2期・72冊目 『北米決戦2−巡洋戦艦「浅間」』

北米決戦―巡洋戦艦「浅間」〈2〉 (C・NOVELS)

北米決戦―巡洋戦艦「浅間」〈2〉 (C・NOVELS)

ついに浅間世界の世界大戦を描いた本シリーズも最終回。
戦略爆撃と原爆による世界征服を目指すヒトラーの野望も潰えたかに見えたが・・・。
横山氏らしく、最終巻であっても海戦てんこもり。しかも手に汗を握るようなぎりぎりの戦いを迫力ある筆致で見せてくれました。敵は最後まで手ごわいのが飽きさせない秘訣ですね。
英新鋭戦艦「ライオン」の登場や「大和」クラス対「アイオワ」クラスのガチンコ勝負*1。更に最後のもうひと山場で、ヒトラーの秘密兵器と「浅間」の対決があったりしてサービス満点です。


巻末のあとがきにあったのですが、太平洋戦争において活躍した戦艦というのは、史上最強と言われた「大和」クラスではなく、機動部隊護衛や対地砲撃、そしてもちろん海戦と様々な場面で活用された高速戦艦「金剛」クラスであったと。
そこで砲撃力よりも防御に重点を置いた点以外は「金剛」クラスに近い「シャルンホルスト」クラスを日本で活用できないか、というのが出発点だったようです。
そうすると史実の世界大戦の設定では有り得ず、どんどん話が膨らんでいってアメリカ対日欧同盟という設定になったとか。


それにしても本シリーズは、アメリカを敵とし、時には強引かつ無茶な戦略・作戦をさせるためにヒトラーが1人悪者として強調され過ぎな感はありましたね。
世界状況に説明不足と強引さがあるのが『遠き曙光』・『海の牙城』シリーズからの共通するところ。しかし個々の戦闘で見せ場を作り、話をちゃんとまとめる横山氏らしくもあります。
両方を望むのはさすがに贅沢ではあるか・・・*2
考えてみれば普通に史実のアメリカ対日・欧(ソ連抜き)でもきっとアメリカが強いだろうなぁと。
そして今回は最後の場面が爽やかで良かったです。天麩羅蕎麦食べたい!!!*3


蛇足。
欧州戦線での外伝とか後日伝が読みたいけど、ここ数年の傾向ではきっと出ないだろうなぁ。それでも年末か来年には次シリーズが出そうな気がするんで期待して待ってます。

*1:航空機や他艦種が混ざってこないという設定は仮想戦記でしか有り得ないでしょう

*2:働き者の佐藤大輔を望むのと同じくらい

*3:すいません。読んだ人でないとわからないネタです