- 作者: 横山信義
- 出版社/メーカー: 中央公論新社
- 発売日: 2008/12
- メディア: 新書
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モーニングスター作戦の先陣を担う闘将ハルゼーは、最新鋭エセックス級を含む八隻の空母を率いて要衝トラックの攻略に向かった。「赤城」麾下の第三、第四艦隊との壮絶な航空戦の末、双方とも深手を負う。
互いに機動部隊の支援を失った状況下、米太平洋艦隊は、新鋭ノースカロライナ級戦艦以下六隻の戦艦を押し立てて猛進、日本軍に艦隊決戦を挑む。迎え撃つ「大和」「武蔵」―トラック攻防の決着は!?
トラックを巡る攻防もまさに佳境。
横山信義氏らしい航空戦、艦隊戦に力が入った内容であって期待を裏切らない読み応えとちょっとしたサプライズはあるものの、これまで読んできた者としてはおおよその流れは予想できてしまうんですよね。
今回のポイント(多少ネタばれ含む)。
- 前回と違って積極的に出た日本機動部隊の航空戦(ハルゼーVS小沢治三郎)。⇒日本軍の優勢勝ちながらも航空機およびパイロットの多大な損失。有名指揮官であるあの人もこの人も死んでしまう。
- 夜戦を選んだキンメル率いる米新鋭戦艦群と迎え撃つ近藤信竹座乗の「大和」に「武蔵」「長門」「伊勢」「山城」「扶桑」⇒古い艦から脱落していき、窮地に陥る日本艦隊。それを救ったのは・・・?
- トラック環礁をめぐるもう一つの海戦。機動部隊から巡洋艦戦隊に移動してきて張り切る南雲提督。しかし相手はあのブルックリン級。
- 勝ったとはいえ、無視できない損害の日本軍、先に戦力回復して再び来襲するであろう米軍の前にどうする?*1⇒三国同盟脱退がほのめかされたところで会議は紛糾する・・・。
史実のミッドウェイやガダルカナルでの消耗が無いとは言え、昭和18年以降はアメリカ側の戦力がわんさか増えてくるわけで、ちょうと戦力のピークである日本軍にとっては重要な戦い。そこを極めてオーソドックスな方向で描いていますね。やや日本の個艦の視点が多すぎて、?な気が展開がしないでもないです。
戦艦の砲撃戦で感じたのは、小口径ながらも手数が多いのが有利な法則は、「扶桑」「山城」には通用しなかったらしく悲劇的展開。頑張ったけど艦齢には勝てなかったかぁ。
結果的に日本は史実よりもいくらかましながらも今後を考えると苦しい状況。
終盤ではわずかながら今後の戦争の行く末について議論する場面がありましたが、日米戦にほとんど影響しない割にはやっぱりドイツとの関係が意味ありそうですね。
そこで第三部では日米関係をどこまで描くのかは気になります。また欧州の状況変化で都合良く講和、なんてことはないだろうな・・・。*2