32冊目 『七年後の恋人』

内容(「BOOK」データベースより)
誰かが勝手口のドアを叩き、マギーの名を叫んでいる。彼女は窓から外を見て、ぎょっとした。見知らぬ男が裸で立っている!かかわるまいとしたが、叫び続ける男に根負けして、おそるおそる言葉を交わした。すると男は、自分は未来からやってきた、未来で起こるテロを阻止するため、きみの力を借りたいと言う。男の正気を疑い、哀れに思ったマギーだったが、その時はまだ、男の言葉が本当だということも、彼が自分に何を求めているのかも知らなかった―。

見知らぬ男が一人暮らしの女性(マギー)宅のドアを叩いていた。全裸で。
どう見ても変質者です。
しかし男の必死の訴えに負けて、時を超えてきたという彼の信じられないような話を聞いているうちにどこか惹かれている自分がいて、半信半疑のまま協力をすることに(ただしイケメンにかぎる)。


男の名はチャック。七年後の未来においてタイムトラベル技術を実用化させた科学者だという。
それまで開発資金を提供していたウィザード・ナインという組織がその正体を表わしてタイムトラベルを使ってテロを実行してしまう。
開発者のチャックは口封じに殺されそうになったところを友人たちの犠牲もあって危うくタイムマシンで逃れて過去に来ることができたわけです。
七年後の悲劇を防ぐべく、自分自身に対してタイムトラベルの研究を辞めさせよう(歴史を変えよう)と考えているのですが、ここでキーとなるのがまだチャック(この時点では本名のチャールズ)と出会っていないはずのマギー。
マギーとは一目惚れして以来、七年間もの間その想いを隠し続けて友人関係でいたから、説得役としてはうってつけであることは彼自身がよく知っているというのです。
チャックはマギーに対して、チャールズと親しい関係になって、その将来の道を変えさせることを依頼するのですが、マギー自身はすでにチャックに惹かれつつあって心は揺れてしまう。


タイムトラベルをテーマにした不思議な三角関係。しかも時を隔てたとはいえ、どちらも同じ男性。
先に愛した男性(チャック)の頼みごとを叶えることは彼自身の消滅の可能性があるのが悩ましい。
マギーの揺れる女心がよく描かれており、その結末も含めてロマンスものとしては上質の部類に入ると言っていいんじゃないでしょうか。
その反面、敵の行動とかアクションに関しては唐突すぎて流れが読みづらかったですが。
タイムトラベルものとしては、チャールズが本来の歴史とは違う体験をするとチャックの記憶が上書きされるというのが重要なポイントとなっていて面白かったです。