TBS「日曜劇場『JIN-仁-』」(完結編)第8話

1867年(慶応3年)秋。天皇に政権を戻す、いわゆる「大政奉還」の実現に向け、坂本龍馬内野聖陽)は日々奔走していた。その一方で、南方仁大沢たかお)はそんな龍馬のことを気にかけつつも、岩の転移を抱えながらの出産を控え、『仁友堂』に入院してきた野風(中谷美紀)の身体を心配していた。橘咲(綾瀬はるか)も野風のため、産婆のもとへ足を運び、少しでも出産の手助けが出来るようにと努力の日々を過ごす。だが、橘恭太郎(小出恵介)は、幕府の上役(中原丈雄)に引き続き龍馬の動向を探るよう命ぜられて…。
そんなある日、野風のお腹の子が逆子であるとわかり、そのまま産むには危険な状態だと判明。仁は、『仁友堂』の面々に協力してもらいながら“整胎術”や“お灸”で逆子を戻そうと試みるのだが、野風の母体を第一に考え、ある決断を下そうとする…。
第8話あらすじより

坂本龍馬南方仁がそれぞれ大政奉還と野風の出産という二つの大事を互いに相手を思いながら進んだ回。内容も濃く、それだけに感想記事も長くなってしまったので、8話と9話は分けます。


船中の龍馬。新しい日本のあり方を船中八策として書いているお馴染みのシーンですね。でも、なぜか「九」の文字が!?
一方、野風は仁友堂に入院して出産を控えます。咲さんが産婆見習いに出ているんですね。そして兄の恭太郎は盗み出した写真や文を燃やして、龍馬と仁の繋がりは無しと上役に報告する。この人は剣の達人でかつ勝海舟のもとに出入りもする開明派という設定でもあるのですが、完結編に入ってからは苦労人の面が目立ちますなぁ。
龍馬の命日がどうしても思い出せない仁は頭痛に見舞われながら警告の手紙を書いたり、久留米の田中久重から無尽灯が届いたり、奥医師招聘の話があったりとめまぐるしく話が進むのですが、三隅俊斎との会話が意味深であります。まだこの時点では何も知らない仁は親しく会話するのですが、去り際の三隅の「もうじき全てを失いますよ」という台詞には何が込められているんでしょうかねぇ・・・。*1


さて倒幕から大政奉還を進める側となったことに今度は幕府だけでなく薩摩からも疑念を抱かれることになった龍馬。薩摩藩士たちに問い詰められます。
幕府が奉還を受け入れることなど無い、倒幕のためのきっかけの茶番にすぎないと誤魔化すのですが、そこは西郷隆盛の方が一枚上手でカマかけられてうっかり本音を漏らしてしまいます。
「茶碗の中の喧嘩」だと日本の為に協力し合うことの大切さを説きますが既に時遅し。
「人は義だけで生きるわけではごわはん!」西郷に一蹴されてしまいます。
実際には西郷は龍馬の策を黙認していたと思うのですが、それはともかく幕末の2大人物が信念を賭けてぶつかり合うこのシーンは迫力ありました。


その頃仁友堂では野風の胎児が逆子となったために福田医師を中心に整胎術やお灸をすえたりしていたのですが、苦労の甲斐なく予定より早く陣痛が始まってしまいます。
産科の経験が無い仁はやることなく外の廊下でウロウロ。出産を待つ父親ってこんな感じだよなぁとちょっと微笑ましいです。
しかし朝までかかっても胎児が横向きになってしまったせいか腕しか出てこない。胎児への影響のため麻酔ができないので帝王切開ができず、どうするか決断を迫られます。
一方、龍馬の策を知らされていなかった中岡慎太郎*2がキレたりしますが、二条城で大政奉還に関する評定が始まったと聞き、ひたすら待つことに。


赤子を諦め野風の命を優先させるために手術を行おうとする仁。それは医師として当然の判断でしょうが、鋭く察した野風はこのまま腹を切って胎児を取り上げてくれと懇願するのです。
「あちきは死にんせん。この子を抱くまでは、決して死にんせん!」
野風の熱意と咲の「女子は子供のためならばどんな痛みにも耐えまする」という説得に押されて帝王切開を決断。
ええと、出産に立ち会った男性はわかると思いますが、あれは男性からすると相当な痛みかと思います。それに加えて麻酔無しの開腹なんてもう想像を絶するものですわ。ここは野風役の中谷美紀の迫真の演技に目が離せません。
で、ようやく赤子を取り上げられたと思いきや、黙ったまま泣かない。更に出血によって心配停止と続く危機。まったくハラハラさせられます。一瞬川越でのお初の死がよぎるのですが、必死の心臓マッサージと呼びかけによって呼吸が戻ったときはほっとしたものです。
ちなみに翌日赤ちゃんは「安寿」と名づけられます。どう見ても新生児じゃありませんが*3、まぁ可愛いから許す(笑)
野風の出産と時を同じくして大政奉還成ったことを知らされた龍馬は「夜明けぜよー!」と歓喜する。こちらも国が生まれ変わったことを確信した場面でした。
明けて眠りこけている龍馬に切っ先を向ける東修介。「殺されちゃいますよ」
そして空を仰いで呟くのが「もう良いですよね、兄上」
ええっ兄上?


ルロンも駆けつけて赤子を抱いている姿を見ていて龍馬が死んだのは・・・誕生日ということを思い出すのですね。
その後、勝のところで政策案の九つ目が明らかにされます。そこには以前仁が説明した保険の仕組みが。驚くことに自分自身によって歴史が改変された事実を目にするのです。
同時に龍馬の死まで残された日にちは一ヶ月であることがわかります。
しかしそのことを口にしようとすると再び襲う頭痛。
果たして龍馬暗殺は止められるのか?次回に期待!!

*1:原作ではまたしても卑劣な手を使って仁の命を狙うわけだけど、それはもう少し先だったと思うが

*2:えっ、そうなの?と自分もびっくり

*3:生まれたばかりはしわくちゃで本当に赤子なんだよなぁ