9期・10冊目『時空の旭日旗12 時空不連続体』

時空の旭日旗 時空不連続体 (歴史群像新書)

時空の旭日旗 時空不連続体 (歴史群像新書)

内容(「BOOK」データベースより)
1945年1月。「A情報」により情報戦では優位に立っているものの多正面作戦を強いられ苦戦を続ける日本。これ以上の戦線の拡大を懸念する日本は、インド洋からのイギリス軍の侵攻を食い止めるため、4式主力戦車強襲揚陸艦「赤城」などを展開し、タイ・ビルマの英軍を排除する「TB」作戦を発動。ここに日本の反攻作戦が開始される。一方、米国も太平洋航空軍を新設し、虎視耽々と日本本土襲撃を狙っていた…。シリーズ12弾!超時空シミュレーション戦記。

本シリーズにおけるマレー半島の状況としては、日本軍が英軍を駆逐しつつ北上するも外交上の配慮から、タイ国境付近で留まっていました。
しかしタイが連合国の圧力に負けて進駐を許し、多数の基地を建設して対日戦の拠点となって、前巻のように空爆を受けることも。
そこで東南アジア方面の安定を図るために敵勢力を排除すべくTB作戦(T:タイとB:ビルマ)が開始されたのです。
1945年の段階で陸海空揃えてこれだけの作戦を行えるのは史実に比べてもすごいことではあるのですが、さすがにこの時空の日本も台所事情は厳しく、戦力のやりくりをしてぎりぎりの状態のようです。上陸作戦に駆り出されたのが強襲揚陸艦となった懐かしの「赤城」だったり。
でも新式戦車出した割には出番が対空戦だけだったのはもったいない気がしないでもないですが。
そういえば陸軍司令官の名に牟田口廉也中将の名を見た時は、これは皮肉なのかと思ってしまいましたね。
本人は登場しなかったけど、あずみの丸メンバーが知った時の反応を書いて欲しかった(笑)


珍しくヨーロッパ方面が書かれましたけど、なんとドイツ空母グラーフ・ツェッペリンの艦載機が活躍。
太平洋戦線が膠着して米英の戦力が吸引されていることも影響して、まだドイツもイタリアも頑張っている模様。
そうすると、ますます戦争の終わりが見えなくなってる気がしますけどね…。
そしてその頃米軍が密かに企てていたのが修復相成ったミッドウェイと奪還したアッツ・キスカ島を利用した日本本土空襲でした。*1
それを察知したあずみの丸メンバー含む日本側も哨戒用に特化した小型潜水艦の警戒網やや防空戦隊を出しての必死の防戦を行うも少なくない被害が出てしまう。
多方面作戦による戦力の余裕の無さに加えて、防衛の難しさが日本の弱さなんでしょう。
未来情報をもってどれだけ強化しても、やはりこの時代のアメリカの懐の深さというのは計り知れなくて、今後の戦局が気になります。

*1:距離が長いために搭載量はかなり制限される