横山信義 『蒼洋の城塞6-城塞燃ゆ』

蒼洋の城塞6 城塞燃ゆ (C★NOVELS)

蒼洋の城塞6 城塞燃ゆ (C★NOVELS)

内容(「BOOK」データベースより)

連合艦隊は奇策により、ラバウルに迫る米艦隊に大打撃を与えて撃退することに成功した。戦力を整えるための時間を稼いだ日本軍は、「信濃」「陸奥」の両空母と新型戦闘機「陣風」を配備するが、この戦力で次なる来寇に抗し得るのであろうか。日本の完全屈服を目論む米国は、首相となった山本五十六の講和の申し出をも一蹴、かつてない大兵力をもって攻勢作戦を発動した。果たしてこれが最後の戦いになるのか?山本が目指した日米講和は結実するのか―。シリーズ最終巻。

前巻のメジュロ奇襲が契機となって米軍司令官の焦りを呼び、見事な勝利を掴んで時間稼ぎを果たした日本軍。
そこで東条英機に代わって首相に就任した山本五十六が講和を実現しようと動き出しますが、全面的な屈服を目指している連合軍は相手にしようとしません。
そうしているうちにマッカーサー率いる米陸軍はラバウルを迂回し、ニューギニアを西進して着実に占領地を広げていきます。
海軍は空母を次々と戦力化。その矛先はフィリピンかマリアナか。
いずれにしろ物量に勝るアメリカ軍の大攻勢が始まろうとしていました。
日本軍も新鋭空母・大鳳の他、空母改装の陸奥信濃と戦力化していましたが、搭載機の数が違いもあって、まともにぶつかりあえば不利は否めません。
そこで、B29の日本本土空襲を防ぐためにも陸軍に協力を要請してマリアナに戦力を集中。主力空母を擁する機動部隊はパラオに待機して待ち受けることにしたのでした。

昭和19年中頃に差し掛かっていて、史実ではマリアナ航空戦が生起しています。
艦爆は彗星、艦攻は天山に変わり、形だけでも再建された機動部隊は文字通り壊滅したわけですが、本作では戦闘機もF6Fを上回る性能を持つ艦戦・陣風に置き換わっていて、質も維持されているようです。
序盤ではパラオ在泊中にB25の空襲を受けるも、信濃装甲空母の防御力を発揮して、ほぼ無傷。航行に支障が出るほどの損害を負っていたら、その後の航空戦の結果も違っていたはずなのでので、賭けに出て勝ったのは大きいです。

その後はやはり四つの空母群(それぞれ正規・軽空母合わせて3~4隻ずつ)を擁した米機動部隊がマリアナに来襲。
しかし、タイトル通りに堅陣を誇り、寄せ付けません。
ここで総司令官が大砲屋のキンケイドであったことが影響して、早くも艦砲で基地を叩き潰そうと戦艦を繰り出してきます。
ここで日本軍は戦艦を出すのではなく、迎え撃ったのはこれまで大活躍の呂44を始めとする潜水艦部隊。
これが米軍の意表を衝いたのか、策が見事に当たります。
結果的にサイパン島を砲撃していた2隻は艦尾など致命的な損傷を受けてしまいます。潜水艦を狩ろうと出てきた駆逐艦には陸上砲台が攻撃して、潜水艦の逃走を助けるなど協同が巧くいっていますね。やや都合が良すぎる気がしなくはなかったですが。

そして、主役たる空母同士の決戦。
米空母の防御力は際立っていて、おそらく通常攻撃が通用する最後の航空戦って感じがしました。
日本側はでかくて目立つだけあって、陸奥信濃に被害が集中。善戦するも結局沈められた陸奥は不憫でした。前哨戦を含めて何発も爆弾を叩きつけられながら生き残った信濃はさすが。
史実ではこれ以上ないほど不遇な運命を終えた艦でしたが、元は大和型戦艦だったのは伊達じゃないタフネスぶりを見せたのが良かったです。

航空戦が痛み分けに近い結果(艦の沈没・損傷だけで言えば日本軍の辛勝)となって、その後はお決まりの戦艦同士の叩き合いとなったのですが、そこで両軍とも航空機が攻撃に参加したので、距離はありながらも乱戦といった状況でした。
そこで主役になるはずの大和・武蔵に米軍機が集中したせいで砲撃に集中できず、代わりに長門が大活躍したのが意外でしたね。
事前にアラバママサチューセッツが潜水艦の雷撃を受けて退場していたのが効いていました。
勝利する自信たっぷりだったウィリス・リー提督が計算違いにより最終的に負ける展開はもはや著者のシリーズではお約束になっているような。
それでも読みがいがあって毎回ハラハラさせられるのでやめられないのですが。

