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人が月に行くという、SF的には古そうで実は未だに簡単に実現できていない*1テーマが意外でした。しかも日本の民間企業が協力しあって作る施設というのが・・・。*2
巨大企業の創業家の令嬢でもある天才少女がヒロインでかつ発案者であるのですが、このプロジェクトを実現しようとする経営者や技術者達の熱い戦いも描かれていて、さながらプロジェクトXの月世界版といった感じです。
世界中の熱狂的な支持を集め、順調にプロジェクトが進んでいくかと思えば、法律的・技術的な面からの障害にぶつかるわ、事故が起こってマスコミからのバッシングに遭うわで、プロジェクトは頓挫の危機に陥ったりもしますが、それらを乗り越えていく様も感動的に書かれていて、読み手を惹きつけます。
ロケット技術や宇宙空間における技術関係に関しては、門外漢なので難しく感じましたが、ひょっとしたら10年か20年後にはこういったことが実現できるのではないかって思えたり。
最後の「災い転じて福と為す」で月面上に発見されたものは、ストーリー的にやや都合よすぎるように思えましたが、思えば何箇所も伏線があったのですね。
とにかく、いわば人類の夢を描いた作品で、読後感もとても良かったのでした。