アンケート【人名漢字訴訟、「矜持」の名前は認めず】

【人名漢字訴訟、「矜持」の名前は認めず】200名 http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20060330-00000407-yom-soci

 
判決は妥当 65
判決に疑問 118
その他 17
ふと気になってウォッチリストに入れたまま放置していたアンケートについて今更ながら言及したいと思います。
「判決に疑問」が「判決は妥当」を2倍近く上まっていますね。命名における漢字制限云々もおそらく関係するでしょうが、これは原告が子供につけたかった「矜持」という名前にも多少関係あるのかもしれません。

きょう‐じ〔‐ヂ|‐ジ〕【×矜持・×矜×恃】
《慣用読みで「きんじ」とも》自分の能力を優れたものとして誇る気持ち。自負。プライド。「―を傷つけられる」
(Yahoo!辞書の大辞泉より)

父親が男の子に対して期待を込めてつける名前としては、意味的にごく真っ当です。それゆえ、名前として使えてもいいのじゃないかという意見が多かったのじゃないかと推測しました。このあたり、親にしか読めないような変な読みを名前の漢字当てる親よりもよほどまともな考えだと思います。
ちなみにこのお父さんもプライドを大切にする人なのかもしれません。きっとそうでしょう。役所に拒否されて裁判に訴えるくらいですから。
これが前に物議を醸した「悪魔」君の如く、例えば「六天魔王」君とか「怒論女(ドロンジョ)」様とか「寿限無寿限無五劫のすりきれ・・・(以下略)」さんだったりしたらきっと逆の結果になっていたことでしょう。


さて、引用元の記事についてはどうでしょう。アンケート内のリンクは切れてしまったようなので、拾ってきた記事内容を引用します。

「矜」使った命名認めず 慰謝料請求を棄却

 国が人名に「矜(きょう)」の使用を認めないため「矜持(きょうじ)」と命名した二男(5つ)の出生届が受理されず、精神的苦痛を受けたとして、愛知県愛西市の小学校教諭の板谷信彦さん(41)が、国と市にそれぞれ約10万円の慰謝料を求めた訴訟の判決で、名古屋地裁の渡辺修明裁判長は30日、原告の請求を棄却した。
 板谷さんは控訴する方針。
 渡辺裁判長は判決で、法務省人名用漢字の選定基準とした国民の要望数で「矜」は少なく「常用平易とはいえない」と指摘。人名用漢字として認めなかったことが不合理とはいえないと述べた。
 板谷さんの「矜は普通の漢字で、意味も問題はない。使用が公共の福祉に反する事情はない」との主張を退けた。
共同通信) - 3月30日14時17分更新
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20060330-00000155-kyodo-soci

判決文にしても原告の理由にしても、抜粋してある為、それだけで決め付けるのは危険ですが、判断材料がこれしかないのですから、記事を見て思ったことを率直に書きます。
「矜持」って今、一発で変換できました。たぶん熟語で出てくれば読める人も使う人もそれなりにいるだろうし、言葉としては「常用平易」に近いのではないかと思います。
でも「矜」では変換しようとしても出てきません(MS IME)。「矜」だけ出てきた場合にすぐ「きょう」と読める人はたぶん少ないのではないかと思います。
当然人名用漢字の選定基準は1文字単位ですから「矜」が漏れてしまうのは致し方ないのかなと思いました。
主張的に「矜(+持ならば)普通の漢字で、意味も問題はない」でしょうが、「矜」だけでは無理がありそうです。


慰謝料10万請求での裁判では、勝訴しても費用負担を方が多いでしょう(訴訟は詳しくないのでよくわかりませんが)。精神的苦痛云々については実際にどの程度の苦痛なのか、それとも訴える際の常套句なのか判断つきませんが、原告の別の目的として、普通に使われる漢字の制限撤廃へのアピールもあるのかもしれません。
こうなったら熟語ならばごく普通に使われるのに、1文字単位では使用できない漢字を他にも見つけ出して、対象にすべきだという運動してみてはどうでしょうかね。