23冊目 『海の牙城3 本土強襲』

海の牙城〈3〉本土強襲 (C・NOVELS)
作者: 横山信義
出版社/メーカー: 中央公論新社
発売日: 2006/04
メディア: 新書

24日に入手してもう読み終わってしまいました。
読後の感想としては、年月が進んでいくにつれて日本軍の苛められ具合が強烈になってきたなぁ、と。
前回の海戦では戦闘機主体だったので米機動部隊への航空攻撃による損害は無かったですが、今回は本土の航空隊が徹底的にやられます。無残なくらいに。
物量での差もあるし、レーダーを有効利用した技術もそうだけど、やっぱりVT信管かぁ。塚原長官に教えてあげたい!でも教えてもロケット弾が実用化されていないからどうしようもないかぁ。


それでも後半になってようやく見せ場を用意をしてくれましたが、そうは簡単に勝たせずハラハラし通しなのは、まったくもって横山先生らしいです(笑)
しかも、当シリーズではあまり来なかった魚雷誘爆もやってくれました・・・。


考えてみれば、舞台となった昭和19年11月頃は史実でいうと、レイテ海戦後で占領・基地化されたサイパンからのB29の本土空襲が始まった頃です。
2巻の時も書きましたが、史実と比べてずっとましな状況とはいえ、このままではジリ貧になって敗戦への道へ進んでしまうのは明らか。
というわけでGFは乾坤一擲の賭けに出るわけですが・・・。どうも冷静に戦況分析して戦力を揃える米軍に対して、結果がどう転ぶか見えない賭けで出ざるを得ない日本と対照的ですね。
まぁ、今までは米軍のミスにうまくつけこんで、そこそこ勝利できている部分もありましたが、それでも戦況自体は押され気味。遂に本土(釜石)への艦砲射撃を許してしまいますが、撃たれる立場として、一般国民でなく捕虜の様相を書いたのは何らかの伏線ですかね?


本シリーズでは「大和」を別として戦艦部隊の不遇ぶりに比べて、主に水雷戦隊の活躍が目立ちますが、3巻もやっぱりそうでしたね。
氏の作品で優遇される提督として、山口多聞木村昌福がいますが、機動部隊司令長官となった山口提督に対して木村さんは?と思ったらちゃんと1水戦司令官として今回も出ていました。しかも空母を軽巡駆逐艦の小口径砲で苛めるというおいしい役でした。


さて、期待と不安が膨らむ次巻の見通しですが、冒頭にちょっとしか触れられなかった遠征部隊。攻撃に成功するものの当然反撃も食らって空母2、3隻くらいは沈むのかなぁ(つД`) 成否によって戦争の行方すら変わるので大いに気になるところです。
あと「炎龍」ですが、当面の敵はB29じゃなくて本土強襲部隊の戦闘機?
まだ数も揃っていないし、他の作家じゃなくて横山先生のことだから無敵扱いじゃないでしょうな(笑)
帝都攻防も気になります。


あと、『遠き曙光』と同様にシリーズは4巻で終わるのか?
無理に1冊にまとめて戦況を端折ったりせずに、どうせなら2冊に分けてじっくり書いてもらった方がいいかもしれませんね。
それで外伝も欧州編と太平洋編で2冊。これで今年一杯持つ!なんて・・・。
では、また2ヵ月後!