9期・14冊目 『天冥の標6宿怨 PART3』

天冥の標 6 宿怨 PART3 (ハヤカワ文庫JA)

天冥の標 6 宿怨 PART3 (ハヤカワ文庫JA)

内容(「BOOK」データベースより)
西暦2502年、異星人カルミアンの強大なテクノロジーにより、“救世群”は全同胞の硬殻化を実施、ついに人類に対して宣戦を布告した。准将オガシ率いるブラス・ウォッチ艦隊の地球侵攻に対抗すべく、ロイズ側は太陽系艦隊の派遣を決定。激動の一途を辿る太陽系情勢は、恒星船ジニ号に乗り組むセレスの少年アイネイア、そして人類との共存を望む“救世群”の少女イサリの運命をも、大きく変転させていくが―第6巻完結篇。

“救世群”が全世界へと宣戦布告。
いつでもどこでも冥王班ウイルスを散布できるという恐怖と異星人カルミアンのテクノロジーにより建造された強力なブラス・ウォッチ艦隊と硬殻化による武力。
遂に世界は屈服したかに見えましたが、事実上は面従腹背といった状態。
惑星バラスにおいても派遣された総督の突きつけた要求に政府も苦慮していました。
なぜなら“救世群”メンバーが行動するごとに一帯を感染対策しなければならないから。
そんな中でリンゴ農場主で政府の商務大臣であるブレイド・ヴァンディは友人一家の娘メララが連れてきた喋る羊と対面して、人類が気づかないまま異星人の長きの渡る争いの一端に巻き込まれていた事実を知り、現在の状況の中で己が為すことを模索するのです。


PART1,2を続けて読んだ後、PART3が気になるなーと思いつつ、ついうっかり1年経ってしまいました。
しかし読み始めたら止まらなかったです。
時系列では遠い未来である1巻への道筋、そして2〜5巻に散りばめられた様々な要素、6巻はそういったものの集大成であるだけにPART1〜3と膨れ上がったのもむべなるかな。
長いだけでなくて、ブラス・ウォッチ艦隊と太陽系艦隊(システムフリート)含む支配者ロイズとの戦闘、ついにその秘めた力を現したドロテア・ワットによる介入、“救世群”内部の確執、それに関わるノルルスカインとミスチフの代理戦争の内幕、そして唐突に訪れた破局・・・そういった怒涛の展開に振り回され、次々と起こる悲劇に戦慄を覚えました。


年表見て気づいたのですが、6巻の出来事は2499年と表記してあり、そして1巻メニーメニーシープでの植民300年記念が2803年なので、もう猶予はあまりありません。
しかしその有力候補だったジニ号乗り組みメンバーおよびシェパード号が最後の最期で墜落してしまったので予想は白紙に戻ってしまいました。
やはりパンデミックから生き残った人たちが新天地を求めて旅立つのかと想像しますが。
次巻ではいったいどのような展開が待っているかと思うと楽しみであると同時に完結が近づくのが伺い知れて惜しい気もあります。