤廃されて2万人近くが来場したのでかなり賑やかでした。

去年観戦した時は新幹線の時間があったので、どこにも寄らずにシャトルバスに乗って帰りましたが、今回は余裕があったのでイーグルスショップに寄ることにしました。
実は今年からチームイーグルス(ライトグレード)に加入したこともあり、来場プレゼントをいろいろともらっていたんですよね。
ヒーロータオル(ランダム)は太田光捕手でした。今日は出場しなかったので出番なし。
さらにチームイーグルスの応援バット。すでに一組購入してあるので、いつか妻と一緒に観戦する時に使いたい。
そしてFan's MATCHの日限定のビニールバッグ。リュックに入りきらなくなってきた応援グッズを入れるのに最適でした。さらにチームイーグルスのガラポンで当たったタオル。

ショップではマイヒーローである島内選手のユニフォームを買ってしまいました。次回はこれを着て応援します!

スタジアムで食べた唐揚げが大きくてあまりお腹が減らなかったので、夕飯は軽くマックで済ませてその晩は広瀬通駅近くのカプセルホテルに泊まりました。

【二日目】

学生時代は北は函館、南は高知まで電車で一人旅した私ですが、結婚してから仕事を除いて泊りがけの一人旅は初めて。
仙台まで来たところでどこに行くか。歴史好きでかつてあちこちの城にも行ったので、まず浮かんだのは仙台城(またの名を青葉城)でした。
仙台観光情報サイト 仙台城跡
独眼竜政宗こと、仙台初代藩主・伊達政宗が築いた平山城として有名です。もともと天守は存在せず、本丸御殿が代わりとなっていましたが、跡地が残っているだけで現存はしていません。
仙台駅からは地下鉄東西線の国際センター駅で下車徒歩10分くらいで仙台城址へのスタート地点に行けます。

本丸御殿跡まで徒歩では二つのルートがありますが、今年3月の地震の影響で大手門ルートは封鎖中。巽門ルートからしか行けません。

巽門ルートは築城当時からの防衛を意識した作りなので、カーブが続く上り坂で傾斜がきついです。時間的には15分ほどでしたが、晴れて暑かったので汗だくになって登りました。



本丸が近づいてくると、立派な石垣がそびえたっているのが目を引きました。


一部地震で崩れています。

本丸御殿跡まで登れば見晴らし良く、仙台の街並みがよく見えました。広瀬川が内堀の役目をはたしていたのだとわかります。


こちらは本丸大広間跡の遺構。

無料で入れる見聞館は小さいですが、資料がわかりやすくまとめてありました。

敷地内に馬上の政宗像が立っているのですが、これも地震で損壊したために覆われて目にすることはできませんでした。

すぐ近くに青葉城本丸会館(https://honmarukaikan.com/)があって、フードコートやお土産売り場など充実した施設となっています。*2
せっかくなので青葉城資料展示館に入ってみました。

有料(大人700円)だけあって、見聞館よりも資料が充実していましたね。CGシアターで伊達政宗と在りし日の仙台城の物語が観られました。ナレーターが若本規夫であったことに驚きましたよ。

1時間半ほど仙台城址を堪能した後は地下鉄東西線に乗って仙台駅に戻りました。元気があれば違う場所を見ても良かったのですが、在宅勤務が2年以上続いていて運動不足だったこともあり、足が疲れてしまいました。
あとは食事。せっかくなので牛タン料理を食べたい。でもどこに行けばいいのか。とにかく駅付近よりも繁華街がいいかなぁと出てみた先のパルコで牛たん炭焼 利久を見つけました。

牛タン定食1800円(税別)。仙台に来て一番豪勢な食事でした。そのへんの焼き肉屋で出るような牛タンとは厚みが違いますね。

実は当日券を購入してまた観戦するか、ちょっと迷ったんですよね。予告先発楽天:早川、オリックス:山本。手に汗を握る投手戦が予想されました。
ただ、帰りも普通電車を予定していたので、最後まで観たらかなり遅くなると思って諦めました。その代りに電車内でスポーツナビのアプリで経過を見ていたのですが……0-6の惨敗だったので観なくて良かったのかもしれないです。

結局、楽天イーグルスオリックス3連敗で終わりました。石井監督のコメントにあった通りチーム状態はかなり悪いようですが、交流戦をきっかけに持ち直して欲しいものですね。まだ息切れするには早すぎますから。

