5期・3冊目 『戦争の常識』

戦争の常識 (文春新書)

戦争の常識 (文春新書)

内容(「BOOK」データベースより)
新聞やテレビなどで戦争のニュースに接しても、自分では分かったつもりの言葉の中には、意外と理解のあやふやなものが少なくない。本書は兵器の解説のみならず、軍隊の仕組みや兵制、作戦など、戦争に関わるすべての分野の基本用語を、アフガニスタン戦争やイラク戦争などの具体的な現代史も踏まえて分かりやすく解説する。どこから読んでも役に立ち、ニュースを見る目が違ってくる。

戦後六十余年、日本に住んでいるかぎり戦争とは無縁でいられましたが、世界では国家間の戦争こそ減少したものの、内戦や紛争、テロなどは頻繁に起こっていますし、政治上の安全保障を考える面でもごく一般知識としての戦争の常識は得ていた方が良いと思われます。
「日本の常識は世界の非常識」という言葉がありますが、戦争嫌いのあまりに軍事オンチに陥ってしまうのはこまりもの。一般市民ならまだしも政治家までも軍事知識が欠落していたために頓珍漢な発言や行動を取ることもあるそうで。


内容は「戦争の常識」と言っても、変に堅苦しいものばかりではなく、普通に戦争や軍事に関するニュースで報じられる内容で出てくる用語ばかりで、知っているのとそうでないとで理解度がだいぶ違ってくると思うのです。
例えてみれば、政治関連ならば議会とか選挙に関する知識が必要なのと同じことです。ただ一般の日本人には馴染みのない言葉が多いだけで。
軍隊の常識に関しては、兵士の階級とか、集団の単位とか、兵器の種類とか、まぁ子供の頃から戦記ものを読んでいた私には当たり前のことが多かったですけど、一般的には大尉と少佐のどちらが偉いかとか、師団と旅団の違いとか、戦車と自走砲の違いなんてものは知らなくて当たり前なのかなぁ(笑)*1
広く浅く、あくまでも軍事に関する教科書的な内容であるため、冒頭の地政学のくだりや「7:現代戦の常識」に関しては私にとっても知識を補える興味深い内容でした。


また、「8:自衛隊の常識」では、自衛隊を取り巻く状況に関してはなんとかならんかなと思いましたね。外から見れば自衛隊は完全に軍隊に見えても、法制的には軍隊とは程遠い状態にあるために内部ではそのジレンマに苦しんでいるという。その成り立ちからして他国とは違う*2ため、いつまで経っても平時の想定から脱却できない。戦時には何が必要かということを、その時になって気づいても遅いと思うのですが・・・。

*1:さすがに英語では階級の呼称が軍によって違うので徽章によって統一している、なんてことは知らなかったけど

*2:通常は国の独立とともに軍は成立するものだが、自衛隊のみ敗戦後しばらくしてから作られた