9期・9冊目 『八八艦隊海戦譜 死闘編1』

八八艦隊海戦譜 - 死闘篇1 (C・NOVELS)

八八艦隊海戦譜 - 死闘篇1 (C・NOVELS)

内容(「BOOK」データベースより)
ソロモン海での戦局が悪化した日本海軍は、米豪分断作戦の中止という苦渋の決断を余儀なくされる。さらに、戦力をブーゲンビルに集中して巻き返しを図るも、レーダー射撃を駆使した米軍の攻撃の前に消耗戦を強いられ、敵にムンダ飛行場の建設を許してしまった。激しさを増すB29*1、P38の爆撃に、ブーゲンビルが陥落、ついにトラック環礁が空襲域に!八八艦隊計画艦の半数を欠いて後のない連合艦隊は、竣工間もない「大和」投入を英断。太平洋の覇権をかけてミシガン級とニューブリテン島沖で激突するが―。

ソロモン海域を巡る戦いは米軍の新鋭艦の投入、レーダー射撃活用などもあって八八艦隊から立て続けに喪失艦が出たのが前巻まで。
米豪分断作戦(FS作戦)実施と決まってから予想されていたことですが、いくつかの海戦は日本側が優勢に終わっても、時が経つにつれ基地設営能力や航空機の物量、輸送能力の差などが顕著になって日本軍は次第に守勢に追い込まれていきます。
ポスト八八艦隊計画艦である戦艦「大和」の竣工により挽回を期すのですが、不運にも本土付近にて潜水艦の雷撃を受けて修理に日を要することに。
その間、焦点はブーゲンビルを巡る戦いに遷り、手薄だったムンダに米軍上陸を許すなど、日に日に悪化して同島守備隊も窮地に陥ります。


夜間の艦砲射撃にしろ駆逐艦によるネズミ輸送にしろ、最初はうまくいくものの、米軍が対抗手段を取るようになると損害ばかり増えてしまう。
まさに史実のガダルカナル攻防を彷彿させる消耗戦に引きずり込まれてゆく様が描かれます。
ムンダの飛行場が完全稼働したこともあって制空権を奪われ、金剛級戦艦を含めた水上部隊も待ち構えていた米戦艦(サウスダコタ級)に敗れたことで、遂にブーゲンビルからの撤退を決意。
そこで同島の将兵を救うべく、大和を含めた八八艦隊が出撃するという流れになります。

決戦は速度の関係で高雄級巡洋戦艦vsミシガン級、大和vs改装サウスダコタ級という新旧対決。
細かい描写は省きますが、結果は旧の数の優位を新型が覆して圧倒。
新型強すぎるという印象ですね。
大和に関しては防御強化されているようですが、やはり著者による修正が入っていますでしょうか(笑)
日本側からすれば無理に艦を分けずに個別撃破に動けば良かったのにと思いましたが。
そして新型同士の対決は次回(おそらくは武蔵の出番を待って)に持越しということでしょうか。
新型艦の登場によって栄光ある八八艦隊にも陰りが出てきたのは仕方ないにしても、どちらかというと主力艦以外の要素(潜水艦や航空機)によって戦局が動いている印象がありますね。
戦争序盤の敗北を教訓にして、慎重を期して確実に勝てる戦略を取るようになった米軍がやはり強い。
やはり本シリーズも史実をなぞっていって、今後は大和や八八艦隊の死闘と凋落が待っているのでしょうか。

*1:B17の誤植だろうが、一瞬びっくりした