*1:去年のカスティーヨの悪夢再来かと。

*2:新型コロナウィルス流行につき、フードコートは休止中。

不手折歌 『亡びの国の征服者5 魔王は世界を征服するようです』

家族の愛を知らぬまま死に、二つの人類――シャン人とクラ人が生存競争を繰り広げる世界に転生した少年ユーリ。
クラ人の“十字軍"による隣国キルヒナ王国への侵攻を受け、彼は騎士院の生徒からなる部隊を率いて前線へと視察に赴いた。
王鷲による上空からの視察に危険は無いはずだったが、急襲してきた竜騎士と相討つ形でユーリとキャロルは墜落。
孤立無援の戦地で負傷したキャロルを背負い、ユーリは安全圏を目指すことに。
そして追手の一団をからくも撃退した夜、キャロルはユーリに想いを告げるのだった。
墜落から十日間以上かけて、どうにか拠点に使用していた村にたどり着いた二人。
そこに残されていたミャロからのメッセージを元に、ユーリは一計を案じ……?

前巻から続く敵中からの逃避行。甘い雰囲気で朝を迎えたと思いきや、2人を追ってきた敵の隊長カンカーとの壮烈な戦いで幕を上げます。双方負傷を抱えた中での死闘の末、なんとか勝利を収めたユーリはたちはその場を発ち、無事に前線基地としていた村に辿り着きます。
今度の戦争はシャン人の敗勢濃厚となっていて、すでに仲間たちは撤退した後。しかし、ミャロの手紙が残されていて、ある準備が整えられていることを知ったユーリは一計を案じます。
それは敵の偵察隊をおびき寄せて倒し、馬を得ること。
首尾よく偵察隊を屋敷内におびき寄せた後に地下にあった火薬を爆発させます。奪った馬を駆って、ようやくリフォルム城への生還を果たすのでした。
とはいえ、王都リフォルムにも遠くないうちに敵の大軍が来襲するのは確実。自身の部隊を率いてシャルタ王国へ帰るユーリに対して、キルヒナ王国女王から依頼を受けます。それは王女と若い兵300、それに避難民約1000人をシャルタ王国へ連れていくこと。
確実に時間がかかることを承知の上でユーリは依頼を受けたのでした
一方で十字軍側では脱走者によって竜殺しユーリとシャルタ王国王女キャロルを逃してしまい、リフォルムから出発したことを知ります。情報を入手したアンジェリカは仲の悪い兄帝ではなく教皇領の騎士団を率いる大司馬エピタフを頼ります。エピタフは船を使って河口から上陸して追うことを決定。かくしてユーリは執拗に追ってくる十字軍との最後の戦いに備えるのでした。

劣勢な中で工夫を凝らした戦い。*1迫力のある戦闘描写。キャロルはもちろんのこと、ミャロやドッラといった仲間たちとのやりとり。Webで一度読んでいるにも関わらず、先がどうなるか気になりながら読めました。
吊り橋効果もあったのかもしれませんが、厳しい逃避行の中で助け合いながら危機を脱したユーリとキャロルが結ばれた4~5巻は本当に読み応えありましたね。
ユーリ自身は転生者で中身は冷めていますが、この世界では武名を轟かせているあたりが面白い。敵方からすると後の魔王の片鱗がすで現れていると言っていいのかな。
とにかく、作品全体からするとようやく序章を終えようとしているところです。
クラ人国家のうち片方が滅亡しようとしているところで、残るシャルタ王国が十字軍に対してどのような対応を取るのか。ただ、魔女と呼ばれる女性特権階級が牛耳る王国の先行きには不安が残ります。まさにタイトル通りの展開に近づいていくんですよね。

*1:クライマックスのズック橋付近の戦闘がわかりやすく加筆されている。

貫井徳郎 『乱反射』

内容(「BOOK」データベースより)
地方都市に住む幼児が、ある事故に巻き込まれる。原因の真相を追う新聞記者の父親が突き止めたのは、誰にでも心当たりのある、小さな罪の連鎖だった。決して法では裁けない「殺人」に、残された家族は沈黙するしかないのか?

