2期・42冊目 『史記の風景』

史記の風景 (新潮文庫)

史記の風景 (新潮文庫)

歴史物を読むのも久しぶり。
軽く読めるものがいいかなぁと思って本書を選びました。


史記』に関する話題をまとめたエッセイ集で、いずれも2〜3ページというごく短い分量。これは元が新聞紙掲載という形だったからというのもあるでしょうが。テーマによっては物足りなく感じたりもしました。
待ち時間とか、ちょっとした空き時間に少しずつゆっくり読むのに適しているようですね。


国史、中でも春秋戦国時代の第一人者である著者による、独特の語り口での『史記』からのエピソードは興味深い内容がいくつもあります。
「完璧」・「国士無双」・「酒池肉林」等の故事成語の生まれた逸話、それかあら織田信長水戸光圀坂本龍馬と言った日本史の有名人物が史記から影響を与えていたというあたりが非常に面白い。
実は『史記』の記述だけでは素っ気ない部分が多いそうなのですが、そこは他の書物(『春秋左氏伝』など)も引用しつつ、隙間を想像力で補って、読みやすい内容に仕立て上げられているのは、宮城谷氏ならではですね。


春秋戦国時代に興味を持ち『史記』を読んでみたくなった時の紹介書みたいな感じですね。