- 作者: 西村寿行
- 出版社/メーカー: 光文社
- 発売日: 1984/11
- メディア: 文庫
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ほんの一時期ですけど、ハードボイルドを読んでいた頃があって、たぶんその時買ったものだと思います。
本屋で購入する本を選ぶ時に、裏表紙のあらすじを読むというのは今でもしますが、ネットで評価を見ることなんて出来ない頃は、タイトルから直感で買ったこともありましたね。*1 たぶん『妖獣の村』のその中の一つらしいです。
ぷっつりと消息を絶った旅行者・排他的な山奥の村・謎に包まれた奇祭。それに「妖獣」だって??
何だか怖そうなストーリーを期待しますよね。(実際は全然そんなこと無いのだけど・・・)
じゃあ村に隠された秘密とは?一言で言うと「それなんてエロゲ?」って感じ・・・。いやそんなこと言っては失礼でしたね。これはバイオレンス・アクションなんですから。*2
偶然にも最近読んだ開高健『パニック』でも取り上げられていた、30年周期で実がなる笹の習性と白子の獣が絡んで生贄伝説があり、それが現代に陰湿な形で復活したという設定です。
うーん、でも舞台の設定としては現実味に乏しい気がするし、村人たちの行動もワンパターンさが見える。敵ボスらしき村長も最後は情けない。
たぶん最初に読んだ時に比べて、ハラハラドキドキ感が少ないのでしょうね。自分の感覚が鈍くなったのかなぁ。
とは言うものの、ハードボイルドではよくありがちである無敵な強さなど無くごく一般人に近い主人公が、何度も絶体絶命なピンチに遭いながらも、切り抜けていくさまが見どころでしょうか。敵を倒す為には絶対諦めずに何度も立ち向かっていくところに主人公の精神的な強さ、そしてどこか切ないラストが印象に残りました。