東北楽天ゴールデンイーグルスの2024シーズン前半を振り返る

本当は書く気はなかったのですが、いくつかシーズン前半を振り返った動画を見て、楽天イーグルスの扱いがあまり的を得ていなかったのもあり、自分なりに書いてみようと思いました。

【全体】

7/21時点でのパリーグ順位表はこちら。

首位ソフトバンクホークスは今月途中2位までの差がやや詰まったものの、結局10差もつけて首位の座は危なげないですね。よほどのことがないかぎり、リーグ優勝は堅い。
西武も最下位独走中で、5位との差は大きく開きました。

予断を許さないのが2位争いです。2位から4位までが1差ずつとなっているので、後半最初の3連戦で順位が入れ替わる可能性はあります。
5位オリックスも4位まで3.5差なので、連勝すれば8月にはAクラスに入る可能性はあります。
つまり、昨季と同じようにAクラス争いは秋までもつれそうな気がします。

楽天イーグルスの月別勝敗はこちら。

月別勝敗数
3,4月 11 14 1
5月 10 13 0
6月 12 9 1
7月 10 5 0
43 41 2

5月まで負け越し。交流戦優勝もあって6月は勝ち越すことができました。
7月は21日時点ですがリーグ内でもトップの勝ち星を稼いで、4位ながら待望の貯金生活に入れました。

各成績 ()内はリーグ順位

得点 失点 本塁打 盗塁 打率 防御率 失策
306(4) 340(6) 43(4) 60(3) .248(3) 3.62(6) 43(2)

失点・防御率ともにリーグワーストなのは、10点以上取られる大敗を毎月のようにしていたからですね。
失策はわりと少なかったのが救いでした。
また、6月前半まで盗塁以外の攻撃指標も平均以下でしたが、交流戦の頃から打撃の調子が上向いてきました。特に7月はホームラン本数と共に得点が増えてきました。
7月時点ではリーグ内でもかなり打撃の調子が良いチームと思われます。

次は各選手に軽く触れていきましょう。

【先発投手】

早川隆久(7勝3敗 防御率2.21)
藤井聖(7勝1敗 防御率2.36)
この両左腕が前半戦先発ローテの柱なのは間違いないです。早川投手は連続HQS記録しているし、藤井投手は勝率高い。三振が多い早川投手とゴロを打たせて併殺に取る藤井投手。タイプは違う二人ですが安定しているのは同じ。この調子で後半戦で勝利を重ね、ぜひとも球団初の左腕2桁勝利を二人で達成してほしい。

昨季リリーフから先発に転向したのが内星龍投手(4勝6敗 3.02)。援護が少ないながらも、ローテを守ってこの成績はよくやっていると思います。
岸孝之投手(3勝7敗 3.47)は昨季より打ち込まれる試合が増えて、何度か登録抹消されました。でも7/13西武戦の完封勝利はお見事でしたね。最年長のベテランですが、間隔を空けて登板すれば、まだまだいけると思います。
ドラフト1位ルーキーの古謝樹投手(2勝4敗 3.38)も間隔を空けながらの登板で試合を作れています。なんとなく去年の荘司投手(5勝3敗)に近い成績は残せそうな気がします。

残りの先発としては、今季加入のポンセ投手(3勝5敗 6.64)。期待を裏切られたというほどじゃないんですが、いい時と悪い時の差が大きすぎて・・・。まるで去年の田中将大投手を彷彿してしまいます。
期待を裏切られたと言ったら不憫ですが、右のエース候補だった荘司康誠投手(1勝4敗 7.36)。コンデションを整えられないうちにチーム事情から登板してKOされた日が続いてしまいました。最近2軍では好投しているので、後半からの巻き返しを期待します。

先発投手陣の層が薄いのが楽天イーグルスの泣き所。ローテの谷間を任せられる投手が厳しいです。
今のところ、瀧中瞭太投手(1勝2敗 5.32)が筆頭でしょうか。対戦相手を考慮すれば、試合を作れると思えます。
2軍では活躍できた松井友飛投手ですが、7/10のロッテ戦で一死も取れずに8失点KOでした。強風のZOZOマリンという不運もありましたが、知らない球場ではないですからねぇ。
同じく2軍で活躍している辛島航投手は実績もあり、今後上げてもいいんじゃないかと思いますけどね。