欧州情勢としては、連合軍の大陸反攻(いわゆるノルマンディー上陸戦)がアイゼンハワーの優柔不断によって延期。
しわ寄せを喰らったイギリスはV1とV2ロケットの攻撃に晒されて本土南部が壊滅。継戦派として一貫して戦争を指導してきたチャーチルが死亡して単独講和に傾いてきたあたりで日本にも講和のチャンスが芽生えたという流れになっています。
まぁ、よほど歴史を変えないかぎり、日米だけでは講和の可能性はないから欧州の変化頼りなのはいつものことです。

6巻で完結ということで最後は略したり駆け足気味でしたが、全体的には面白かったです。
次シリーズが8月発売予定ということで、早くもamazonに載っていましたね。
主役は防空巡洋艦として生まれ変わった青葉と加古だとか。
サブタイトルがなんだか不穏?
『荒海の槍騎兵1-連合艦隊分断』

まいん 『食い詰め傭兵の幻想奇譚13』

内容(「BOOK」データベースより)

さすがにそろそろ、ロレンの所属していた傭兵団の謎多き団長に会うべきであろうと、北行きを進言するラピス。気乗りしないロレンだったが、そこにギルドから緊急依頼が舞い込み、団長が目撃されていたユスティニア帝国へと赴くことになり―。これは、新米冒険者に転職した、凄腕の元傭兵の冒険譚である。

前巻でロレンの育ての親である傭兵団長が生きていて、北方にあるユスティニア帝国にいるという情報が入りました。
以前封印されていた扉の開錠のためにロレンが口にしたキーワード。それは幼い頃から団長に聞かされていた話というのですが、知識の神官を自称するラピスだけじゃなく、長い寿命を持つ神祖でさえ聞いたことがないという。
当の団長に会ってみたいものの、帝国に行くには大陸を縦断するために広大な距離が横たわっており、そう簡単に行くわけにいきません。
そんな時にギルドに舞い込んだのが緊急依頼。
北方にあるロンバード王国が国中にあるギルド15か所を潰したという信じられない情報。
世界を股にかける組織のギルドとしてはそのような仕打ちを受けて座して待てるわけがなく、ただちに報復処置を取るのですが、かといって一国を相手に戦争するわけにもいかなく。
そこで王国と戦争状態にある帝国に肩入れして、冒険者を派遣させることになったのです。
とはいえ、カッファは遠距離にあるためにとりあえず派遣されることになったのはロレンのパーティのみ。
なにやら王国には黒い鎧男が見られたという噂があり、今までの数々の因縁を晴らせるかもしれません。
帝国に行くにはギルドからの特別便を利用するところをラピスの伝手で近道を使うことにしたのですが、それは魔王領を通ること。しかも送迎の為に途中で待ち合わせたのはエンシェントドラゴンのエメリー。
エメリーはかつてブレスで魔王城の一部を破壊したために賠償金を払う羽目になり、借金返済の一部としてロレンたちを魔王城まで乗せることになったのです。*1
さすがにエンシェントドラゴンの速度はすさまじく、あっという間に魔王城にまで到達。エメリーの悪戯心かわかりませんが、ロレンたちは城のバルコニーに放り投げ出されてしまうのですが、勢いのあまりにガラスを破って入った先は大魔王の浴室(入浴中)なのでした。


前半の見どころは大魔王への唐突な拝謁と会談。可憐な見た目ながら、ロレンをして敵わないと思わせる強大な実力の持ち主であるメイドたちに世話されるロレンといったところでしょうか。
たとえ大魔王の前でも調子を崩さず、鋼の精神を保ったあたりが只者じゃありません。
実際のところ、欲に溺れた方が悪い結果になったかもしれないので、そういう意味ではロレンは思慮深いですね。
そして北方に向かう道中では誰もが会いたくなかった色欲の邪神・ルクセリアと遭遇してしまい、宿を騒がせたこともあって、おまけ(ラピスにちょっかい出そうとしてルクセリアに提供された哀れな男たち)つきで引き連れていく羽目に。
こいつが登場するだけで変な雰囲気になるからホント勘弁してほしい(笑)

なんだかんだいって無事(?)に最前線に到着。
組織だった戦闘などできない冒険者一行は遊撃隊に加わり、夜間の遭遇戦に巻き込まれますが、そこは死の王の力が混じり始めたロレンの無双状態。
その間にグーラとルクセリアのつまみ食いもあったので、王国の兵隊は悲惨としか言いようがありません。
しかし、王国には切り札として、邪神の中でも最大に攻撃力を持つ憤怒の邪神レイス・サターニアがいました。
戦いに加わらずに様子を見ていたラピスの機転がなければ危うかったでしょう。
強大な炎を扱う邪神レイス相手に奮闘するロレンが文字通り熱いです。
そしてやっぱり無茶をしてしまうのですが。

