10期・36冊目 『ゲート―自衛隊彼の地にて、斯く戦えり〈3〉動乱編』

ゲート―自衛隊 彼の地にて、斯く戦えり〈3〉動乱編

ゲート―自衛隊 彼の地にて、斯く戦えり〈3〉動乱編

内容(「BOOK」データベースより)
帝国で起こった大政変を憂慮した日本政府は、帝都に空挺団を派遣し、大規模な特殊軍事作戦を決行する。上空を無数の落下傘が舞い、瞬く間に帝都を制圧する自衛隊。一方、冴えないオタク自衛官伊丹耀司と異世界美少女達も、皇城で孤立する皇女ピニャの救出に乗り出す!かつてないスケールの超エンタメファンタジー!驚天動地の第三章、開幕。

ようやく始まった講和への道でしたが、皇帝不予により皇太子ゾルザルを中心に主戦派が権力を握り、講和派を強制的に排除し始めたために再び戦乱へと突き進んでいきそうな気配。
しかも帝権擁護委員部「オプリーチニキ」という旧ソ連のNKVD(内務人民委員部)*1を彷彿させる組織が設立され、皇太子の意に反する者は問答無用で処罰されるようになってしまう。
まさに恐怖政治の始まりです。
一方、炎龍退治の立役者として伊丹らの名はその功績から英雄として流布してゆく。それが皇都に波及すると、唯一の帝国在住ヒト種であったレレイのみ政治的思惑で持ち上げられた挙句、どういった陰謀によるものか命を狙われる羽目に。
日本で得た科学知識と魔法を融合した画期的な研究成果を元にレレイは最高権威である導師試験を受けるべく学都に向かうも、操られた刺客によって幾度となく襲われてしまうのです。


まさに動乱編にふさわしく、次から次へときな臭い場面が続きます(主に帝国内部の問題だけど)。
それゆえ続きが気になってしまうくらい惹き込ませる展開はさすがですね。
主人公・伊丹は第3偵察隊隊長の任を解かれて、単独での資源調査任務を命ぜられます。とはいってもテュカ・レレイ・ロゥリィに加え、2巻での炎龍退治で縁のできた(というか報酬の一環としてその身を貰い受けた)ダークエルフのヤオも加わるという豪華メンバーですが。
炎龍退治時の独断専行に対する減俸処分を受けて、ダークエルフ部族より報酬としてもらったダイヤの原石で補うはずが、大きすぎて通常の宝石商では扱えない。ということで単に現金収入が減って趣味の同人誌が買えずにちょっと可哀想なことになっています。
だけど美女&美少女に囲まれる境遇だからいいんじゃないかと。毎度毎度命がけなのは大変ではあるけど。


今回は帝都騒乱で講和派の貴族や民間人救出のため自衛隊空挺部隊や特殊部隊が投入されて、大いに見せ場がありました。
それに対して小村崎を始めとするマスコミの駄目さ加減が強調されてますなぁ。
その分、拉致されて奴隷扱いから救出⇒家族は銀座事件で皆死んでいたという絶望的な状況の紀子が吹っ切れて強くなっていきそうなのが自衛隊以外で期待できそうな要素です。
そして最後にはちゃんと伊丹らが宮廷に突入して美味しいところ(皇帝&皇女救出)を持っていきましたね。
なんだかんだ言ってやっぱり恰好いいです。

*1:悪名高いKGBの母体