9期・25冊目 『パンドラ1』

パンドラ1 (ハヤカワ文庫JA)

パンドラ1 (ハヤカワ文庫JA)

内容紹介
動物生態学者・朝倉は、ハヤブサ科の鳥、チョウゲンボウの群れの渡りを追跡している際に、通常ありえない高度を飛翔ルートに取る異常行動を観測した。朝倉は、このことからある仮説を導きだし、その仮説を裏づけるような異変が報告されはじめる。それは単なる動物の異常行動ではなく、地球の命運を左右する凶変の始まりにすぎなかった。人類の生存を賭けた熾烈な戦いを描いて、人間存在の根源に迫る、究極のハードSF!

久しぶりに谷甲州氏の作品読みました。
結構前にこの『パンドラ』シリーズを知ったものの、読み始めたら長いかなと手控えていたのですが、読んでみたらこれがハマる!
今更になって、もっと前から読んでいれば良かったと思いました。


主人公の動物生態学者・朝倉知幸が友人と共同で観察していたハヤブサ科の鳥、チョウゲンボウの群れの渡りを追跡していた時に通常ありえない異常行動を取ったことに気付いたのがそもそものきっかけでした。
場所は変わって宇宙ステーション。
飛行士の辻井汐美は近年稀にみる規模の射手座流星群を観察していたのですが、想定ルートを逸れた隕石がステーションを直撃。
そのせいで実験動物棟を含む旧ユニット群がダメージを受けてしまい、やむなく最低限の人数を残して地球に戻ることにしたのですが、その頃よりマレーシアやインドネシアを中心にして野生動物たちが異常行動に走り、人間を襲う事件が頻発するようになったのです。
そして事故があった宇宙ステーションからの通信が途絶えたことにより、緊急発進した汐美らが中の様子を調べてみると、とんでもない事態が起こっていた・・・。


今回はまだ序章とも言うべき段階で、各地で起こっている異常事態を通して人類および地球環境に対して侵略(?)を試みる存在を多角的な視点からじっくり描いています。
朝倉や汐美はそれに直接関わり、いくつかの山場を見せるものの、政府や軍による規制の壁にぶち当たったりして未だ全体像は掴めなくてもどかしい思いもしますが、こういった積み重ねがあってこそ今後の楽しみに繋がる気がしています。
何らかの鍵を握るらしいのがマレーシア人学者のジャミィ。
汐美を介して知り合って以来、朝倉は妙に彼女に惹かれるものの、アクシデントにより離れ離れになったり再会できたとしても振り回されたり。
研究者としては優秀でも、集中すると周りが見えなくなり世間一般には疎い朝倉にやきもきさせられてしまいます(笑)
ようやくジャミィの属するグループと朝倉らのグループが協力しあい、新たな展開を見せたところで1巻は終わり。
「パンドラ」の動きや狙いもまだ未知数ですし、是が非でも続きが読みたくなってしまいました。