最後はいつものように病室で目覚めるのですが、男であるクラースがいたのが珍しかったです。
移動に時間がかかったせいか、後から戦線に来たために命拾いしたクラースのパーティは幸運でした。
ロレンとレイスの激闘の間、敵味方100人を超える人数が死に絶え、グーラとルクセリアは重傷。*2
なんだかんだで一人だけ無傷だったために後始末に奔走するラピスというのもいつも通りですね。
最近の巻では無難にまとまっているものの、内容的にはマンネリ気味だったので、今回のように課題が持ち越しとなったのは楽しみではあります。
団長と再会してロレンの出生の謎が判明するのか。黒鎧の男が支配した(?)王国や敵方にまわった邪神との決着などですね。

*1:同じく多額の借金を背負うロレンとの共感というか勘違いもあったり。

*2:死んでもおかしくないくらいほどだったのに生き残ったのはさすが邪神。

『ミスト』 / 『時をかける少女』

ミスト Blu-ray

ミスト Blu-ray

  • 発売日: 2016/02/17
  • メディア: Blu-ray

『ミスト』
原作はスティーヴン・キング『スケルトンクルー1 骸骨乗務員』に収録の『霧』。
激しい雷雨を伴う大雨が明けた朝、主人公デヴィッド・ドレイトン一家の住む湖に面した自宅では2階のアトリエの窓を破られていた他、隣家の枯れ木が倒れてボート小屋が押しつぶされるなど、散々な状況となっていました。
とりあえず食料等を補給するためにデヴィッドは息子のビリー、それに車に被害のあった隣のノートンを乗せてスーパーに買い出しに行きます。
往路では軍の車と何台もすれ違います。
このあたりでは災害救助のために出動したのかと思うところですが…。
デヴィッドがスーパーで顔馴染みと挨拶を交わしている間に何度もサイレンが鳴り、休暇に来ていた軍人がMPによって招集をかけられていたその時、外から鼻血を出しながら飛び込んできた男が言ったのです。
「霧の中に何かがいる」と。
彼が言うには霧の中から出てきた何かに連れが捕まり、自身も危ういところを逃げてきたのだと。
霧が駐車場から流れてきて、急いで入り口を閉めたところで地震のような大きな揺れが店内を襲ってきました。
揺れのせいか、停電してしまったために倉庫にある発電機の様子を見に行ったデヴィッドですが、何かがシャッターを押していることに気づきます。
そこで副店長オリーを始めとする5人で再び倉庫を調べに行きます。店外の排気口の様子を見ると言ってデヴィッドの制止も聞かずにシャッターを開けたその時、謎の触手が若い店員に巻き付き、連れ去っていってしまう。
やはり霧の中には何かがいる。
始めは信じようとしなかった店長も斧で切り落とされた触手を見て顔色を変え、店内に残っている客たちに説明をしたのですが、ノートンを始めとして頭から信じようとしない者たちは救助を呼びに行くと外へ出て行ってしまうのでした。

1m先も見えないような濃密な霧に覆われただけでも災害と言えましょう。さらに霧の中から襲ってくる異形の魔物。見たことのない大きさの羽虫や蜘蛛、怪鳥、人間の背丈を超える名状しがたい化け物、それに謎の巨大触手。恐ろしい見た目ばかりでなく、それらは好んで人間を襲い、触れただけで焼け爛れて死に至る厄介な毒を持っているのでした。
食料が豊富なスーパーに立て籠るのはパニックものとしての定番*1ですが、それも中にいる人々が協力しあえればまだしも、異常事態に見舞われた人間はそれぞれ勝手な行動を取りがちです。
しかも狂信的な原始キリスト教信者のミセス・カーモディが終末論をかざして煽り、化け物による死者が出たことによる人々の動揺に付け込んで支持者を増やしていくのです。
カーモディの信者が大多数になった段階で、デヴィッドを始めとする数人(副店長のオリー、ビリーを世話していた新任教師のアマンダ、最初に外から飛び込んできたダンなど)は店からの脱出を考え始めるのですが、カーモディは自分たちが助かるためには化け物に生贄を差し出すべきだと言い出すのでした。

中編程度だった原作ですが、映画では霧および怪物の理由をはじめとして色々と肉付けされていますね。
まず触手や化け物が不気味。暗い中であんなのに襲われたら堪りません。
もっとも、本作ではパニックにおける人々の行動こそが見どころでしょう。
映画として見ているからこそツッコミたくなるのですが、あえて死にに行くような、被害を増やすような愚かな行動を取る者が目につきました。
それにいくら異常事態とはいえ、狂信者の扇動に煽られていく過程が怖いです。
あれも宗教的な土壌の違いもあるんでしょうかね。
「あのオバハン、早く黙らせろよっ!」と何度思ったことか。
だからこそ、最後まで冷静だった老教師アイリーンの存在が光っていましたね。
ドラッグストアでは落ち着いてライターとスプレーで怪物退治していましたし、演説するカーモディに石ならぬ缶詰を投げつけた場面では胸がすっとする思いでした(笑)

