5期・50冊目 『碧海の玉座4 ソロモンの覇者』

碧海の玉座〈4〉ソロモンの覇者 (C・NOVELS)

碧海の玉座〈4〉ソロモンの覇者 (C・NOVELS)

護衛戦闘機を伴うB17の空爆で英領ラバウルの基地機能は崩壊。米軍は最新鋭の戦艦と空母を結集した攻略作戦を発動する。追いつめられた日英軍は、起死回生の協同作戦に打って出るが......!?

4ヶ月ぶりの新刊です。
ラバウルを巡って攻める米軍と守る日英軍という構図において、主に英軍が対空レーダー網に強力な戦闘機の運用と、史実と変わらない堅守を見せるのですが、あの手この手の揺さぶりによって守備陣の一角が崩れたかに見られたのが前巻までのあらすじ。
密かに作られていた前線基地より護衛戦闘機(P-38ライトニング)が進出することにより、必死の防戦もかなわず爆撃機による空襲被害も増えていく。どっかで見たような経緯だなぁ。


そこで日本軍は赤城型三隻による第3艦隊を進出させ、対する米軍はユナイテッド・ステーツ型四隻を派遣。愛宕とか高雄とかコンステレーションとかいった名前の正規空母が出てきてちょっと戸惑うのですが、贅沢なことにこの世界でのビッグ7(戦艦ではなく空母になってる)揃い踏みによる本格的な航空海戦ですよ!相変わらず航空戦闘シーンは力入ってます。
そればかりでなく、ユニオンジャックを掲げたUボート*1の見せ場があったりして、こういう意外な組み合わせが横山信義氏による架空戦記の面白さではありますね。


そしてメインイベントは最後に残っていました。制空権をほぼ手中にしたことにより、米軍はラバウル奪回のための木鎚作戦を発動。前回の失敗を教訓として多数の戦艦・空母を押し出した正攻法による一大攻勢をかけます。もっとも、総司令官があのゴームレー提督*2ということで今回の損な役回りは予想できてしまうのですが(笑)
このまま押されてしまうかに見えた日英軍が起死回生の作戦を実施。見所はまさかのあの旧式機の活躍と、いらいらさせられながらもやっぱり強い戦艦大和でした。振り返ってみれば海戦てんこ盛りな巻でした。
結果的にうまくいった日英軍の協同作戦ですが、半年〜1年もすれば損失した戦力をすっかり回復させるどころか、国力にものを言わせてどんどん戦力を増してくる相手にどういう戦い方(加えて戦争の落としどころ)をするのかが難しいところでしょうね。

*1:巻頭にイラスト付き

*2:wikipedia:ロバート・L・ゴームレー