5期・55冊目 『サイレン』

サイレン

サイレン

内容(「BOOK」データベースより)
サイレンが鳴ったら外に出てはならない。29年前、謎のサイレンの音とともに全島民消失事件が起こった絶海の孤島、夜美島。中世には異人が訪れ、戦後は占領軍が駐留した土着と異文化が同居するこの島に、弟の療養のためやってきた少女と父に降りかかる恐怖の体験。サイレンの音とともに出現する幾多の謎に翻弄されながら、予測不能な怪異に巻き込まれていく。映画とは異なるアナザーエンディングで描く小説版。

元はプレイステーション用のゲームソフト『SIREN』、それを映画化した『サイレン』のノベライズらしいです。どちらも名前だけ知っていた程度ですが、名作ホラーの影響を受けている内容だけに興味だけはありましたので、たまたま図書館で見つけて手に取った次第です。
過去に集団失踪があったという絶海の孤島・夜美島を舞台にサイレンにまるわる奇怪な出来事の数々。そしてどこか不気味な島の住人。
ホラーとしてはもう申し分ないほどの材料が序盤から取り揃えてあるのですが、あまり捻りのない平板な内容の上に第3者がヒロインに話しかけるかたちの文章がなんだか鬱陶しかったですね。その事情は後半になって明かされるので、まぁ仕方ないかなとは思ったのですけど。


むしろ「天本由貴の真実」として謎が明かされた*1のに、別の女性の章を取ってつけてあんな結末にする必要があったのか。映画版はまた結末が違うようですが、小説版の結末は蛇足でしかないですね。
あと、せっかく小説化したのならば、島の風習とか住人の様子とか背景となる部分をボリュームを膨らましてくれても良かったのにと思いました。単に映画のストーリーをなぞって結末を変えただけなのかなって感じです。

*1:それはそれで、飼っていた犬が見当たらなくなったこととかみんな幻想オチなの?という疑問は残るけど