7期・36冊目 『15秒』

15秒

15秒

内容(「BOOK」データベースより)
2月10日午前5時、JR関東の運転士の時計が、ケーブルテレビの放送が、そして精密機械工場の時間が15秒遅れて、2人が死んだ。なぜ因果関係のないそれぞれの時間が15秒遅れたのか?犯人は何のために、どうやって時間を動かしたのか。

始まりはJR始発電車の15秒遅発。同日のケーブルテレビが原因不明の15秒放送遅延。さらに時間による制御を行っていた精密機械の作動が15秒狂ったために作業員が巻き込まれて死亡する事故が起こってしまう。
たかが15秒と言えど、秒単位に厳しい管理がされている世界ではその遅れが致命的になるわけで、なぜ15秒遅れたのか事件に関係した男たちがその謎を追うサスペンス仕立てとなっている作品です。


現代の私たちの暮らしは、行き過ぎかと思われるほど時間管理の厳しい仕事があり、コンピュータによる時間制御された機械に囲まれている。
そんな中で突如として時間が狂ったら?
果たして故意に時間を進めたり遅らせたりすることは可能なのだろうか?
丹念な取材調査の成果と思しき様々な事実の積み重ねによって進行してゆく重厚な記述です。その分読み甲斐はあるが、登場人物たちがやたらと振り回されるので、途中まどろっこしい思いもしてしまいましたね。
時間を支配することに溺れて破滅してしまった男と、時間に縛られていた生活から解放された?二人の人物の対比が印象的でした。