気になったのは基地司令もしくは幹部クラスならともかく、映画に登場するMPや二等兵が極秘作戦の概要を喋っていた点です。
作中ではあくまでも噂だと言っていましたが、二等兵の同僚が責任を感じて自殺していたのは唐突すぎて納得いかなかったかな。*2

原作小説では最後ははっきりと描かれていなかったと記憶しているのですが、映画では衝撃的な結末が待っています。
ここでネタバレするのは避けますが、デヴィッドが絶叫するのもやむなしと言えるでしょう。
見終わった後に思ったのは、多くの死と崩壊した街の風景を見てきたとはいえ、最後まで理性を失わずに行動してきた彼らだからこそ、もう少し落ち着いて様子を見ることはできなかったのかなと。




時をかける少女 [Blu-ray]

時をかける少女 [Blu-ray]

  • 発売日: 2008/07/25
  • メディア: Blu-ray

時をかける少女
筒井康隆による原作小説*3、それに原田知世主演による映画も見ていますが、今ではあまり憶えていません。
調べてみると雑誌掲載は1965年。『タイムトラベラー』という名で映像化されたのさえ1972年とずいぶん前ですね。
その後、何度も繰り返し映像化されている、タイムリープライトノベルのはしりともいっていい作品です。
2006年、細田守監督によってアニメ映画となったことは知っていたのですが、当時は娘も小さくて、自分が見たいアニメを見られる時間的余裕はなかったですね。
最近、TSUTAYAでタイトルを見て借りてみました。

原作の出来事から約20年後を舞台にしているということで、原作主人公・芳山和子の姪である紺野真琴が本作の主人公になっています。
彼女たちが携帯電話(二つ折りのガラケー)を使っているので、原作小説版というより映画版(1983年)の20年後ならば違和感ないですね。
ヒロイン・紺野真琴は同じクラスの男子2人と友達付き合いしていて、ある日理科準備室に入った時に突然のアクシデントでタイムリープ能力に目覚めるという設定は同じ。
だけど真琴は和子とはおおいに違っていて、良くいえば快活であっさりとした性格。悪く言えばおっちょこちょいでお調子者。
調理実習のトラブルを回避したのはまだしも、テストで良い点を修めたり、妹に取られてしまう前にプリンを食べたり、カラオケで何時間も歌ったり、好きなおかずを食べるために前の日に戻ったり。
自分が時を戻れるようになったと知った途端、欲望に忠実に行動します。
まぁ、相談された和子が言うように、あくまでも可愛い範囲なのですが。
何よりも特徴的なのがタイムリープするためには勢いをつけてジャンプすること。
そのために川やプールにダイブして、遡ると必ずゴロゴロと回転して何かにぶつかる。ずいぶんと激しい子です(笑)
そのくせに恋愛には奥手で、自分への告白を無かったことにするためにタイムリープする。
一方で後輩の想いを叶えてあげようと奮闘する人の好さも見られて、もどかしいけど嫌いになれません。
喜怒哀楽がはっきりしていて、いざとなると無謀ともいえる行動を取るあたり、原作が書かれた昭和とは違う、平成のヒロイン像というのでしょうか。
好きな人を待ち続けた和子と違い、自分から走っていこうとする真琴という対比が物語っています。
それはそれとして、2000年代ながら校舎内の描写が妙に懐かしく感じられました。
高校2年の夏というのは本当に貴重な瞬間だったんだなぁと思わされました。
友情と愛情の狭間で揺れる心情もあいまって、青春SFという意味では原作を正しく踏襲していましたね。

*1:若いカップルが早いうちに被害者になるのもホラー映画の定番か。

*2:同じ若手でも士官学校卒業したばかりで司令部付きとなった少尉という設定なら納得がいったのに。

*3:私が読んだのは1976年の角川文庫版(購入は1994年)。

不手折歌 『亡びの国の征服者1 魔王は世界を征服するようです』

内容(「BOOK」データベースより)

家族の愛を知らぬまま死に、異世界に転生した少年ユーリ。両親の愛を一身に受けながら新たな人生を歩むユーリだったが、彼の住む国家群は“もう一つの人類”の侵略によって亡びの危機に瀕していた。槍を振るい鳥を駆る王国の剣―騎士家。そんな騎士家の頭領だった叔父の戦死は、ユーリとその家族を戦乱の運命へと巻き込んでいき…!?「小説家になろう」で話題の超本格戦記譚、ついに開幕!

