- 作者: 横山信義
- 出版社/メーカー: 中央公論新社
- 発売日: 2010/01
- メディア: 新書
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<中央公論社の新刊紹介より>
欧州大戦後のパリ講和会議で太平洋のドイツ領を二分したイギリスとアメリカ。だが勢力圏を接した二大国の緊張は高まり、ついに英タイ国境で紛争が勃発! 日米英、三つ巴の闘いが始まった!!
『鋼鉄の海嘯』から3ヶ月おいての横山信義さん新シリーズ!
やはりというか、今回も第二次世界大戦ものとなりましたが、前大戦直後に改変の手を入れ、史実では日本の委任統治領となるはずだった南洋ドイツ領に対して4国干渉を発生させて列強関係を変えてしまうという新しい切り口ですな。
その結果、ドイツ領を二分した英・米の対立が激化。それはオーストラリアの帰属問題にも飛び火するほど。
そして、日本は太平洋における軍事バランスのキャスティグボード的な位置ですかね。もっとも日英が組んでもアメリカが強すぎるんですけど。
一方、史実ほどの制裁を受けなかったドイツはファシズムが台頭しなかったらしく、ソ連からの侵攻を受けたポーランドを助けるために中欧諸国と手を組む。それに対して英米は中立。今回は欧州情勢はあまり日本へは影響与えないかな。いやいやわからんぞ〜。
1巻を読んだかぎり、人物としては海軍軍人一家・須磨家の人々*1を中心にしていくんですね。史実の軍人は脇役にして、複数の創作人物の視点から描くのが最近強まっている傾向です。
また、ワシントン軍縮会議が4国干渉の影響により日本が強気に出て対英米8割を実現。主力のみならず補助艦艇が増えていて、海戦描写も豊富となるんでしょうね。*2
太平洋を巡る三つ巴を描く長編ということですが、あえて三国志に例えれば魏=アメリカ、呉=イギリス、蜀=日本ってイメージ。
三国志演義のように、魏=アメリカ=領土欲に駆られた悪の大国に日本が挑むという展開を予想できるのですが、横山さんのことだからそう単純にはならないですよね。きっと(期待)。