7期・54冊目 『廃墟となった戦国名城』

廃墟となった戦国名城

廃墟となった戦国名城

内容(「BOOK」データベースより)
信長の城、秀吉の城、家康の城、そして彼ら天下人と覇を競った名将たちの名城。一度は破壊され、廃墟と化した諸城の住古の姿を追う探究紀行。

以前読んだ『戦国廃城紀行---敗者の城を探る』の続編となります。
前作が大規模な戦はもちろん、政治上などの様々な理由により敗者となった大名の城がどのような歴史を辿り、現在どのような状況にあるかを書かれたのに対し、本作は戦国時代の三大英雄を象徴する城や一時的にスポットを浴びた城がその後の歴史の中でどうなっていったかを取り上げています。
ここで取り上げられている城は以下の通り。
1.織田信長の廃城
安土城
2.廃墟となった天下人・豊臣秀吉の城
大坂城聚楽第伏見城名護屋城
3.徳川家康ゆかりの隠れた名城
高天神城駿府城
4.天下人と渡り合った名将の城
小田原城上田城原城


廃城と言うと、石垣・堀が残っていればまだまし。住宅地や田畑に埋もれ、石碑がなければそこに城があったことなどわからないようになっているのが当たり前です。
高天神城のような山城ならば、本書で書かれている通りに見る人が見ればそこに地形をいかした数々の仕掛けの跡が残っていることに気づくでしょう。しかし歴史に関心が無い人が見ると何もないただの小山だと通り過ぎるだけなのかもしれませんけどね。
一方、小田原城のように平城となると、現代では本丸の天守のみ復元されていて普通はそこしか見ませんがが、実際は街の大部分まで城内として構成(総構えと言う)として縄張りされており、今でもわずかながら痕跡が残っているようです。当然本書でも探索の様子が描かれていて、城好きとしては興味深い内容です。
歴史好きでなくとも誰も一度は行ったことがあるような著名な城(大坂城など)が実は後年再建されたもので、築城時の遺構は地中に埋もれたままだというのは一般には意外と知られていなかったします。
安土城名護屋城のように一時的にかなり大規模な城下町として存在していたたのに、今となっては歴史上に名を残すのみとなったということを知ると栄華の儚さを感じますね。
城主にまつわる部分では、ドラマ・小説・史料を交えての人物像には頷ける部分もあれば、首をかしげる部分もありました。


個人的に興味を持って読んだのが上田城
歴史に関心を持つようになった十代の頃から真田氏好き。なので真田氏三代*1の本拠であった上田城には学生時代に2回ほど行ったことがあります。ただしそのうち一回は櫓の復元工事中であまり見られなくて残念だった覚えがあります。
こちらも関ヶ原の戦い後に破却され、その後藩主となった仙石氏によって再建されたようで、現在残っているのは堀の他に櫓などわずか。真田氏時代の城の規模ははっきりわからないようですが、当時の瓦などが発掘されていたり少しずつ当時の様子がわかってきているようです。久しぶりに訪れたくなりました。

*1:幸隆・昌幸・信之。知名度高い幸村(信繁)は城主では無かった。