父親の入院をきっかけに嫁姑問題に悩む新聞記者・加山聡が主人公で、さらに直接関係ないけれど大勢の人物が登場します。
我が子でさえ直接触れられないほど極度の潔癖症で手袋が欠かせない植木職人。
周囲(特に娘)からの評価を上げたという理由で反対運動に参加する有閑マダム。
下っ端ゆえになにかと押し付けられてうんざりしている市役所勤務の公務員。
定年退職後の家族の態度に不満を持ち、犬を飼い始めた老人。
運転技術が未熟で何度も車をこすってしまうが、家族には気持ちを理解されない女性。
いつも患者のことより自分の自由と責任回避を考えている夜間バイト勤務の医師。
混雑する日中を避け、空いているという理由で夜間緊急外来に風邪で視察を受ける大学生。

いつも混雑している片側一車線の道路があり、渋滞緩和のために拡張工事が計画されていました。用地買収が進んでいたのですが、一軒だけ頑固に立ち退かない老人がいて工事が進められず、市役所の担当は苦労していました。
それがある日突然死。ここから計画が進むかと思いきや、道路脇の街路樹伐採に対し、自然保護を掲げた主婦による反対運動が起きてしまいます。
さらに5年間隔で行われている街路樹点検の年に当たっていて、委託された植木業者が赴いたところ、ある木の根元には犬の糞が溜まって放置されていました。

強風が吹き荒れた日。ある木が突然倒れました。ちょうどそこには義父の見舞いと義母と話し込んでいたために遅くなった中をベビーカーを押しながら帰る聡の妻・光恵がいて、乗っていた息子の健太は頭を打つ重傷を負います。
急ぎ救急車を呼ぶのですが、道路は渋滞中。最寄りの病院に受け入れを要請するも拒否されます。
結局、早期に適切な治療を受けられれば助かったはずの幼い命は失われました。

木が倒れた原因は長らく根元に犬の糞が放置されて*1根腐れしていた可能性。
街路樹点検を担当した植木業者の男性が極度の潔癖症で糞を見た瞬間に拒否反応を起こした。一度伐採反対運動の婦人たちに追い返されている。
救急車が渋滞に嵌ったのは車庫入れの途中で放置された車が道路を塞いでいたため。
夜間緊急外来で拒否されたのは勤務医が内科専門で、適切な治療ができない(責任取れない)と判断したため。さらに風邪程度で若者が大勢来ていたのも理由の一つ。

誰もが「このくらいいいだろう」とわが身可愛さの軽い罪(もしくはマナーやモラルに反する行為)を重ねたことが連鎖反応を起こしたのですが、当事者となって我が子を亡くす羽目になった聡と光恵にとってはたまったものじゃありません。
新聞記者として培った経験を活かして責任追及を目指す聡ですが、はっきりと犯罪(業務上過失)に問えたのは植木業者のみであり、その彼でさえ事情を知ると一方的に責められない歯がゆさを感じます。
聡に詰問された誰もが「自分は悪くない」と言い放ち、謝罪しません。
ちょっとした過ちが幼い命を奪うほどの重大さがあるとは認められないから。それがわかるだけに腹立たしくも追及しきれないもどかしさを感じますね。
ただ、事情を知られて娘に軽蔑された主婦。長年連れ添った妻に嫌悪された老人。といったように多少なりの報いを受ける様子が描かれます。特に事故現場で謝罪しながら免許証を破り捨て、二度と車に乗らないと誓った女性。といったようにその後がわかるのが救いでしょうか。
それでも聡と光恵が長らく苦しむ様子が痛々しかったです。
ある意味、加害者に怒りの矛先を向けられれば、一時的にも悲しみから逃れられるのでしょうが、そうでなければ遺族はなかなか立ち直れないものです。
ある日、聡がゴミを捨てようとして気づきます。「これくらいいいか」という自分勝手な思い込みによる行動は自分を含めて誰にでも経験あるのだと。
登場する一人一人の心理描写や背景まできっちりと書き込まれているのでまったく不自然さはなく、いかにも現実に起こりそうな内容に思えました。
日々報道される事件事故において、善悪がはっきりしているのは少なくて、関わった人々のほんのちょっとした過誤が積み重なって悲劇を起こしているのかもしれないですね。

*1:飼い主である老人は腰痛のためにしゃがむのが辛くて取らなかった。一度注意されたら逆ギレ。

横山信義 『烈火の太洋4-中部ソロモン攻防』

苦闘の末に米太平洋艦隊を撃破した連合艦隊は西太平洋を制圧、ニューギニアラバウルへと前進。海上戦力の激減した米軍は航空兵力を集中しこれに対抗する。
連合艦隊は新型航空機を投入、飛行場攻撃と並行して補給線を脅かす作戦を用い、戦線は膠着状態となった。だが、艦隊の再建を急いだ米艦隊は、反撃の準備をも進めていた。
最初の攻撃目標はラバウルか、ニューギニアか。山本五十六は新鋭戦艦「大和」「武蔵」を以て米戦艦部隊を迎え撃つことを決断した。

