TBS「日曜劇場『JIN-仁-』」(完結編)第10話

ついに、歴史通りに斬られてしまった坂本龍馬内野聖陽)。寺田屋の女将・お登勢室井滋)らに見守られる中、南方仁大沢たかお)は橘咲(綾瀬はるか)と佐分利祐輔(桐谷健太)の手を借りて、大手術に臨む!!
南方仁がおれば、坂本龍馬は死なん!」
果たして仁は龍馬との約束を果たし、無事に龍馬を助けることができるのか…!?
第10話あらすじより

前回のラスト、坂本龍馬が斬られる場面ですが勘違いしていました。てっきり橘恭太郎の同輩が斬ったものだと思っていたのですが、実際に目をつぶりながら刀を横に払ったのは東修介でした。乱闘の中での事故なのか故意なのかがちょっとわかりにくいですけどね。
そこで東修介が驚きの告白。龍馬が亡き兄の仇であったと。過去のやりとりから、たった一つ遣り残したこととは敵討ちであったことが推測されます。でも以前「もういいですよね、兄上」とつぶやいていることから、それに対するこだわりはなくなったはずでは?とも受け取れそうですが。
誤って斬ってしまったこと自体は原作通りですが、沖田総司が登場しない為にそういう後付っぽい設定にしたのだと邪推。*1
東修介や橘恭太郎らはそのまま逃走。残された南方仁は龍馬を死なせまいと大手術に挑みます。佐分利先生を呼んできてくれと頼まれた咲さんが一瞬固まってしまったのは、武家の娘として度胸あるように思えても、兄や親しい人が斬りあう姿を見てしまったショックなんでしょうねぇ。
龍馬の手術は開頭による大掛かりな手術となります。途中、仁が抽出した血を浴びてしまうアクシデントがあるものの*2、頭部の最初の手術はひとまず終わりました。しかし切り取った部分を大腿部に保存しようとしたところで再び頭痛が。
坂本龍馬を助けるために自分はタイムスリップしたのだと仁は思い込もうとしているのですが、やはり龍馬の死は歴史に組み込まれているのか?


術後、手製の呼吸器による人工呼吸を続けるのですが、自発呼吸することなく経過はよくありません。
そこで咲さんが野風からの手紙を持ってきて読み上げた途端、呼吸がもどったので佐分利医師でなくてもびっくりです。そういえばドラマ『JIN-仁-』ではお龍は一度だけ出てきたけど存在が薄いですね(笑)
龍馬の意識を戻そうと未来の話をし続けていると突如龍馬が目を覚まします。
「妙なもんを見よったぜよ」と語る内容は現代の世界。仁の話のせいか未来の夢を見たらしい。
「わしも(その世界に)行きたい」で聞いた場所が吉原に島原。どんだけ女好きなんだよ(笑)
でも保険からカンパニーの話に移ったあたりは龍馬らしくなって良かったですよ。生き延びていたら岩崎弥太郎ばりの世界企業の創設者となったであろう姿が目に浮かびます。
未来から来た仁にはこの時代は愚かなことばかりだったろうと龍馬が問いかけるのですが、仁の答えは「教わることばかりでした」。
夜は本当に闇であることとか、離れてしまったら手紙しか伝達の手段が無いとか、人生は一期一会であることとか、現代人が失ってしまった当たり前のことばかり。
そして、コロリで仁が孤軍奮闘している時に龍馬が患者を担いでやってきてくれた時のことを思い浮かべます。
「本物の行動力ってやつを教わりましたよ。親友で悪友で、私のヒーローでした」
「でしたってわしゃまだ生きちょるぜよ」
うーん、仁にとっては過去の人物だけど現在進行形であるんで難しいですな。
しかし「ヒーローって何じゃ?」とたずねたところで急に苦しみ出す龍馬。
急いで人工呼吸器を用意するも手で制し、「わしゃ、先生が生まれた国を作れたかの?先生みたいに優しゅうて馬鹿正直な人間が笑って生きていける国を」
仁は「はい」と返事すると、「ほうかえ、まっこと・・・」とそれだけ言って目を閉じてしまいました。
これから起こることを伝えながら懸命に心臓マッサージする仁。事情を知らない佐分利からすれば気がおかしくなったかと思えたかもしれません。実際、大変なことになって、龍馬が生きていたら歴史が変わったかもしれない。だけどそれは許されない行為だった・・・。
歴史をかえようと未来から来た仁と、国の未来を作ろうとした龍馬。二人の出会いによって若干のずれは生じたものの、ぎりぎりのところで本来辿るべき道として修正されてしまったのかと。


一方江戸では、門が閉ざされた仁友堂。ペニシリンに関する偽特許の件で厳しい取調べを受ける山田純庵。
このような陰謀を企むのは例によって三隅俊斎なわけですが、さすがに和宮事件と同じ謀略を感じた多紀・松本良順や勝らによって陰謀が暴かれてお縄となります。多紀は今まで誤解されそうな描かれかたでしたが、ここで器の大きさが印象づけられました。
ちなみに東修介の自死と三隅の捕縛には原作読んでいる人にとっては驚きでしょうね。これで最終回は原作とは変わるかたちになることが確定。
拷問を受けた山田医師の姿や坂本龍馬暗殺の使命を帯びた兄のため苦悩する咲さんを見て、仁は自分にせいで多くの人を不幸にしたこと、自らの頭の癌も告白して仁友堂を閉鎖したいと言い出す。
表面的な歴史の流れは変わらずとも、自分の行動によって周囲は確実に変わったことを悪い方に取ればそう思いつめるのも仕方無いというか、仁の人の良さなんですが。
そこは佐分利や山田、咲さんら周囲のひたむきさに救われて前向きに生きることを決意しました。


時は流れて坂本龍馬亡き後は薩長による倒幕攻勢が進み、錦の御旗を手にした官軍は一気に江戸まで迫ります。そこで西郷との対談を目前にした勝から相談を受ける仁。
(個人的には徳川の世の終わりを告げる江戸の様子を少し描いて欲しかった気がしますが贅沢かなぁ)
少し考えた末に、「勝先生次第じゃないですか?」と逆に問いかける。あえて答えを口にしない方が良いと判断したのでしょうが、もしここで無血開城という結果を口にしていたらどうなっていたんでしょうかね?
さて、仁友堂だけでなく医学所などにも赴いて自分の知識と技術を残すべく講義に明け暮れる仁。しかし龍馬の声を聞いた途端に激しい頭痛を覚えて倒れてしまう。ついに床につくようになってしまうのですが、見舞いに訪れた野風に対して咲が唯一直す手立ては人智を超えた手段、つまり元の時代に戻るしか無いと述べます。
そこで『JIN-仁-』初回のシーンへと繋がるのかなと。ただし現代へ戻るきっかけとなる暗殺シーンに関わる人物がドラマでは退場しているので、原作とは違う展開が描かれるのでしょうね。例えば恭太郎が参加することになりそうな上野における彰義隊の戦いあたりがストーリーになんらかの影響を与えるのではないかと予想できますね。

*1:新撰組長州藩士の関わりが無い代わりに、龍馬と東修介との関係が強化されてる

*2:原作通りならばこれが後々大きな意味を持つ