GW中に観たアニメ映画 『機動戦士Zガンダム A New Translation』 / 『聲の形』

機動戦士Zガンダム A New Translation』
ガンダムの映像作品というと、私はファーストから始まって、Z、ZZ、そして『逆襲のシャア』、『F91』まで。その間の外伝でもある『ポケットの中の戦争』、『0083 STARDUST MEMORY』、『第08MS小隊』は全て観ました。
以降の作品はなぜか友人の薦めで半分程度観させられた『機動武闘伝Gガンダム』くらい。あとはゲームで知ったか、動画で少し観たくらい。最後に観たのは『THE ORIGIN』でした。
テレビ作品としてのZは公式な続編として、ファーストの主要人物が登場したり、どんどん人が死んでいく終盤の展開が衝撃的過ぎて強い印象が残っていますね。
Zの映画3部作は公開時には観なかったのですが、ちょっと気になっていたのでこの度観ることにしました。

テレビ放送時の映像に新しく作られた映像を組み合わされていたので、懐かしく感じつつ、途中まではややダイジェスト感はありました。というのも会話は短くて展開も早く、MSの名前を思い出すのが追い付かず、登場した人物があっさり死んでいくので。
最後のクワトロ(シャア)・シロッコハマーンという3大強キャラによる三つ巴戦がやはり強烈です。クワトロだけMSで劣る上に1対2を強いられるのが可哀そうなくらい。
カミーユはもっと尖っていたイメージがありましたが、多少改変されたのか、だいぶ素直な性格になっていたように思います。その代わりにカツの幼さが目立ちました。
地上編は限定されていたせいか、アムロの活躍がもっと見たかったですね。
全体的に女性キャラが目立っていたように思えます。ただし、Zの特徴として主なキャラはどんどん死んでいくので、悲劇的な印象は強いまま。
ラストは変えられて、カミーユの精神が無事に見えたのは良かったです。もっとも、親しい人の死や激闘の負荷はかかっているのは同じなので、仮に続編が作られても、再び戦争に出られるような状態にはならない気がしますね。
艦やMSの新しい映像はやはり良かったです。特にZガンダムは洗練されていて、歴代ガンダムの中でも最高クラスの恰好良さですね。






聲の形

【あらすじ】
ガキ大将だった小学6年生の石田将也は、転校生の少女、西宮硝子へ無邪気な好奇心を持つ。
自分の想いを伝えられないふたりはすれ違い、分かり合えないまま、ある日硝子は転校してしまう。
やがて五年の時を経て、別々の場所で高校生へと成長したふたり。あの日以来、伝えたい想いを内に抱えていた将也は硝子のもとを訪れる。
再会したふたりは、今まで距離を置いていた同級生たちに会いに行く。止まっていた時間が少しずつ動きだし、ふたりの世界は変わっていったように見えたが――。

2016年に公開されたこの映画。去年、TSUTAYA DISCASの会員になっていた時に観ようかどうしようか迷っていて、結局観なかったんですが、今年のゴールデンウィークに観ることができました。
冒頭のシーンの後、小六時代に遡り、先天性聴覚障害を持つ少女・西宮 硝子が転校してくるところから始まります。
主人公・石田 将也はクラスに1人はいそうな典型的な悪ガキというか、相当ヤンチャな子供ですね。
耳がまったく聞こえず、基本的に筆談でしかコミュニケーションの取れない硝子。耳が聞こえないことが関係するのか、話す方も舌っ足らずな幼児と同程度。
つまり、健常者のクラスメイトたちが合わせるのはなかなか大変なのでした。このあたり、担任含む大人のサポートがまったく足りていないように思えました。唯一、手話を教えようとした教師がいましたが、良い結果にはなりません。担任のやる気の無さというか、児童たちに対する大雑把さが目につきましたね。
とにかく、将也は周囲の女子が気を遣っているのを見るや、好奇心から硝子にちょっかいを出し始めるのですが、それが段々と悪い方(いじめ)へとエスカレートしていって…。

障害に対して理解の足りない子供とはいえ、将也の行為は許されるものではありません。
しかし、物語の核心はその後にありますね。
補聴器の件でクレームが入ったことで、いじめっ子から一転していじめられっ子に転落する将也。クラスあげての手のひら返しに愕然となります。たぶん、彼にとっては悪戯の延長のようなもの(たいていのいじめっ子は本気で悪いことをした自覚がない)。
そのショックや壊した補聴器弁償のために母親が多額のお金を渡して頭を下げたあたりで最低なことをした意識を感じるのですが、不器用な彼はイジメを受けたまま、ずっと孤立した日々を送っていくあたりがもどかしく思いました

時間は高校生に戻り、将也は誰とも馴染むことをせずボッチなまま。バイトで稼いだお金(補聴器の弁償金)を母親に返して、橋から川に飛び込んで命を断とうとするも叶わず。手話教室で硝子と再会して物語が動き始めるのですね。
将也が過去の行いを謝罪して、硝子が許してハッピーエンド……であったら、陳腐すぎて面白くはなかったでしょう。
再会して友達になれたからといって、将也を取り巻く状況はすぐに好転はしません。むしろ、悪化したりします。
そのあたりが複雑かつ惹き込まれていったところです。
石田・西宮それぞれ家の事情(声と足だけ登場した将也の姉についてはなんとなく察したけど、西宮家の母についてはもう少し掘り下げて欲しかった気がする)があったり、小六時の仲間に会いに行ったり。

将也・硝子以外の人物に対しても、強い印象が残りました。
例えば、川井はあまり責めたくはないけど、仲間の中では一番嫌なタイプかなぁ。八方美人で優等生。それはともかく、自らの罪を無意識になかったことにして、すべて他人(主に将也)のせいにしちゃう利己的なところがねぇ。
植野は生意気だし意地悪な部分が目立つけど、まだ川井よりは好意的に見られるかなぁ。直情的で、行動が空回りして将也は苦手意識を持ってしまうのが皮肉というか。
高校になって登場した永束は最初は馴れ馴れしくてうざったい感じに思えましたが、裏表がなく情に厚くて思いやりがある人物。親友というだけあって口だけじゃないですね。
同じく真柴はイケメンでいい奴に見えたけど、実は裏があるんじゃないかと思ってたら、映画では最後までいい奴だった模様(原作では冷徹な部分があるらしい)。

将也と硝子は互いに好意を抱くようになるのですが、この二人のすれ違いというか不器用ぶりが見ていて微笑ましかったですね。アシストする結絃*1も呆れ顔(笑)
あくまでも将也を主人公として、人間不信で顔を見られなかった彼が周囲に目を向け耳を傾けるまでが描かれているところ。将也の入院を機に硝子が殻を破ったかのように積極的に行動していくあたりが特に良かったです。街や自然の光景が美しかったのに加えて、心象風景に表し方もアニメーション映画ならではで惹き込まれるものがありました。
2時間を超える長い映画でしたが、やっぱり観て良かったと思いました。

*1:硝子の妹だが、ボーイッシュな格好だったので将也は彼氏と勘違いした。