前巻に続き、ソロモン海の死闘を描いています。
史実においては昭和17年から18年にかけてガダルカナル島を巡って死闘が続きました。序盤は優勢に立っていた日本軍でしたが、消耗戦に引き込まれてしまい、ただでさえ劣る戦力をすり減らしていったのは周知の通り。
本作においては山本五十六GF長官の強い意向でポートモレスビー攻略やFS作戦は実施されず、ラバウルで守備を固めてそこから先には出ることのない方針です。
史実とは逆に米軍に消耗を強いた上で勝利を重ねて世論に厭戦気分を作らせようという目論みですね。
米軍はソロモン諸島のちょうど真ん中あたりにあるムンダに基地を建設。
そうするとラバウルは複数方向から圧力がかかられてしまうので、ムンダの航空基地化と補給を進める米軍と妨害する日本軍との間で無数の戦闘が生起するのでした。

基地同士の航空戦。補給船団に対する潜水艦の攻撃。そして健在な機動部隊による強襲。受けて立つ米軍の太平洋艦隊には正規空母が残っていないため、商船改造の護衛空母インディペンデンス級の軽空母が中心です。
戦力的には正規空母を有する日本優勢ですが、守る米軍は多少基地を叩かれても持ち前の機械力で回復させて、粘り強く戦います。

航空戦が日本軍の戦術的勝利・戦略的敗北に終わった後、先に回復した戦艦を繰り出して、ニューギニア方面ラエへの攻勢に出ます。
日本軍も戦艦大和と武蔵をもって迎撃にあたるのでした。


開戦時期が早まったことでシリーズ当初こそ新鮮さがありましたが、日米開戦後はいつもの展開って感じになりましたね。
目新しいのは複座戦闘機の月光がエンジン換装によって性能が上がり、日本海軍には珍しい戦闘攻撃として活躍しているあたりでしょうか。
ワンショットライターという不名誉な仇名がついた一式陸攻に置き換わりそうです。*1
それから水上戦闘が前と続いて昼戦となり、航空機の活用によって様相が変わってきているのが特徴でしょうか。

欧州方面ではイギリスとの航空戦に敗れてドイツ本土が空襲を受けているあたりは史実と同様。
ただしイギリスは日本との戦いで損害を受けたために地中海の制海権を喪失。補給が妨害されなかったためにアフリカ方面は枢軸軍有利に進み、ロンメルスエズまで到達しています。
もっともスエズ運河占領までに至ってなく、ジブラルタルでは英米が攻勢に出たところで終わりました。
今後は連合軍の怒涛の反撃は必至なわけで、どのように収めるのでしょうかね。

*1:乗員も少ないので撃墜時の乗員喪失も少なくなる。攻撃後は戦闘機としての自衛能力もある。ただし長距離攻撃には向かない。

高嶋哲夫 『首都感染』

二〇××年、中国でサッカー・ワールドカップが開催された。しかし、スタジアムから遠く離れた雲南省で致死率六〇%の強毒性インフルエンザが出現! 中国当局の封じ込めも破綻し、恐怖のウイルスがついに日本へと向かった。検疫が破られ都内にも患者が発生。生き残りを賭け、空前絶後の“東京封鎖”作戦が始まった。

中国の奥地で新型のウイルスが発生。それは全身が鬱血し、血まみれとなって死に至る、致死率60%の恐ろしい強毒性インフルエンザ。
しかもその時中国ではサッカー・ワールドカップが開催されていて、世界中から観光客が押し寄せていました。
中国の首脳は新型ウイルスによって次々と死者が出て、僻地の村が全滅するほどの被害を受けていることを把握していましたが、国の代表が決勝トーナメントを勝ち進んでいたこともあり、面子を守るために軍を派遣して秘匿します。
しかし、観光客が出国する頃には感染が世界中に広まっていくのでした。

都内の黒木総合病院に勤める医師の瀬戸崎優司は元WHOの職員であり、途上国でパンデミックを封じ込めるために辣腕を振るってきました。
しかし彼自身は幼い娘を病死させてしまい、それをきっかけに妻とも離婚したという悲しい過去を抱えていました。

