- 作者: 光瀬龍
- 出版社/メーカー: 角川春樹事務所
- 発売日: 1999/10
- メディア: 文庫
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内容(「BOOK」データベースより)
東京の中学生・砂塚茂が古道具屋で手に入れた奇妙な機械はなんとタイム・マシンだった!機械をいじっているうちに突如、江戸時代の寒村に降り立っていた茂が見たものは、村を襲う風魔忍者たちの姿だった。人々を救うべく茂は立ち上がるのだったが…。過去と現在を縦横無尽にかけめぐる奇想に満ちた戦いを描く表題作の他、宇宙からの姿なき侵略者による不気味な攻撃を描く『暁はただ銀色』を収録。
もともとはティーン向けなジュブナイルSFとして書かれたらしい2編。中高生頃に読んでいたら夢中になれたかもしれないけど、心汚れた今の私にはちょっと辛かったかな・・・。
「夕ばえ作戦」は中学生が手に入れた機械によって江戸時代初期にタイムスリップしてしまい、ひょんなことから村を守るために親友たちと力を合わせ、現代の道具と知恵を駆使して襲い来る忍者(風魔)衆と戦う。設定がなんとなく「七人の侍」っぽかったりします。昔に比べて体格・運動神経に優れ、それぞれの得意分野を生かした現代の中学生なら忍者とでも互角に戦えるという発想なのだそうです。
それを面白いと感じられるかどうかですね。現代人である主人公らと時代人との会話からして粗雑さが感じられてすんなり馴染めなかったかなぁ。そもそも戦いが日常であった時代の非正規戦専門職である忍者と平和な時代の中学生では、はなから勝負にならないんじゃないかという大人的なツッコミしたくなるのですけど余計なお世話でしょうか。
「暁はただ銀色」は、最近おかしな夢を見ることが続いて遅刻がちな同級生の女子が突如失踪。自宅はもぬけの殻。父親が社長をつとめる会社は存在しなかった・・・。
主人公の少年は仲間たちと担任の教師を巻き込み、遺された手がかりをもとに探すうちに地球のものとは思えない不思議な物を見つける。その頃、人が突然焼死する事件が相次いでいた。
「夕ばえ作戦」と同様、展開の粗さは目立つものの、個人的にはこちらの方が好きですね。女の子の正体をめぐる謎解き、異星人の侵略に対する戦いなど、最後まで楽しめます。
そしてついに正体を表したヒロインと主人公が最後の戦いを終えての別れのシーンがせつなくて心に残る場面。
好きだった女の子が実は地球人じゃなくて、地球を侵略しようとしている異星人と戦うというストーリーは、つい最近までビッグコミックスピリッツにて連載していた「遠い星から来たALICE」(藤沢とおる)を思い出しましたね。