小説家になろう」の原作はこちら。
https://ncode.syosetu.com/n5677cl/

孤独な青年が小学生を助けたはいいが、濁流に飲まれて死に、まったく別の世界に生まれ変わります。
耳が長い以外は人間と変わりない種族の牧場主*1ルークの息子ユーリとして生を受けました。
中身は大人とはいえ身体は小さいまま。心温かい両親に恵まれた上に田舎暮らしが性に合っていたのか、ゆっくりと馴染んでいく様子が描かれます。
父の牧場で育てているのはダチョウのような鳥のカケドリ。それに空を飛ぶ天鷲といった人が乗る生き物にユーリは魅せられます。
ただ、彼らシャン人はクラ人という種族(耳は長くなくて、ほぼ人類と同じ)と長らく敵対していて、遠く離れた地では戦争が起こっている。さらに地図で確かめるとシャン人が住むのはほぼスカンジナビア半島であり、大陸側から攻めてきている背景が書かれています。
ユーリの父の実家ホウ家は半島でも南端にある関係で、同盟国に援軍に赴く役目があるという。
話が進むうちに子供のユーリにも種族間戦争の影響が及んでくる中、父がホウ家を継ぐ話に騎士学校への入学と人生に関係する大きな出来事が起こるのでした。


連載当初から読んでいた作品で、もう5年経つんですね。
現世で死んで異世界に転生という定番パターンでありながら、魔法やスキルの類は一切無く、きわめてリアルに即した世界観とよく練られたストーリーにたちまち魅入られてしまったのを憶えています。
途中で1年くらい休載していたこともあって、子供時代の出来事や登場人物があやふやになっていましたので、こうして最初から書籍として読めたのは幸いでした。
従姉妹であるシャム、騎士学校で同級生となる王女キャロル、ミャロやドッラといった主要人物との出会いのエピソードが懐かしかったです。
普段は冷めているくせに、キレると容赦ないユーリの片鱗が早くも出ていましたね。
ちなみにキャロルとの初対面は書籍版オリジナルらしいし、彼女との関係が一気に変化した終盤の展開はかなり加筆されているんじゃないですかね。非常に良かったです。

ある意味ネタバレなんですが、この作品は重要な人物がわりとあっさり死にます。
ここまで名前を挙げた中にもユーリと深く関わりながら悲しい死を迎えてしまう人物がいます。
そういった死をしっかりと描き、ユーリの人格形成に強く影響させるあたりが多くの「なろう」異世界転生小説とは一線を画しているかもしれないです。。
その場面を読むのはきっと辛くなるのはわかっていながら、続きを書籍として読みたい気持ちは強いです。

それと、原作を読んでいた時に登場人物の名前について思ったこと。
「ギュダンヴィエル」といった特別な例もあるけど、だいたい姓名ともに短いです。
覚えやすい反面、区別がつきにくくて、久しぶりに登場したら「誰だっけ?」となりました。
母のスズヤ、伯母のサツキみたいに一部の女性だけ和風名だと逆に目立って印象強くなるんですけどね。

*1:将家と呼ばれる武将の血筋だが、次男の父は家を出て牧場を営んでいた。

壬生一郎 『信長の庶子四 関ヶ原夜話』

信長の庶子 四 関ヶ原夜話 (ヒストリアノベルズ)

信長の庶子 四 関ヶ原夜話 (ヒストリアノベルズ)

  • 作者:壬生一郎
  • 発売日: 2020/05/16
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)

内容(「BOOK」データベースより)

織田信正―通称帯刀。一部の史料にしか名を残さず、一般的にはその存在を認められていない織田信長の“幻の長男”である。弟の家臣として生きることを選び、村井重勝と名を変えた彼は、戦場で、内政で、獅子奮迅の活躍。織田家は再び、攻勢にでた。存在しないはずの“幻の長男”は、日本の運命を大きく変えていく―!!“本能寺の変”が起こる天正十年まで、あと十二年。

すでに完結していますが、「小説家になろう」の歴史ジャンルでは今もって一番好きな作品です。
一,二巻連続刊行の後に間が空きましたが、コロナ過においても無事四巻が出版されて良かったです。

まず今回の目玉は第三次長島攻略戦。
そして百地丹波を味方に引き入れた帯刀(庶長子としての名乗りは織田信正村井貞勝に養子入りしてからは重勝)による伊賀攻略です。
長島一向一揆殲滅は史実よりも2、3年早まっているし、強硬策より調略を取ったことによって史実で二度に渡った天正伊賀の乱を起こすことなく平定できました。
史実の伊勢・伊賀平定では戦下手な信雄がやらかしているところを帯刀に任されたことで巧くいっている様子が描かれますね。
信長が感謝するのも当然で、家督は譲れなくても子世代の中でも一番に頼りにするのはわかります。
また、冒頭では加賀の一向一揆に端を発した混乱において、浅井直政が北上。勢いのままに越前を攻略して朝倉氏が滅亡。
後半ではなんと武田信玄上杉謙信が和睦するという椿事が描かれました。
これも史実よりも早期に伊勢・伊賀・近江が安定して本願寺の勢力が弱まり、織田家の勢力が増した関係でしょうか。織田・徳川に加えて浅井との同盟も継続していますし。
ただし、久政には帯刀が直接対決して裏切りのけじめをつけさせたところが最後のみどころとなりました。
もう一人の転生者とパラレルワールドを示唆しつつも、リアリストの帯刀が一刀両断したところが心地よかったです。