もはや新型インフルエンザが抑えきれなくなった時点でようやく中国当局でも声明を発表し、ワールドカップの決勝戦は中止されました。
しかしその頃には東京でも中国からの帰国便で感染者が発生。
国内感染を防ぐために空港での隔離を行います。
紆余曲折の末に国の対策チームに迎え入れられた優司は徹底した隔離によって感染拡大を防ごうとします。
完璧に見えた封じ込めですが、すり抜けは起こるもので、都内数か所で感染者が発生してしまいます。
空港封鎖や隔離した時は内外から非難されていましたが、他国と比べたら少ない感染者数で済んでいた日本。
しかし、手をこまねいていたら、感染者数はうなぎ上りとなるのは確実。
内閣でも激しく議論がありましたが、瀬戸崎首相*1の決断によって最終的に都内封鎖を決断するのでした。

この小説は2010年代初めに書かれたものですが、まさに2020年より始まった新型コロナによるパンデミックを予期していたかのような内容で驚きましたね。
過去にあったパンデミックとしてスペイン風邪が出ていますが、当時(1918~1920年)と比べるとはるかに交通手段が発達しているため、感染拡大のスピードも違います。平時の対応では感染を抑えきれないでしょう。
致死率60%の恐ろしい強毒性インフルエンザだと設定されているために当然パニックが起こるのですが、それでも「自分は罹らない」と他人事のように行動する人も一定数いて知らず知らずのうちにうつしていることに気づかない。
経済活動はもちろん停滞し、毎日大勢の患者が病院に担ぎ込まれて医療体制は逼迫。医療が充分ではない途上国では暴動にまで発展。
まさに現実に起きているコロナ禍に酷似していました。

作中では東京から感染拡大を防ぐため、首都封鎖を決断します。事前通告無し。自衛隊と警察を使い、一切の例外を認めない厳しい封鎖です。
現実には国会の承認を得ず、閣議決定だけで首相がこれほどの独断を実行できるものじゃないでしょう。そこだけはフィクションならではと思いましたが、高い感染力と致死率を誇るウイルス相手にはこのくらいしなければ国は守れなかったと思えます。
なにせ日本以外では全人口の半数以上が感染して、2割以上が死亡するほどの猛威を振るっていました。
結果的に秘密裏に開発されたワクチンと治療薬が尋常ではありえないスピードで承認・量産されて収束に向かいます。
そこがちょっとだけご都合主義っぽかったですし、新型コロナを知らなければ単なるパニックものとして読んでいたことでしょう。
しかし、現実に新型コロナウイルスが世界中で流行しているわけで、過酷な医療の現場やウイルスに翻弄される市井の人々の苦しみがひしひしと伝わってくる内容でした。

*1:首相は優司の実の父であり、厚労相は元妻の父で優司の理解者。

タスクマネージャーにてディスク100%の対応

今使っているPC(富士通LIFEBOOK)は2018年1月に購入したので、丸4年経過しています。
パソコンも長らく使っていると、特に異常はなくても動きが遅くなるもの。
特に年明けあたりから動作が遅いなと思うことが増えました。
ブラウザが遅い場合は履歴データをクリアすることで改善されることがあります。
しかし、PC全体の動きが遅いのです。アプリを起動するとよく「応答無し」になりますし。
PCが遅いとストレスが溜るものです。
そこでタスクマネージャーを起動したところ、CPUやメモリよりもディスクが100%になっていることに気付きました。PCを起動してすぐに確認しても、2,3分で100%になります。

なんらかの原因でディスク100%になっているために動作も遅くなっているのだと。
そこでこの3連休(11日~13日)で調べながらいろいろと試してみました。

1.Cドライブの容量の確認→半分以上の空きあって問題なし。
2.スタートアップの確認
3.Windows Update→更新プログラムのチェック、ダウンロードして適用。
4.バックグラウンドアプリの確認。不要と思われるアプリをオフ。
この時点で多少動作が軽くなり、95%程度に落ちる時もありましたが状況はあまり変わりません。
5.サービスの停止
・Peer to Peer networkを無効
・SysMain・Superfetchを無効
Windows Searchを無効
6.CompatTelRunner.exeを停止
7.Cドライブのエラーチェックを実行する。※再起動後に実行する。時間かかるので寝る前に再起動。
8.仮想メモリの設定を変更
9.AHCIドライバーのMSIモードを無効
10.デバイスドライバの更新→無料アプリをインストールしてチェック

