13期・36冊目 『神統記(テオゴニア) 2』

神統記(テオゴニア) 2 (PASH! ブックス)

神統記(テオゴニア) 2 (PASH! ブックス)

内容(「BOOK」データベースより)

亜人種との戦いの最中、「谷の神様」の憑代として『加護持ち』の力を得た少年カイ。豚人族の大戦士・六頭将の一角を討ち果たし、小人族や鹿人族らの帰依を受けたことで、谷には小さな「国」が生まれつつあった。村の仲間たちに力を隠し日々を送るカイに迫るのは、「真理探求官」たる僧侶ナーダ。激戦や他族との交わりのなかで、自身の力とこの世界への知識を深めていくカイは、「調停者」として種族を超えた戦いの宿命に身を投じる…。Web発小説の新地平を切り拓く衝撃作・第2巻。

1巻にて、他の村の救援に向かった、主人公カイを含む人族の軍は豚人(オーグ)族の策に嵌って森林の混戦に巻き込まれてしまいます。
カイは戦いのさなかに敵の戦士に追い詰められて谷に落下。
そこで九死に一生を得たばかりでなく、谷の神様のの憑代として『加護持ち』の力を得ることができました。さらに豚人族の大戦士・六頭将の一角を討ち果たし、他族に追いやられた弱小の小人族の帰依を受けたこと谷の一角に彼らを住ませることになりました。
その際に生贄のような形で小人族の少女アルゥエを捧げられて、送り返すこともできずに仕方なく同居生活を許す形となったのでした。
湖の中の小島に家を建てて生活拠点を作るも、生まれ育った村を捨てるほどに割り切れないカイは神紋はひた隠し、戦いのさなかで多くの神石を喰らったことにして、小柄な体格に似合わない怪力の戦士として頭角を現わしていきます。
そんなカイのことを注視しているのが「真理探求官」たる僧侶ナーダ。
やたらと接してこようとするナーダに不気味さを感じつつも、隠していたカイですが衝撃的な事件が発生します。
以前、カイに想いを寄せていて、初めての相手となったエルサ。
巡察使の貴族に目を付けられて夜伽を命じられ、処女でなかったことが逆鱗に触れて瀕死の重傷を受けるのでした。
それを知ったカイは復讐を決意するのですが、村内で襲い掛かるわけにはいけません。そこで亜人たちに協力を得ようとするのですが・・・。


どうも現代人らしき前世の知識や突然『加護持ち』として目覚めたカイは村の中でも傑出した存在となっていくのですが、そこはまだ13歳の少年だけに抜けている部分があったり、色気より食い気みたいな部分もあって微笑ましいです。
そういった反面、エルサの身に起こった災難や穏やかな印象と裏腹に何か隠してそうなナーダに目を付けられるなど、カイを巡る状況はなかなか難しいようで。
突然、カイが死ぬんじゃないかという窮地に至る場面があって、ハラハラさせられました。
結局、内なる谷の神様の「殺せ!」という叫びは正しかったんだなぁと。


季節は冬が近づき、辺土の過酷な村の暮らしの様子とか、亜人の各部族との関わりも増えてきて、一風変わった世界観のファンタジーとして今後が気になってたまりません。
カイを取り巻く女性陣としては、アルゥエ&新たに加わった鹿人族の娘は可愛らしいけど子供っぽすぎて、肝心のカイからも幼い妹扱い。
エルサは一度は結ばれたけど長らく昏睡中。
そんな中で白姫様こと領主の長女たるジョゼとの関係が気になってきますね。身分の差は大きい、辺境伯の第六子との婚約が結ばれるという話が出ましたが、カイが領主にたいそう気に入られているし、今後はわからないかも。
ちなみにエルサの妹との絡みや最後の方での悪神との戦い前など、加筆があったのは嬉しかったです。
次巻ではweb版でも難産であったらしき悪神との決戦*1が連続で読めるのが楽しみです。

*1:おそらく加筆されているんじゃないかと