横山信義 『高速戦艦「赤城」3-巡洋戦艦急襲』

航空主兵主義に活路を求めた連合艦隊は、初戦の劣勢を押し返しついにフィリピンの米国アジア艦隊撃退に成功。さらに太平洋艦隊に対抗するため、日本が最後に建造した高速戦艦「赤城」をも投入して空母機動部隊の大増強をおこなった。
対する米軍は艦隊の再編と同時にトラック諸島の要塞化を進め、B17大型爆撃機によるマリアナパラオの日本軍基地への空爆を継続。
連合艦隊は太平洋艦隊が再び攻勢に出てくることを確信し、総力を挙げて南洋に向け出撃した。
だがその時、思いもかけない方面から米軍来襲の一報が……。

「日本艦隊、特に空母を捕捉するためには、火力よりも速力だ。空母に追いつけるだけの速度性能と、日本軍の戦艦に打ち勝てる火力を持つ艦は、レキシントン級しかない」

フィリピンを制して南方への航路を確保した日本。それに対し、アメリカは手をこまねいているわけではありません。
海戦劈頭に奪取したトラック島、以前からの領土であるグアム島を要塞化する一方で、日本領であるサイパンへと手を伸ばしてきます。南方がだめでも、最短ルートで首都を目指せばいいってやつです。
ということで今回はサイパン島を巡る攻防が中心です。
いくらアメリカ海軍が戦艦中心といっても、補助戦力として空母が有用なのはわかっています。ただ、次々と沈められてしまい、大西洋方面から回せるにしても限りがある。新造艦は間に合わず、数が少ないのが日本軍にとっては救いでしょうか。

基地同士の航空戦はすでに行われていて、そこに米軍の機動部隊が来襲します。矛先はサイパンではなく中継基地となっていた硫黄島
迎撃のために出撃していた日本側の機動部隊との間で航空戦が繰り広げられました。
数の多さもあって勝利を収めた日本軍はサイパンの救援およびグアム襲撃を目指します。しかし、迂回してきた巡洋戦艦を始めとする水上部隊に空母が攻撃をかけられるという事態が発生。
空母群の中でも速度の劣る加賀などは逃げきれない。このままでは空母が戦艦の砲撃で沈められてしまう。
そこで万が一のために分派されていた戦艦赤城の救援が間に合い、砲撃戦が繰り広げられたのでした。

日本側の戦艦は赤城一隻だけであり、圧倒的に不利は否めない状況でしたが、基地から飛び立った天弓の夜間雷撃と、いつものように巡洋艦駆逐艦の雷撃もあってなんとか退けるといった結末でした。まぁ、日本軍は戦艦の数が少ないですし、いつものように戦艦大和で圧倒するわけにもいかない。自然とそういった戦いとなるでしょうね。

ここで面白いのは、防空巡洋艦アトランタ級が費用の割には評価が低くて量産されなくなったことですね。航空に振っている日本軍を助ける判断になります。それでも総合的に防空能力が高いですから、そこを日本軍はどう対処していくか。
ドイツが中立なので、対艦ロケットは実現するのか。技術的な制限もありますしね。大筋ではどこかで講和を目指すのでしょうが、今後の展開を楽しみにしていきたいと思います。