また、帯刀とその母・直子が潤滑油となって、信長と信重(後の信忠)、信雄、信孝を始めとする織田家の仲良しぶりが描かれるのが微笑ましいですね。長島を始めとする戦いで係累が次々と討たれていっただけに。
それに帯刀と直子といえば、現代風の食事を可能な限り再現して、食している描写がたまらない。極めつけは織田信長の誕生会をしてしまったことでしょうか。
フルーツケーキもどきや果実酒には信長もご満悦です(笑)

さて、反撃が功を奏して勢力安定に繋がりましたが、本願寺を追い詰めるための公開論争が次巻で描かれるようです。
多くの戦国大名が苦労してきた武装宗教勢力。信長にとっては最難関の敵である本願寺をいかに料理していくかがみどころです。
それと、今のところは同盟を組んでいる武田との間が不穏な情勢。
史実と違い、東美濃には直子が赴くのがどう関係していくのかが気になります。

ボリュームある書き下ろしの章は小早川隆景でした。
織田家との完全対決前にして、北九州にて大友との激しい戦を繰り広げている時期。
尼子を下して勢いに乗る毛利と九州における最大勢力となりつつある大友。
織田家が西方へ伸長していけば、まずは毛利と対決するのは火を見るより明らか。
概ね史実に乗っ取った描写ながら、将来的に帯刀と隆景による智謀対決を予見させるような終わり方でした。

『天気の子』 / 『ペット・セマタリー』

新旧対照的な2本の映画を観ました。

『天気の子』

言の葉の庭』『君の名は。』に続いて新海誠監督の最新作品です。
始めに書いておきますと、前作『君の名は。』ほどの衝撃は受けませんでした。
君の名は。』は終わった直後にもう一度観たい気持ちが湧いてきたのに対して、『天気の子』はちょっと薄いというか、もう一度観ようかどうしようか迷っているところです。*1
決して悪かったという意味ではないです。
今回のテーマは天気ということで、映像の迫力と美しさには前作以上に圧倒されました。
天気とは人間がコントロールできる事象ではなく、うつろいやすくて、それでいて人々の生活に密接に関係していることを改めて考えさせられます。
ボーイ・ミーツ・ガールのボーイ(穂高)のひたむきさ。*2 ヒロイン・陽菜の可愛らしさ。それに主役2人に負けないくらい身近なキャラクターも良かったです。
特に小学生らしからぬ大人びた凪(陽菜の弟)、冒頭で穂高と出会った須賀圭介と夏美の叔父・姪コンビ。その3人がいたからこそ、主役2人が輝いたと思います。
クライマックスで穂高が陽菜に会いにいくべく、廃ビルを駆け上がっていく様は胸アツでした。

新海誠監督は主役男女に大きな障害を持たせるのがお決まりらしく、『君の名は。』では時間と距離と記憶の消滅、『言の葉の庭』では立場と年齢差(プラス天候か)でした。
本作においては陽菜の神隠しに加えて穂高が警察に追われることになりました。
その逃走する場面が盛り上がりに彩りを与えていました。追う高井と安井の両刑事のキャラも立っていましたね。
ただ、ストーリーのテンポに優れていて、最後まで時間を忘れるくらいに没頭してしまった前作と比べると、本作は後半で若干の間延び感があったのは否めないです。
100点満点でいえば、『君の名は。』が95点くらいで、『天気の子』が85点くらい。
もっとも、一緒に見ていた娘は私とは逆の意見でした。
そのあたりは個人の感覚の違いもあるでしょうね。
ちなみに『君の名は。』の主要キャラ5人が登場することは前もって知っていましたが、穂高との会話シーンがあってわかりやすい立花瀧宮水三葉はともかく、テッシー(勅使河原 克彦)とさやちん(名取 早耶香)は後ろ姿ということも確証がもてませんでした。エンドロールでやっぱり出演していたことに気づけましたが。
四葉も一瞬でしたが、髪型で気づけました。
そういえば、終盤で陽菜の実年齢が判明。穂高は年下じゃなくて逆に年上なのがわかりましたが、陽菜・凪の姉弟にいつまでも頭が上がらないような気がしますね(笑)