【中継ぎ・リリーフ】

5月まで不安定でしたが、交流戦を機にかなり良くなった印象。
主に8回を任される酒居知史投手(2勝2敗23H 3.34)はシーズン序盤ほどじゃなくなりましたが、安定感は変わりません。今季は直球が良くなった気がします。
鈴木翔天投手(2勝12H1S 1.19)は抜群に良くなりました。今の中継ぎ陣で一番じゃないでしょうか。
途中怪我で離脱もありましたが、藤平尚真投手(6H 1.37)は配置転換が功を奏しました。中継ぎとなってパフォーマンスを良く発揮できている気がします。

新守護神の則本昂大投手(2勝1敗3H21S 2.45)は春先から圧倒的なピッチングを見せてくれました。僅差でも9回までリードすればなんとかなると思えましたね。
セーブシチュエーションでの失敗は一度きりですが、同点だったり、ある程度点差があると打たれるようで。気持ちの問題ですかね。しばしばランナーを出すこともあり、松井劇場ならぬ則本劇場と化しています。

その他、弓削隼人投手(1勝1H 3.98)は敗戦処理からでしたが、最近は安定感が出ているように思えます。
渡辺翔太投手(4勝4H 2.42)と宋家豪投手(1勝2敗16H 3.55)は去年より内容が悪くて打たれていますが、後半も必要な投手。なんとなく渡辺翔太投手は勝ち運、宋投手は負け運を持っているような気がしてなりません。

松田琢磨投手はルーキーで一番に一軍デビューし、ロングリリーフや緊急先発登板までこなしました。抹消されて現在は二軍ですが、投球術を磨いて昇格して欲しいですね。
新加入のターリー(逆転3ラン被弾や三連続四球)、2年目の小孫竜二(危険球退場)の両投手は制球が話にならないので出直してきてほしい。

【野手】

解説では判で押したように楽天の打撃は主砲浅村選手にかかっていると言われますが、まったく正しいとは言えません。去年7月に月間MVPを取るほど打棒爆発してチームも上がっていった印象が強すぎたでしょうか。
というか、他の選手をきちんと見ず、とりあえず浅村選手と言っている気がします。

今季の楽天の得点力を担っているのは小郷裕哉選手(打率277 6本 36打点 20盗塁)、辰己涼介選手(296 3本 35打点 11盗塁)の二人です。ともに安打・打点・盗塁数がリーグ上位なのがそれを示しています。
打席が多く回ってくる1番小郷、3番辰己。この二人がどれだけ出塁し、走者を返せるかにかかっています。二人もしくはどちらかが猛打賞だと大量得点に繋がるけど、まったく打てない日は得点力が下がりますからね。

今季も春先から調子が上がらなかったものの、暑くになるにつれて調子が上向いてきた浅村栄斗選手(256 9本 40打点)。いつになったら調子が上がるかと期待して試合を見ていました。飛ばないボールなのか知りませんが、いったか!?と思った打球が外野フライというシーンを何度見たことか。
ようやく鋭い打球のタイムリーヒットや打った瞬間ホームランが出るようになりました。気が付けば打率も.250超えましたね。

楽天打線は長らく5番以降が迫力不足でしたが、野手最年長の鈴木大地選手(285 3本 30打点)が好調を維持しているのが嬉しいですね。ホームランは3本ですが、いいところで打ってくれるんですよね。繋ぎの4番もしくは5番として役目を果たしてくれています。

唯一の外国人野手であるフランコ選手(268 6本 24打点)は開幕試合で4三振して抹消されましたが、二軍落ちしても腐らず辛抱強く調整し、交流戦から上がってきたら大活躍。以前より落ちる球を我慢できるようになりました。福島での代打逆転サヨナラ3ランを始め、エスコンフィールドでの満塁ホームランが印象的です。

内野の要、ショート村林一輝選手(239 3本 26打点 5盗塁)とセカンド小深田大翔選手(230 10打点 21盗塁)は打率こそ低いものの、小技でひっかきまわしたり、守備での貢献が高いです。小深田選手は出塁率を上げて、盗塁を増やして欲しいですね。

