- 作者: 横山信義
- 出版社/メーカー: 中央公論新社
- 発売日: 2007/08
- メディア: 単行本
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本シリーズのテーマである、史実では不遇というかほとんど出番の無かった兵器による見せ場をいい感じで出してくれました。
以下、ネタバレ有り。
「浅間」は先の海戦*1で受けた損傷の修理のためにドック入りで出番無し。代わりに同型艦「吾妻」とこれも史実では脚光を浴びなかった「大淀」型2隻による海戦が圧巻。このあたりの戦闘描写による迫力は、やはり横山信義氏の持ち味ですね。数少ない戦中就役艦である「大淀」・「仁淀」の活躍は嬉しいです。*2
だけど今回の主役はやはり米・B36ピースメーカーと日・富嶽でしょうな。
いくら1946年まで航空機の開発が進んでいたとしても、B36の迎撃体制を作るのは浅間世界の日本でも無理。本国には戦前からの旧式機しか配備していないというお粗末さだし(工業力を考えたら仕方無い)。ただしそこで数は少ないものの、幻の局戦・震電を出すところはニクイですな。*3
そして日本の(B36が出てしまって、インパクトが薄くなった感がある)富嶽が狙うはロスアラモスの原爆研究施設への空挺作戦。超低空飛行で戦車と銃撃戦をさせてしまうサービスぶり。復路の艱難辛苦は、なんだか檜山さんの富嶽シリーズ*4を思い出させてもらいました。
しかし肝心の特殊部隊による研究施設襲撃の顛末があっさり結果報告のみにされてしまったのは少し寂しかったですね。
次回はおそらくアメリカ東岸での大海戦&Z機連合による空襲で戦争決着か。はたして大和型戦艦3隻は何隻生き残ることができるのか?
それにしてもそういう設定とはいえ、戦略空軍偏重過ぎるのアメリカ軍って何だか変ですね。日本も大変*5だろうだけど、アメリカの経済状態がどうなっているのか気になります。