10期・54冊目 『南海蒼空戦記4 太平洋艦隊強襲』

南海蒼空戦記4 - 太平洋艦隊強襲 (C・NOVELS)

南海蒼空戦記4 - 太平洋艦隊強襲 (C・NOVELS)

内容(「BOOK」データベースより)
イタリアに進攻する連合軍機甲部隊を突如ドイツ軍新型戦車が襲撃した。ソ連の技術を呑み込み強大化するドイツの脅威に憂色を深める連合軍。窮地に立たされた米軍は戦局を一挙打開すべく、メジュロより機動部隊を出撃させる。連合艦隊は戦力を結集してこれを邀撃、硫黄島上空で熾烈な航空戦を繰り広げるも、米軍の意図は別にあった!「サウスダコタ」「インディアナ」を中心に編成した別働隊をルソンに派遣していたのだ。それを察知した海軍は「金剛」以下四隻の戦艦で迎え撃つ。暗夜に轟く水上砲戦の軍配は果たして―。

前巻にてフィリピンを巡る戦いに勝利し在比米軍をルソンに閉じ込めて、ようやく南方航路の安全を確立した日本軍。
しかしマリアナは未だ占拠されたままであり、このまま手を拱いていれば近い将来に運用が開始されるであろうB29の基地となり、ドイツのように本土が空襲に晒されるのは確実。
しかし勝ったとはいえ艦隊が再び大攻勢をかけるにはまだ時間が必要でした。
一方欧州ではイタリアを下した連合軍が北上するもドイツの硬い防御に阻まれます。
そこには占領したソ連の技術と物資を生かした強力な兵器が立ちはだかるのでした。
手詰まりとなった米軍は日本よりも早く回復した戦力をもって新たな作戦を始動したのです。
それは機動部隊による小笠原諸島方面への陽動。そして本命はルソン島に立て籠もる友軍将兵の救出。
対して日本軍としては小笠原諸島方面が本命として防備を固める一方、対潜任務が主のフィリピンにもある程度の戦力を振り分ける必要があるのではと考慮するのですが…。


背景こそ変わっているものの、攻めに転じるアメリカの目標とその意図を掴み切れない日本の立場はだいぶ史実を反映していて、著者らしくあまりスカっとしない架空戦記であるわけです(笑)
いや日本軍の活躍はある、というか充分すぎるくらい活躍しています。なにせ史実では損傷負わせるのが精いっぱいだったエセックス級空母の撃沈させるくらいですから。
ただ戦術的勝利を手にした日本に対して、戦略目標を達成したアメリカ。
それが今後にどう繋がっていくのか?そして遂に最前線に登場したB29。
最近の横山信義氏のシリーズではB29が登場する前に如何に対米戦を終わらせるかがキーとなっていましたが、本作ではドイツ系技術者の介入による技術底上げがポイントなので、ガチでやるんですね。日本製ジェット機の製造も始まったことだし。
もっとも次巻では戦力回復なった連合艦隊によるマリアナ攻略が予定されているので、どういう展開にしていくのかが気になりますね。