10期・45冊目 『ゲート―自衛隊彼の地にて、斯く戦えり 外伝南海漂流編』

ゲート―自衛隊彼の地にて、斯く戦えり 外伝南海漂流編

ゲート―自衛隊彼の地にて、斯く戦えり 外伝南海漂流編

内容(「BOOK」データベースより)
『門』封鎖から5カ月。特地では周辺列国の暴走により、各地で紛争が勃発していた。伊丹ら日本使節団は、帝国皇太女ピニャらと共に紛争当事国との交渉に赴くが、その道中に船が座礁し、伊丹とピニャの二人が大海原に放り出されてしまう。伊丹行方不明の報に異世界美少女達は大パニック!空と陸からの大捜査が始まった―かつてないスケールの超エンタメファンタジー。『門』封鎖後の異世界珍騒動、開幕。

結局、外伝にも手を出すことになりました。
外伝とは言っても閉門後の状況が書かれると聞いて、特地に取り残された我らが主人公・伊丹耀司ら。残留希望組とはいえ、本土との連絡が絶たれた自衛隊員を中心とする日本人やアルヌス州の住民たち。戦争が終わってめでたしめでたしとはいえず、むしろその後が色々大変そうな特地の状況が気になりましたからね。


日本との戦争や内戦によって強大だった帝国の勢威が衰えると抑え付けられていた周辺国が蠢動し始め、特地では紛争が勃発するようになりました。
そして日本に割譲されたアルヌス州は本土と切り離されたとはいえ、今後自活していくことを考えると周辺国との折衝も必要となる。
そんなわけで帝国と日本(アルヌス州)は歩調を揃えて外交使節団を送ることになったのですが、ちょうど暇を持て余している伊丹耀司には外交武官の任務が割り当てられたわけです。
任務の性格上、いつも伊丹の周囲を固める四人(テュカ・レレイ・ロゥリィ・ヤオ)が同道しないと聞き、チャンスとばかりに強引に皇女ピニャが押しかけたのですが、恋愛に関しては奥手な彼女に想いを打ち明けさせ、一気にくっつけてしまおうという側近の思惑が更なる暴走ととんでもない展開を招くことになっていきます。


それとは別にハーディからレレイに託された「門」の開閉取扱書の奪取を目論む者たち、アルヌスにロゥリィが神殿を作るため本殿から派遣されてきた神官たち、少子化に悩むハイエルフ種族からやってきたテュカの婚約者候補の七人*1など新たな登場人物たちを通して各ヒロインのエピソードを入りつつ、遭難した伊丹とピニャを巡ってストーリーが動いていくという感じです。
いろいろとエピソードを盛り込み過ぎたせいか本編ほどストーリー展開は進まないし、自衛隊の活躍の場はほとんど無いし(むしろ本土と切り離されて今後どうやっていくかの試行錯誤がメイン)、外伝1はピニャメインかと思えば微妙だし。
まぁでも今回は本編エピローグに繋がる後日譚の序章とも言えるのでしょうね。いかにもこれからトラブルが続く感じなラストでしたし。
本編では「門」を挟んだ両側を描いていて、巻によっては日本側にウエイトを占めていたので、外伝では特地の世界観を幅広く書きたかったということでしょうか。
一応、ピニャメインということで彼女のヒロインらしい健気さと不器用な内面が描かれていて好印象でしたね。しかし彼女と伊丹がくっつくのはまず無理っぽい(笑)

*1:名前はもろにアルファベットのA〜Fだが、性格はかなり個性的