10期・18、19冊目 『パンドラ3,4』

パンドラ3 (ハヤカワ文庫JA)

パンドラ3 (ハヤカワ文庫JA)

パンドラ4 (ハヤカワ文庫JA)

パンドラ4 (ハヤカワ文庫JA)

内容(「BOOK」データベースより)
異変をめぐる戦いは、地球の広範囲におよび、やがて宇宙規模へと拡大していった。人類は、さらに苛酷な戦闘を強いられることになる。地球人類がかつて直面したことのない、恐るべき脅威とは?来たるべき人間の未来を指し示す、黙示録巨篇。

2巻を読んでからだいぶ日が経ってしまったのですが、読みだしていく内に徐々に記憶が戻ってきましたね。


前巻の終盤でボルネオ島にて蜂起(?)した野生動物に包囲されてしまった朝倉知幸と自衛隊先遣部隊。
米軍の救援によって無事脱出した朝倉を待っていたのは、世界各国の協力による宇宙艦隊の設立、そして宇宙機によるパンドラへの偵察・攻撃計画でした。
宇宙技術を持つアメリカ・ロシア・日本を始め、周辺機材の生産なども含めれば多くの国が参加して、文字通り人類がパンドラの脅威に対抗すべく動き出したとも言えるのですが、各国の利害関係が絡んだり、技術レベルの問題もあったりして、順調には進みません。
それに加えて、宇宙ステーションでの観測により、パンドラの陰にもう一つの彗星が隠れていたことが発覚。
シミュレーションによれば、そのパンドラ2と名付けられた彗星が最接近すると、その長大な尾によって地球は多大な被害を受けるとのこと。
新たな事実によって計画の見直し・前倒しが図られたのですが、そのしわ寄せとして搭乗員に選ばれた朝倉や汐美に負担がいくことになってゆくのでした。


いよいよ人類の存亡を賭けてパンドラと対決するために宇宙へ。
というわけで後半に突入ですが、観測とともに少しずつ明かされるパンドラの秘密などはまさにSFらしさ満載だったのですが、齟齬ばかりで足並みの揃わない宇宙艦隊計画の模様が延々と続くのは多少辟易しましたね。
せっかく宇宙に出てもトラブル対応の方がメインになってしまっているし。
そりゃあ、昔のアニメにように人類が一丸となって異星人に立ち向かい、派手な戦闘をするなんてのは夢物語であって、もし重大な危機が近づいているとわかっても、人は目の前の問題の方を重視するわけで、手を取り合って協力しあうにはなかなか難しいでしょう。
そういう意味では著者らしいリアリティ溢れる「未知との遭遇」なのかもしれません。
パンドラが接近するものに対して防衛はするものの、自己主張しないところも不気味でしたし。
前半にて異常事態が続いた地球上の状況を後半いかに打開するのか期待していたのですが、あまりにも余計な描写に割き過ぎたために血沸き肉躍らないまま淡々と幕を閉じてしまった感がありました。