10期・46冊目 『ゲート―自衛隊彼の地にて、斯く戦えり 外伝〈2〉黒神の大祭典編』

内容(「BOOK」データベースより)
『門』封鎖から10カ月。特地アルヌスでは、富田二曹と元帝国騎士ボーゼスとの赤ん坊の誕生を祝うため、伝統祭事が行われることになった。ところが、亜神四柱の出席が決まると特地じゅうが大騒ぎ。式典は異例の大祭典へと発展していく。一方、これを好機と見た一人の新米亜神が、とある古の因縁に決着を付けるべく、アルヌスを目指していた―かつてないスケールの超エンタメファンタジー!異世界大祭典で、黒ゴス神官ロゥリィ大暴れ!

外伝は1巻ごとにヒロインの一人をメインとしているようで1巻がピニャ、そして今回はサブタイトル通りロウリィであり、亜神になる前の修行神官時代のエピソード(愛の神になりたいと思ったきっかけや結婚に関する呪いのわけ)が挟まれています。*1
また、既に子が生まれているが本国と切り離されたことによる行政的不備のために正式な夫婦となれていない富田&ボーゼスを不憫に思った特地の面々が子のナッシダ(日本の七五三と同様の意味合いの行事)と同時に結婚披露宴を新しく神殿を建てたロゥリィ主導により執り行うことになります。
さらに便乗して自衛隊員の士気向上や地域活性化も含めて大々的な祭典が催されることなったのですが、娘(ボーゼス)を取られた父侯爵の葛藤やらボーゼスを目の敵にする公爵令嬢の嫌がらせやらロゥリィに因縁ありそうな光神の神官やらが介入していったり、現存する亜神が勢ぞろいすることから本人たちが望む以上に大規模イベントに発展していき、次第にカオスな状況になっていきます。


三人娘の中で一番キャラクター的に濃い(何しろ神だし強いし)というか特徴あるロウリィの過去話ということで興味深かったのはあります。そもそも戦の神の使徒がハルバートを振り回す黒ゴス少女ってところはファンタジーならではの設定ですよねぇ。
ただ過去エピソードは今までの特徴であるテンポ良さが無くて、いささか冗長的であった気がしました。
その反面、披露宴を含む大祭典がクライマックスを迎えて、流れ的に結婚賛成派と反対(単純に主要メンバーに対する対抗)派による棒倒し大会へと流れていくあたりはいかにも本作らしく妙に盛り上がっていって楽しかったですね。
ちなみにロウリィのあの語尾を伸ばす独特な口調は亜神になった際に少女期で固定されてしまったせいかと思っていたのですが、単に個性だったのですね。

*1:ちなみにラストで外伝3巻のヒロインはテュカであろうことが示唆されている