「のぼうの城」

http://nobou-movie.jp/
※本記事はネタばれ含みます。
あえて小説を読む前に観に行ってきました。*1
毎年娘のアニメ映画に付き合ってますが実写映画は久しぶりです。
それも歴史映画。それも地元埼玉が舞台(忍城攻防戦)ということもあってちょっと期待してました。


映画前半のあらすじとしては以下の通り。
冒頭、信長配下の羽柴姓であった頃の秀吉による備中高松城の水攻めを見て、石田三成が「こんな戦をしてみたい」と感動するシーン。
時を経て、秀吉の北条征伐。一手の大将として支城攻めを命じられる三成。そして補佐の大谷吉継ら。
場面転じて忍城では「でくのぼう」略して領民から「のぼうさま」と親しまれる成田長親がいた。
秀吉の軍勢を迎えるにあたり、城主成田氏長らは城兵半数を連れて小田原城に詰めることになるが、氏長自身は豊臣に内通する心づもりであり、留守を守る将に戦わずして開城を命じる。
しかし軍使として来た長束正家の居丈高な態度にキレた城代・長親は一転して「戦う」という選択肢を選んでしまう。
果たして2万の軍勢に対して城兵五百(プラス三千余の百姓)はどうやって戦うのか?


一言で言えば、歴史ものとしての精巧さよりも、合戦映画としてわかりやすくまとめたのかなって感じがしました。
流れ的には初戦での城方の勝利
⇒簡単には落とせない。よろしい、ならば水攻めだ。
⇒二の丸まで水が押し寄せてきて、士気も落ちて城方ピンチ。
⇒長親自身が敵陣近くまで船で漕ぎ出し田楽踊り。敵も味方もノってきた中で狙撃くらう。
⇒「のぼう」を撃たれた城内外の領民たちが怒って、堤を崩す。今度は攻め方が損害を喰らう。
⇒水が引いたら合戦再開だ。ちょっとまったー、小田原城開城したよ。戦はお・し・ま・い。
なので、実際は1か月以上続いたこの戦が短期間で終わったような印象を受けましたね。
初戦の門内外の戦闘や水攻めのシーンなどは確かに迫力がありました。
そしてなんといっても主役である野村萬斎がハマリ役。普段のバカ殿っぽさといざという時に見せる機知とのギャップも面白かったです。
逆に言うと、のぼうの魅力と正木丹波・柴崎和泉の奮戦*2以外にどうして忍城が持ちこたえたのかがわかりにくかったりしました。映画を見る限りは忍城の最大の強みである地の利が感じにくいです。
また、敵将である石田三成はその行動が不可解。
利に釣られない良き敵を求めていた割には長親を狙撃させたり、夢見ていた水攻めが失敗したにも関わらず機嫌良く自ら忍城に乗り込んだり。
そういや、大谷吉継が開始早々に「これは泥沼の戦になるぞ」と嘆いたり、狙撃が逆効果だということでやめさせようとしたり、既に将来の二人の関係が見える演出に笑えました。
映画としての他の方のレビューを見ると、全体的に高評価が多い中で、歴史的リアリティ無し・一部キャストの演技悪しで酷評しているのが少数。そのどちらもわかる気がします。
私としては時間が限られている映画としてはこんなものかなという気がしますので、可もなく不可もなくって感じですね。

*1:『水の城−いまだ落城せず』は読んだが、内容的にはだいぶ違ってそうだ

*2:それぞれを演じた佐藤浩市山口智充の存在感は確かに大きかった