2期・20冊目 『巡洋戦艦浅間 激浪の太平洋3』

著者の言葉として、このシリーズでは史実で有名な兵器がさほどの活躍しなくなる代わりに、日の目を浴びなかった兵器が発達するそうです。世界状況がこんなに変化しているので確かに当たり前な話*1ですが、仮想戦記の見どころではありますね。
その点、横山さんはトンデモ超兵器はほぼ皆無。あくまでも堅実路線ですが当シリーズはというと・・・。
前者の代表格がP-51ムスタングであるのは確か。で、後者が本作冒頭のHe219ウーフー。B-29対策のトップバッターにこれを持ってきましたか。なかなか渋い選択ですな。
そしてオアフの航空基地より空に上がったのが何とP-39エアラコブラの発展型(時速700km近くを誇るとか)。でも調べてみるとP-63キングコブラという後継機が実在したので、根拠が無い設定では無いんですね。


今回は横山信義氏の中では史上最強とも言える布陣*2でオアフに攻め寄せた日本軍ですが、戦いぶりを読むと、無敵かと言えば全然そんなことが無いのがらしいと言えばらしい(笑)戦力的に劣勢で追い詰められたアメリカ軍も強いです。*3
せっかく上陸に成功したかと思えば、史実のレイテ海戦を模したような危機が訪れたりします。
大きな作戦だけに省略部分もけっこうありますが、タイトルでもある巡洋戦艦「浅間」を始めとする戦闘艦艇同士の戦闘描写はきっちり書かれていたのが良かったです。
もう一つ気になっていたと言えば、当シリーズでやっと描かれた陸戦の様子。史実とは所属を変えて登場したあの戦車・この戦車の登場にニヤリとさせられましたね。


ただ、兵器と言えば気になった点。
昭和20年というのに主力航空機の後継機はどうなっているのか?
海軍は、烈風はまだしも、彗星・天山の後に流星は出てこないの?
陸軍は、飛燕の後は疾風?(史実の五式は無いでしょうけどね)
同盟間での機種統合の動きからすれば、次巻あたりでドイツが開発したジェットを持ってきそうな気がしますけどね。

*1:拡大解釈すれば、史実における開戦後の日本製兵器はほぼ当てはまるんじゃないか・・・。

*2:機動部隊で言えば空母3隻ずつ4個群、合わせて12隻。映像で見てみたいなぁ。

*3:だからこそ目が離せないというのもある