TBS「日曜劇場『JIN-仁-』」第10話〜最終話

ドラマ『JIN-仁-』もとうとう最終回むかえましたね。個人的にはNHKの『坂の上の雲』に関心が移りつつもちゃんと最後まで見届けました。

第10話(12月13日放送)

あらすじ*1
忘れかけていた頭痛に襲われ、突如意識を失ってしまった仁(大沢たかお)。その数日後、目を覚ました仁は”自分がタイムスリップしてしまった時のこと”を思い返し、正体不明のあの患者についても考えるのだが…その謎は解けぬままだった。
そんな中、野風(中谷美紀)の身請けの話が決まる。野風の強い希望によって最後の診察をすることになった仁は、咲(綾瀬はるか)と共に吉原へと向かうのだが、そこには身請け先の藩医も同席していた。仁は、診察の途中で野風の体に”ある異変”を感じるが、現代に残してきた恋人・未来(中谷美紀)の身を案ずるあまり、その事実を伝えることが出来ない。
そして、仁を想う気持ちが日に日に強くなっていく咲もまた、自分に縁談の話がきている事実を仁に打ち明けられずにいた。咲は、自分の気持ちをある人物に相談することを決意して−−!?
そんな矢先、仁と龍馬、二人の運命を揺るがす衝撃の出来事が起こる!!

元の時代に残してきた恋人の存在が大きな要素となっているドラマ版。それゆえタイムスリップ後に深い関わりを持った二人の女性である野風や咲の想いが仁には届いてなさそうなのがじれったい気がしますね。まぁ原作でもモテる割には鈍感なところは変わらないですが。
とにかく、胸にしこりができている野風の処遇をどうするのかが気になります。身請けさせた方が「未来(みき)」の存在に繋がる可能性があり、医者の本分よりも一人の男としていつまでも悩むところがちょっとじれったい。まぁ自分の時代との結びつきを考えれば仕方ないのでしょうけど。


そして、たびたび仁に起こる頭痛と冒頭に出会った赤ん坊の形の腫瘍を持ったあの男。「戻るぜよ、あの時代に」という意味深な台詞。
そこは仁だけでなく龍馬が関係しそうでまだ謎のまま、刺客に襲われるシーンへと繋がります。
長州きっての尊皇攘夷の領袖・久坂玄瑞が冷酷だぜ。*2
多勢に囲まれた龍馬のために徒手空拳のまま飛び出す仁。そして二人して崖から落下し、水面から浮かんだのは一人だけ・・・。


史実の坂本龍馬の暗殺の日時まで続けると大河ドラマなみの放映時間が必要となりそうなので、ここで一気に端折ってしまうのはまぁ仕方ないのでしょうな。
ちなみに原作でも最新コミックでは龍馬の暗殺を防ぐために仁たちは江戸から京に向かっているところだけど、一足先にドラマではどう決着つけるのでしょうね。

最終話(12月20日放送)

あらすじ*3
突如、刺客に襲われた龍馬(内野聖陽)を助けようとした仁(大沢たかお)は、そのまま龍馬とともに崖から落ちてしまった。ところが、仁が目を覚ました時、龍馬の姿はどこにもなかった。タイムスリップしてしまった時の記憶が鮮明に蘇る…あの日、運ばれてきた身元不明の患者は、龍馬だったのか−−?勝海舟小日向文世)らも捜索に奔走するが、龍馬の居場所は依然としてわからぬままであった。
そんなある日、仁のところへやってきた佐分利(桐谷健太)は、自分が乳の岩(乳がん)について調べたという資料を仁に渡し、「もし乳の岩かもしれない患者がいるのなら、調べさせてほしい」と訴える。佐分利の熱意に動かされ、仁はふたたび野風(中谷美紀)を診ることを決意。しかし、野風の身請け話の行方が恋人・未来(中谷美紀)の存在に関わると考える仁は、明らかに乳がんの兆候が見える野風に対し「悪性かどうかはわからない」と言葉を濁し、手術に踏み切ることができず−−!?
一方、咲(綾瀬はるか)も縁談の話が着々と進み、ついに結納の日を迎えるのだが…。

崖から二人ともども落ちて、行方不明のままの龍馬。果たして本当に現代へタイムスリップしたのか*4と思わせつつ、ついに長い葛藤を越えて野風の野風の手術に踏み切る仁。
実は乳癌と全身麻酔に関する経験・知識を持ち、仁に協力しようとする佐分利と、叱責された逆恨みで藩の侍どもを唆す三隅俊斉、縁談を蹴ってまでして手術を体を張って守る咲、と原作のエピソードも混ぜ、まさにラストにふさわしい内容になりましたね。
仁の精神的負担を軽くしようと励ます龍馬、仁のために駆けつけた咲、機転を働かせた恭太郎とそれぞれ仁をとりまく役者たちの演技と表情もとても良かった。


辰五郎親分の指揮によって新たに建つ仁友堂、緒方洪庵の遺志を継ごうとする仁。
一方、横浜らしき洋風な街で寺子屋(?)を始めようとする野風と未来において教壇に立つ未来(みき)というのはオリジナル設定を自然にまとめましたね。医師としての本分を全うした結果、未来(みき)の人生は新たに啓けたが、現代における南方仁は消滅したと見えます(野風との別れで見せた涙は、未来との決別の意味もあったのだろう)。


気になる点。
龍馬は漁師に助けられて、そこでくつろぎすぎて時間が経っていたなんて浦島太郎的なオチは普通過ぎやなぁ。結局、「戻るぜよ」の男の正体は不明のまま。
そして再び頭痛に襲われる仁で終わるのは、続編あるいは映画版による続きを匂わせているんでしょうかねぇ。
実は映画化の情報はだいぶ前から出ていたらしいです。
「JIN」最終回意味深で劇場版の可能性
好調の「JIN―仁―」映画化決定? 「ドラマ引き継ぐ」と女性誌が報道。
最近この手の漫画⇒ドラマ⇒映画という安易な流れが多いですね。たぶん、自分はわざわざお金払ってまで見に行かないだろうなぁ。


と思っていたところ、最終回が終わった後の公式ホームページには映画化については何もなし。どうやら週刊誌によって噂の方が先行した模様です。
ドラマ仁〜JIN続編、映画化 TBSは「今後の予定はまったくなし」
だったら、なおさら謎のまま思わせぶりな最終回にしたのが疑問。全体的にドラマとしては良い流れであったのに残念な部分も残ってしまいましたね。

*1:公式ホームページより http://www.tbs.co.jp/jin2009/story/story_10.html

*2:そういや、この人は本来京にいるんじゃなかったっけ?

*3:公式ホームページより http://www.tbs.co.jp/jin2009/story/story_11.html

*4:「でなきゃ神隠しにでもあったのか」という勝海舟の台詞なんかね