- 作者: スティーヴン・キング,深町眞理子
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2004/04/07
- メディア: 文庫
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内容(「BOOK」データベースより)
猛然たる致死率と感染力を持つインフルエンザ・ウイルスが漏洩した。それと知らず、それぞれの人生を真摯に生きる人々。未婚で妊娠した学生、突然の成功に惑うロックシンガー、人の暖かさを知った放浪の青年…彼らの流す絶望と悲嘆の涙のなか、静かに世界は死滅してゆく。巨匠畢生の超大作、壮大な滅びの物語を序曲に開幕。
ちょっと厄介な風邪に罹ってしまったようだけど、なぁにたかが風邪。薬飲んで一晩寝ていればよくなるさ・・・。しかし一向に病状は回復せず、そうこうしている内に高熱と呼吸器官の障害、そして嘔吐や下痢に見舞われて、あっという間に体力消耗。熱にうなされてうわごとを繰返し意識も混濁、数日のうちに死に至る。*1
新たに流行り出したインフルエンザの実態は凄まじい威力を誇る化学兵器で、事故により外部に漏れ出し、もはや手の施しようのない状態になっていく。
このあたりは先日読んだ小松左京『復活の日』を彷彿させます。
ただしまだ1巻では、アメリカという国家の崩壊の様を描いたシリーズ序章であり、生き残った人々を始め今後の世界がどう展開していくかは次巻に譲ります。
『復活の日』が思いもよらない事故(読者でしか知りえない真相)であり、医療・科学者による真相究明が大幅に遅れたのに対して、本作では事故直後から当局は状況を掴むものの、徹底した隠蔽工作を行うのが恐ろしいところ。
詳細を隠したままで、何もかも後手後手に回っている感じもしますが、この際疫病対策的な話は二の次で要は世界の破滅させたかったのかなと。
本作の特徴としては、やっぱりそれぞれが独立した短編となりうるくらい登場人物のストーリーが生々しく書き込まれているところ。スティーブン・キング特有のくどい言い回しにはもう慣れましたね(笑)
それぞれもがき苦しみながらも懸命に生きている日常の中、突如訪れるウイルスによって、悲劇に巻き込まれることに。*2 今のところ罹患は免れている彼らがこの先どうなっていくのかも興味深いところです。