那須・戦争博物館

先日の那須旅行で街道沿いに偶然見つけて寄ってきた戦争博物館のことを書きます。


先に32型攻撃機*1と書かれた主翼が正面に掲げてある建物が気になったのですが、そちらは事務所らしく、右手の方に哨兵の人形が見張っている受付があり、そこで入場料千円払って中に入ってみます。


入ってすぐに日露戦争時、旅順包囲戦で使用された海軍の28センチ榴弾砲があったと思えば、並んで自衛隊が初期に使っていたというレシプロ機(機種不明)のコックピット部分があったりして、この不思議な組み合わせはともかく、どうやって入手したのか気になるシロモノです。


通路は左右に分かれ、順路を右に行くと航空機のエンジンが無造作に並べてあるかと思えば、ノモンハン事変の頃に改良された?という九十式改良戦車*2なるものが国旗を掲げて存在をアピールしています。

零戦初期のエンジンという案内だけど、「栄」の初期型(一二型)は1000馬力切っていたはず。後期の二一型の間違いか、あるいは別物?
写真にはちゃんと写ってないけれど、左側にはB29のエンジン、右側にはB29に体当たりした二式複戦・屠龍のエンジンという案内。


その奥に先ほど通りから見えた目当ての航空機。案内板がほとんど読み取れなかったのですが、かろうじて「九五年式」(?)と「陸軍」が読み取れます。しかしその語句で該当する単発航空機が思い浮かばないのですね。九五式戦闘機だとしたら複葉だし、だいたいその頃の単発複座の航空機は寡聞にして知らんです。*3あるいは考えられるのは海軍の艦上爆撃・攻撃機でしたということあるかなと思って帰ってから調べたけど、結局わからんでした。

このあたりは、結構いい加減だなぁと思ったり。


その後、館内に入ってみます。なんとなく暗い中、まるでタイムスリップしたかのような展示品の数々。
入ってすぐに高射砲*4、重機等による十字砲火の真っ只中か。進んでいくと小銃、弾薬、手榴弾までもところ狭しと並べてあります。機関銃に関してはホッチキスにマキシム、ブローニング等など堂々と陳列してあったり、あの有名な三八式歩兵銃&騎兵銃含めてなんとういう展示品数の多さ。




奥に進むと軍旗や軍服を始めとする細かな装備品まであるばかりか、軍事以外でも当時を偲ばせる娯楽品(煙草や本など)や有名将校の書、額の類まであるのは驚きました(デジカメのSDカードの予備を持ってこなくて、撮影枚数に限りがあったので兵器系以外は撮りませんでしたが)。数は少ないけれど、日清戦争日露戦争に関する物品や写真まで展示してありました。


後から知ったのですが、この博物館は館長・栗原白岳氏が戦後になってから個人で収集されたものだそうで、今や1万5千点にも及ぶそうです。
外から見た時は、黒地に白字でいくつも書かれた主張からして、右がかっているのは明白でしたが、中身は日清から日露戦争そして太平洋戦争を経た時代に関するものを淡々と並べてあり、史料的にはかなり貴重なものも多いのではないでしょうかね。時間さえあればもっとじっくり見たいと思ったものでした。もっとも、兵器類に関しては検証が必要でしょうけどね。さほど兵器のディティールに詳しくない私でも不審に思う点が多いので。
ただ、やはり予算的な関係か、保存状態に難があり、それは外で風雨に晒されているものに顕著でした。錆の塊となっていた九七式中戦車や、主翼をはじめ全体的に痛みが目立つ戦闘(爆撃)機など。その点が惜しいなぁと思ったものです。*5


ちなみに今回の那須旅行にて、家族連れ・カップル・女性グループは多く見たけれど、男性だけのグループに会ったのはここだけでした。ある意味、独特の雰囲気がありましたね(私は嫌いではないけれど)。

*1:翼端に特徴あるので明らかに零式艦上戦闘機32型の間違いかと

*2:ノモンハン事変の頃の日本軍戦車と言えば九七式中戦車と八九式軽戦車だけどどうも違う。実は模型らしい。よく見ると砲塔と車体のバランスが変

*3:もしかして練習機のキ8だったりして

*4:しかし案内板には高射機関銃とあるから対空機関銃のことかな?

*5:戦争中の兵器を大切に保存することに熱心ではないのはこの国の特徴であるけれど