3期・71冊目 『図書館戦争』

図書館戦争

図書館戦争

内容(「BOOK」データベースより)
正義の味方、図書館を駆ける!―公序良俗を乱し人権を侵害する表現を取り締まる法律として『メディア良化法』が成立・施行された現代。超法規的検閲に対抗するため、立てよ図書館!狩られる本を、明日を守れ。

各種メディアへの検閲が究極的に強化され、本を売るのも買うのも困難な時代、図書館のみが読書の自由の最後の砦として残り、狩る側(良化委員会)と守る側(図書隊)とが文字通り武器を取り戦争にまで発展しているパラレルワールドSFアクション。
小難しい世界設定や戦闘自体は物語に関係する範囲に留め、図書隊新人隊員が様々な経験を通しての成長していく。身体的能力に優れるが決して優秀ではなく(むしろドジっ子)、そこは熱血ぶりでカバーしていくまっすぐなヒロインに周囲が突き動かされる黄金パターン。良くも悪くもライトノベル的であって、難しく考えないで楽しむ作品ですね。
そして読んでいて引き付けられる点は、本好きな人、本を大切にする人にとっては、まるで気持ちを代弁してくれるかのような場面がいくつもあって共感が得やすいことなんですよね。


気になった点としては、毎回上官に暴言&暴走しつつも結果オーライなヒロインや、気分で行動を決める隊長も含めてご都合主義なところですね。*1
規制派と原則派による対立や創設までの経緯など、その内部的なエピソードもある図書館側に対して、良化委員会は権力を象徴する存在として非人間的にしか描かれないので、そこはもう少し詳しく書いてもいいんじゃないかと思ったのですけどね。「戦争」なんだから相手もいることだし。
まぁそのへんは主人公たちの人間関係も含めて次巻に期待ですね。なんだかんだ言っても続きが気になる作品です。

*1:そこは突っ込んじゃいけないのかもしれないなぁ