最近読んだ漫画『アンゴルモア〜元寇合戦記〜』1、2巻

しばらく歴史漫画を新しく開拓することもなくて、せいぜい『センゴク』や『大奥』の続刊を読んでいるくらいでしたが、先日本屋に寄っていろいろ見ていた時に気になったのが『アンゴルモア〜元寇合戦記〜』。

日本史の中で中世以前のものはあまり読んでいなかったという物珍しさ、それにちょっと前に元寇についていくつか書籍を読んでいたために興味を惹かれたのがあります。
『異国合戦 蒙古襲来異聞』
『蒙古襲来―歴史よもやま話』


主人公は流人に落ちた元御家人・朽井迅三郎(くちい じんざぶろう)。義経流という独特の武芸の使い手。
そう言えば、鎌倉時代って、北条得宗家が権力を握る過程で、かなり有力御家人同士の争いが頻発していた血なまぐさい時代でした。
そのあおりを食らって落ちぶれたという設定らしいです。*1


元寇と言えば、蒙古軍(実際は高麗軍が先方、主力は蒙古・漢混成)によって壱岐対馬は瞬く間に蹂躙されて、大挙上陸した九州沿岸での御家人の奮戦が印象でしたので、あえて対馬の戦いに焦点を当てたのが新鮮でしたね。
寡兵ながら対馬守護代・宗助国*2率いる日本の武士たちの戦いぶりも熱かったです。
初めてまみえる文化の違う相手との戦いによる混乱がすでにここで起こっていたわけですが、対馬での戦いの様子が今後本土にどう伝えられていったのかが気になるところ。
戦前の対馬に史実のあの有力御家人が登場して、主人公と知己があったというのがちょっと驚きでしたが。
冒頭の話ぶりだと、島が占領されても主人公たちはゲリラ活動を行っている感じはします。
まだ2巻までしか読んでいないですが、そこにいくまで輝日姫の安否や防人の末裔たちがどう関わっていくのかが気になるところですね。


ところでamazonの書評にて、主人公の造形が『皇国の守護者』の新城直衛に似ていると指摘があって、そういえばそうだなと思ったり。
指揮官である新城直衛とは違って、義経流という独特の使い手の強い系主人公ですが、かつては名の知れた御家人であったが零落したとか、家族を失ったこととか、いろいろと影がありそうな感じですね。

*1:あと著者のブログによると、実際に流人として戦った口井兄弟がモチーフになっているらしい

*2:wikipediaなどでは資国