ちなみにOneDriveを使わない(使う時だけ繋ぐ)設定にするという方法もありましたが、すでに無効になっていました。
ここまで試しても改善できず。正直手詰まりかなと思うようになりました。
あとはセキュリティソフトの無効化。ハードディスクの交換。OSの再インストールくらい? それはやりたくないなぁと。

ふとタスクマネージャーを見ていたら、気になるものがありました。FJAgentCore(FJAgentSVC.exe)という名前のタスクです。
ソートするとブラウザに次いでメモリを食っていますね。

もしかしてこれか…。
検索してみると、富士通製パソコンでディスクが100%になるのはMy Cloud リモートアクセス設定Utilityが原因らしいとのこと。
購入時に多くのプリインストールアプリがありますが、多くは使用しないものです。
実際、My Cloudも使用していません。
そこでMy Cloud リモートアクセス設定Utilityをアンインストール。
再起動したら劇的に改善しました。

メモリの使用率も低くなりました。
ブラウザその他のアプリを立ち上げてもサクサク動くのですごく嬉しかったです。
My Cloud リモートアクセス設定Utility自体が悪いというわけではないのでしょうが、Windows Update後に他のアプリとの相性とかあって負荷が増したのでしょうねぇ。

まふまふ 『陶都物語三 ~赤き炎の中に~』

怪童・草太、ついに出世のとき! 次の交渉相手は美濃郡代、それとも将軍さま!?
天領窯を手中にした草太の運命が、大きく動く第3巻! !

高級白磁<ボーンチャイナ>を天下に売り出す。そんな野望に燃える草太の次の障害は、美濃の焼物流通を独占する特権商人。
その取締役をつとめる豪商・西浦屋とチート小僧が激しくぶつかり合う!
地縁血縁にこすからい搦め手――からくもそれらを掻い潜り、草太が見出したわずかな商機は、外国人が来航し始めた下田の港にあった――。

ようやくボーンチャイナの製造体制が整っていくのですが、美濃の陶器全般を牛耳る西浦屋によってあの手この手で妨害を受けます。
そんな時に西浦屋の娘・祥子に遭遇して、心ならずも西浦屋の主人である円治と対面して啖呵を切る場面もあったり。
ともかく日本一、いや世界一の陶磁器作りに邁進する草太の次なる懸案はいかに高く売りつけるか。
草太は完成した中で選りすぐりの茶器セットを持って向かうは伊豆下田。ここで知識チートを活かすべく、来日した外国人向けにティーセットのプレゼンを目論んでいたのでした。
下田で運良く出会えたのは幕末における著名人の一人、川路聖謨
人格者である彼のおかげで草太はなんとロシアの使節プチャーチンとの話し合いの場に潜り込み、見事売り込むことに成功します。
プチャーチンが持ち込んだボーンチャイナを欲しがり、その場で渡されてしまったのは草太の目論みとは違ってしまいましたが、幕府への足がかりはできたのは確か。
将軍との接見を経て幕府御用品として認められてから天領窯を取り巻く環境は目まぐるしく変わっていき、草太も多忙を極めていくのでした。


小説家になろう』の歴史ものの中でも時代考証的に本格派といってもいい本作ですが、書籍化となってからはセールスが振るわなかったようで。
一巻だけで打ち切りかと思われましたが、間隔は空いたものの続巻は刊行されました。
しかし、この三巻で書籍は完結となったようです。
歴史で人気のある時代といえば一に戦国時代です。
大河ドラマでもよく扱われるように、幕末も面白さでは負けていないと思うんですけど。
セールスが不振だったのは主人公が幼すぎたり、ヒロイン不在だったり、陶器というテーマが地味だったとか?
歴史好きには人気でも、一般受けはしなかったのかもしれません。
3巻で終わりと知って購入したものの、なんとなく1年くらい積んだままでした。

しかし、読んでみるとやっぱり面白いですね。
前半は陶磁器作りの用語が頻出したり、なかなかじれったい展開もありましたが、草太が史実著名人相手に手八丁口八丁で売り込んでいくあたりは痛快さを感じました。
原作では老中筆頭の阿部伊勢守に才能を買われたあまりに陶磁器作り以外に奔走しすぎて心配するほどでした。まぁ、それはそれで充分面白くて先に気になったものです。
3巻完結ということで、将軍・老中との謁見がクライマックス。エピローグはプロローグに繋がる形で終わらせたので、中途半端さはあまり感じさせないきれいな幕切れだったのかもしれません。
だとしても、原作の魅力を充分伝えきれずに終わってしまった感はありますね。