『JIN-仁-』完結

JIN―仁― 20 (ジャンプコミックス デラックス)

JIN―仁― 20 (ジャンプコミックス デラックス)

書店で見つけて20巻を読み終えました。
前巻までは仁の行動は坂本竜馬の暗殺阻止がメインとして描かれていましたね。
その甲斐あってすんでのところで運命を変えたかに見えたものの、不運な事故によって頭部に致命傷を負い、結果的には史実より数日間延命したに過ぎなかったのでした。
仁のタイムスリップは当時の医学に革命とも言える変化をもたらしましたが、歴史的出来事にはほとんど影響を与えなかった。坂本竜馬の件はひょっとしたら?と期待しながら読んでいたのですが、まぁ致し方ないことかもしれないです。


そして最後の20巻では、戊辰戦争の最中、仁を襲う激しい頭痛、そして深い関わりのあった咲・恭太郎の橘家の人々の運命が大きく揺れ動く内容で最後まで目が離せませんでした。それに加えてあの三隅俊斎の卑劣なる陰謀!
最後の最後まで三隅の悪意が見抜けなかった割には福田玄孝医師を送り出した医学館の多紀の意図には最初から気づいていたとは、仁は勘がいいのか鈍いのか・・・。
最終回は現代に戻ってしまった仁。百年以上経ちながらも江戸時代に生きた軌跡を色濃く残すも、孤独を感じてしまうわけで。その仁の前に現れた女性にはあの人物の面影が。
時が離れていても、確実に人の繋がりがあるのだなぁと感じることのできるラストでした。




で、以下疑問&ネタバレ。
初回の謎の男はやはり仁だったわけで、薬品を持ちかえって咲の容態も良くなり、晴れて婚儀を執り行うことができて、そのまま仁友堂の面々とともに医学の発展に尽くしていったであろうことがわかります。
一方、現代には頭部の手術を行い腫瘍を取り除いた仁がいます。*1こちらの仁は暗殺者に襲われた後、東修介の助けで窮地を脱したところまでしか記憶がなく、その後の仁友堂の歴史を初めて知るのです。
はて、仁という人物が歴史上の過去と未来に二人存在することになってしまう・・・。
パラレルワールドという言葉も浮かびましたが、この世界は過去と現代が密接に関係しているのでちょっと違います。やはり二度目のタイムスリップ、そして頭部の赤ん坊型の腫瘍を切り離したことで仁の存在が分かれたと考えるべきなんでしょうなぁ。
そんなわけで、幕末では仁と咲が結ばれて、現代では仁(&竜馬)と野風の子孫が出会いなにやら良さそうな雰囲気という、なかなか粋なはからいを見せてくれましたね。


ところで、ドラマの方も「完結編」として今年4月に続編が決定しましたね。
http://www.tbs.co.jp/jin2009/news/
一昨年のドラマの方では野風の身の振り方が原作とは違ってしまったので、どのように結末をつけるのか?原作に負けないようしっかり作ってほしいですね。

*1:入院しているのは「仁友堂大学病院」