『ペット・セマタリー』

スティーヴン・キングの原作を読んだ時の記事を探してみたら、もう10年前になりますね。
『ペット・セマタリー』(上・下)
小説の刊行、映画公開ともに1980年代なので、車や電話など時代がかった感じはします。
あらすじとしては原作をほぼ踏襲しているようで、都会(シカゴ)から田舎の一軒家に引っ越してきたルイス(父)・レーチェル(母)、それにエリーとゲージの姉弟の一家です。
向かいのジャド以外はすぐ見える範囲に家がないくらいのど田舎のようです。
しかし、2軒の間を走る道路は近くにある会社のトラックが猛スピードで走るのに、ブロックなど何もないのでかなり危なっかしいです。
実際に町では飼っていた犬や猫は度々轢かれて死に、森の中には共同のペット墓地*3があるという。
ペット以外に小さな子供だって轢かれる可能性があります。
現に危ないところをジャドが救っているし。
早くも冒頭から危うさを感じてしまいましたね。
せめて庭の前を囲うように柵を作らないのかと思うのは時代と環境の違いでしょうか。

結果的に飼い猫が轢かれて死んでしまい、可愛がっていたエリーに同情したジャドがペット墓地のさらに奥にある秘密の場所に死骸を持たせたルイスを案内する。
それが悲劇の始まりだとは思わずに…。

死をなかったことにしたいという気持ちはわかります。
ましてや子供を失った親の立場であるならば。
ただ、最初に猫を蘇らせた(生き返らせたとは思えない)ら凶暴化していたこと、ジャドが語った過去のケースから、本来とはかけはなれた存在に化けてくるのはわかったはず。
それでもタブーを冒してしまうのが人間の弱さなのでしょうか。
心理描写という面では小説の方がじっくりと描かれているのですが、映画の中でも一見冷静そうに見えるルイスが徐々におかしくなっていく様は伝わってきました。
蘇ったゲージの暴れっぷりがかなりのもので、まさにホラー映画ならではでしょうか。
急患で結局死んでしまったはずのヴィクターが唐突に起き上がってきたり、その後も度々出て来るのには驚きを通り越してユーモアさえ感じますが、実は彼は忠告を与える立場。それにエリーも夢でルイスが悪いことをしようとしているのを感じて幾度も止めようするあたりが健気です。
ルイスが残された家族を大事にする気持ちが強ければ悲劇は回避できたのに、目の前で息子を亡くしてしまった悔恨が強すぎたのかと観た後に思いましたね。
やはり、怖いというより悲しい物語でした。


実は2019年にリメイク版が作られており、そちらは後半の展開がだいぶ違うようです。
それはそれで期待できそうなので、いつか観てみたいと思います。

*1:と書きつつ、やっぱり観てみるつもり。

*2:家出の理由は明かされていない。島では顔に傷を負っていたから喧嘩やイジメの可能性も考えたけど、行方不明届が出されたことに驚いたあたり、家族との確執かな。

*3:"PET CEMETERY"だが、子供が書いたので綴りを間違えて"CEMATERY"になっている。

加納新太・新海誠『君の名は。 Another Side Earthbound』 / 葉月奏太『君の縄。』

先月末にレンタルで借りた『君の名は。』が素晴らしかったことを記事を書きました。
http://goldwell.hatenablog.com/entry/2020/05/31/131801
2回観ただけに飽き足らず公式の外伝というべき文庫を買ったのですが、流行当時ネタとしては知っていた”君の縄”をそのままタイトルにしてしまった官能小説をamazonで見つけて意外に評価が高いことでつい勢いで買ってしまいました。
ということで、中身は関連ないけど2作品続けての感想です。



君の名は。 Another Side Earthbound』

概ね、映画本編では短く略されていた場面を補完する内容となっています。まさに『君の名は。』の世界をより楽しみたい人向け。

第一話 ブラジャーに関する一考察
宮水三葉の身体に入れ替わってしまった立花瀧視点の話。
おそらく1,2回は入れ替わりを経験し、夢ではなく現実と認識した時点。
映画では真っ先に胸を揉み、鏡を見て驚く場面が印象的であったけれど、実際に異性の身体に入れ替わった本人からすると、話す言葉から身体の動かし方から服装髪型まで、何一つ取ってもいろいろと大変だよねってことが細かく書かれています。
そこから新たな禁止事項「マイケル禁止」*1とか、イケてる(と本人たちは思っているけど瀧からすれば全然垢ぬけていない)3人へ言い返したこと。
本編でもあったノーブラ・バスケの後、仕方なくブラジャーを苦労して装着する(ちゃんとホックが付けられてなくて、早耶香に直される)。
入れ替わり時のギャップで周囲の目が変わったことで、瀧は三葉の人となりについてまで考える。
そんなエピソードの一つ一つが映画前半の重要な要素である入れ替わりを細かく補足してくれて、同じ男性目線として納得がいったし、とても楽しかったです。