阿部寿樹選手(260 4本 19打点)は左先発の時に下位に入るくらいで、打席数少ないながら長打率が高いです。本来内野手ですが、レフトしか入れずエラーが目だってしまうのが不運ですね。
渡邊佳明選手(265 4打点)は交流戦で好調でしたが、リーグ戦再開後は不振に陥り打線を止めてしまいました。シェアなバッティングが持ち味のはずが、打ちたい気持ちが空振りしてしまったような。
黒川史陽選手(206 1本 3打点)は過去シーズンより出場機会が増えて安打は出るものの、殻を破るのにまだ時間がかかりそうですね。
岡島豪郎選手(205 1本 6打点)は6月に1000試合出場を達成しました。ベテラン外野手として守備力は健在ですが、若手中堅の台頭により出番が減っているのは寂しい気がします。
今季新加入の山田遥楓選手(268 1打点)は内野のどこでも守れる守備固め要員、かつベンチの盛り上げ役。一度二軍落ちしましたが、やはりベンチにいた方が安心ですね。
それから茂木栄五郎選手(241 1本 7打点)が代打の切り札となっています。一時期代打での打率が5割を超えていました。本来の打力を考えたら、スタメンで活躍するのを見てみたいですが。

ルーキー野手として唯一一軍出場したのが中島大輔選手(227 2打点)。7/2弘前でのオリックス戦の最終回に代打で出場。初打席で守護神マチャド投手から2塁打を放つという鮮烈なデビューを飾りました。その後の試合でもスタメンで安打を放つなど一時は3割超えの活躍。最近は一軍の投手の壁にぶつかって打率は落としてしまいましたが、今後の活躍が期待できます。
中島選手がレフトで使われるようになると、今まで守備固め要員だった田中和基選手の活用が難しくなってきますね。
少ない打席で結果を出せれれば良かったのですが、26打数3安打(.115)。打席でも空振りが目立つので、スタメンで使うのは難しいですね。

ついでに言えば、春先から絶不調で現在2軍にいる島内宏明選手。ホームランは出ましたが、まだ打率2割前後と調子は上がらない様子。昨季のように後半戦から調子を取り戻せるでしょうか。

それから捕手です。
太田光選手は主戦捕手としてさすがの安定感です。一時期バッテリーを組んだ早川投手とのコミュニケーション不足が問題となりましたが、無事に解消。以降は早川投手も抜群のピッチングを見せてくれていますね。
二番手が石原 彪選手。高卒8年目で二軍暮らしが長かった苦労人です。今季は主に岸・ポンセ投手と組んでいて出番は少ないですが、長打力を発揮してすでに4本のホームラン。2塁走者を牽制で刺すという場面もありました。

楽天ファンのみならず、よく言われるのが安田悠馬選手を一軍で使わないのか。確かに打率3割近く、打点ホームランも稼いで、打撃では結果を残しているようです。
ただ、今季は守備を鍛える方針のようですね。捕手は打撃だけでなく、リードや捕球が大事です。落ちる球を使う投手は多いので、ランナーがいる時の捕逸は致命的。結局守備が改善されないと上がってこないのかと。

【采配】

今季から今江監督となりましたが、昨季まで二軍と一軍の打撃コーチ。監督としては未経験です。
そのためか、6月くらいまで素人目にも首をかしげる采配がありました。例えば大差がついても守備を代えない。相手チームとの相性を考えているようで考えていない。不調な野手を続けて使うなど。

まぁ、現場の指揮というのは第三者から見るのと実際にやってみるのではだいぶ違うのでしょうね。何事も経験しないとわかりません。
交流戦以降から采配に柔軟性が出てきました。それでいて腰を据えて選手を信用している様子も見られます。
いわば、監督として色々と掴めてきたということでしょうか。

先発ローテやスタメン野手に若手中堅が増えてきた楽天イーグルス。新人監督の成長と共にチーム力が上昇していくのが楽しみの一つでもあります。

【今後】

オールスター明けの楽天イーグルスはロッテとの対戦があります。
前半戦最後の週は楽天日本ハムが好調で、ロッテとオリックスが負け越しました。
しかし、4日間の休みでリセットされるかもしれません。
楽天ファンとしては、打線好調を維持して、2年連続で逃したAクラス入りを今年こそ果たしてほしいものです。