- 作者: 赤川次郎
- 出版社/メーカー: 角川書店
- 発売日: 1997/06
- メディア: 文庫
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内容(「BOOK」データベースより)
突如襲った激しい大地震。住民が「町」と呼んでいる新興住宅地の道路が遮断され、十五軒の家が完全に孤立した。日が暮れ、月も星もない完全な闇が町を支配する。閉鎖された極限状況の中で、人々の精神は少しずつ狂い始めた。その闇の中で、人間ではない何かが人々を狙っている。一人、また一人、犠牲者が…。人間の恐怖、狂乱、そして死を、サスペンス色豊かに描くパニック小説の傑作。
赤川次郎を読むなんて十数年ぶりでしょうか。
かつて読んでいたのは探偵ものやホラー中心だったと思うのですが、こういったパニック小説も書いていたのですね。
やはり読みやすく、それでいて読者を惹きつける巧い文章ですね。短い期間での人々の心理状況の変化を描いていく様は秀逸。一日で一気に読み終えてしまいました。
だけど、作品世界の設定をあえてぼかしたままで終わるというのも、相変わらずのような。
舞台である「町」以外の状況がまったく明かされないことや人を襲う怪物*1の謎はそのままに終わってしまうのが、何と言えばいいのでしょうか。ちょっとすっきりしないというか・・・。*2
交通手段も連絡手段も閉ざされ、しかも町外の様子がまったくわからないという状況は、今では非現実的かとも思いましたが、条件によれば有りえるのかもしれないのですね。
もし自分が巻き込まれた時には、自分は家族や近所の人に対してどうふるまえるのか、なんてちょっと気になったりしました。