第二話 スクラップ・アンド・ビルド
宮水三葉名取早耶香の幼馴染である勅使河原克彦が主人公。
彼は地元に根付いた土建屋・勅使河原建設の長男であり、跡を継ぐことが確実。
こんな狭くて濃い町から飛び出したいと言い切る三葉・早耶香にもやもやすることもあるけど、決定づけられた将来に納得していない描写がありましたね。
さらに父親が現職町長と癒着している様をむざむざと見せつけられたら、潔癖症ではなくても若い克彦にはたまらなく感じてしまう。
それでも地元である糸守町が好きだから、なんとかしたいと思うが、どうすればいいのかわからない。
そこで刺激を与えてくれたのが克彦曰く”狐憑きモード”(瀧に入れ替わった)の三葉。
映画本編ではたった数秒しか映らかなったバス停のオープンカフェ作りを通じて、克彦と三葉の中の瀧がわかり合えたところが良かったですね。
それゆえに本編ラスト後にもしも克彦と瀧が出会うことができたら気が合うんじゃないかと思えるのでした。

第三話 アースバウンド
三葉の妹・四葉の視点。
本編でもわざわざ姉を起こしにきたり食事の支度をしたり。小学生4年という設定の割にはかなりしっかり者の四葉からすると、素の三葉は「うすらおかしい」という印象なのが面白い。
さらに入れ替わってからは拍車がかかって「ヤバイ」ところを身近で目撃してしまったのだからもう大変。まぁ、中身は男なんだから仕方ないのだけど(笑)
近頃の変化や独り言から、姉に彼氏ができたと早合点した挙句、地元の事情的に同級生や大学生ではなく、単身赴任のおっさんだと勘違いするあたりがユーモラスです。
そりゃまぁ、一番身近で見ているのだから、その豹変ぶりに悩むのも仕方ないでしょう。
それとわりと重要なのが、四葉が出来心で自分の口噛み酒を飲んでトリップしたところですね。
1000年以上昔から代々糸守の地を収めてきた宮水の一端が描かれていたのが良かったです。

第四話 あなたが結んだもの
彗星の欠片が糸守に落ちて500人もの死亡者を出す大惨事の前に町民を避難させようと詰め寄る(瀧入り)三葉と対面後の俊樹の追憶から始まります。
彼が大学の民俗学者であった時期に宮水神社に訪れて、二葉と出会うのですが、その時の二葉の言葉が運命的でいいですね。
本編では口噛み酒トリップした瀧が三葉の記憶でしか描かれなかった父・俊樹と母・二葉ですが、こちらは俊樹がいかに家族を大切に想っていたかがわかり、映画とはがらりと印象が変わります。
宮水の血筋の中でも特に神がかっていた二葉が病院の治療を拒否し、「あるべきようになるから」「これが別れではないから」といった言葉を遺して死なねばならなかったのか。妻を亡くした俊樹が決意を心に秘め、家を出ていく形で町長になったのか。
さらに映画本編の大きな謎でもある、最初は(入れ替わりの)三葉の言葉を信じなかった俊樹がなぜ避難指示を出したのかの答えとなります。
映画の中ではハラハラさせられた土壇場でしたが、俊樹の胸中がまことに納得のいく形で描かれていますね。
最後が特に映画本編を補完している内容であるなぁと思うのでした。
個人的にはラストの後もいろいろと妄想が捗るものですが、そのあたりは二次創作で補うのでよしとすべきでしょうね。




『君の縄。』

君の縄。 (二見文庫)

君の縄。 (二見文庫)

友成純一を始めとするエログロ・バイオレンス小説や官能小説ばりに濡れ場の多い現代or時代小説も数多く読んできました。比較的最近では冲方丁『破蕾』鎌田敏夫『里見八犬伝(上・下)』あたりですね。
そんな私ですが、官能小説だとわかっていて読んだのはずいぶん久しぶりな気がします。
タイトルの読みが『君の名は。』と被っていますが、中身はまったく別ものです。

主人公は新入社員である三山志郎。
先輩女性社員(美由紀)や課長によるパワハラじみた言動。それに得意先の厳しい女社長(麗華)に気を使う日々を送っています。
それが、ある日を境に態度が激変します。
それどころか、美由紀と麗華が志郎に優しくなるのを通り越して迫ってくることに。
志郎本人は近所の幼馴染である夏美に想いを寄せているのに、奥手なので何もできず、美由紀・麗華に迫られるままに童貞を卒業して身体の関係になっていく展開です。
ここまでは主人公が都合よくモテたんだなと思うだけですが、ある日突然、前のような厳しい態度に戻ってしまっている。あれほど熱く交し合ったことなど無かったかのように。
その理由と幼馴染との関係が気になる流れですね。

わかってみれば、さほど捻りがあるわけではないですが、それでもエロティックなだけでなくストーリーも楽しめました。
タイトルの縄については最後の方に登場します。
確かに縄は縄だな、と苦笑いしました。
最後はハッピーエンドとなりましたが、モテモテになる引き換えのデメリットが怖いですね。
でも、いざ自分が体験したら、ほどほどのところで戻ってこれるか自信ないです。

*1:掃除当番の時に身体を慣らす目的でマイケル・ジャクソンの『スムーズ・クリミナル』を踊っていたところを後輩に目撃された。