3期・72冊目 『鋼鉄の海嘯 南洋争覇戦2』

南洋争覇戦〈2〉―鋼鉄の海嘯 (C・NOVELS)

南洋争覇戦〈2〉―鋼鉄の海嘯 (C・NOVELS)

奇策トライデント作戦の失敗で、米国はフィリピンを失い、艦隊に壊滅的打撃を受けた。だが、正攻法に立ち返った米軍は、ノース・カロライナ級戦艦、エセックス級空母をはじめとする新鋭艦多数を結集。モーニング・スター作戦を発動し、トラックに向け中部太平洋を押し進む。敵の大攻勢に押された日本軍は、呂号潜水艦が決死の漸減作戦を展開。さらに一航艦、陸軍航空隊の総力を挙げ、米太平洋艦隊を迎え撃つ!

策を弄して失敗した前巻に懲りて、今回は正攻法で攻め立ててくる米軍と守る日本軍との戦いを描く前編といった内容です。前回の損害などどこ吹く風とばかりに新戦力を揃えた米軍に対して、日本の生産体制はいつものようにほぼ史実通りなので、新加入の水上戦力は戦艦「武蔵」と改装空母群。今は何とか拮抗しているけど、この後は一方的に引き離されることが予想されるので戦いとしては山場となるんじゃないっすかね。


今回のポイント(ネタばれ含む)

  • マーシャルを放棄してトラックに戦力集中した日本軍
  • 漸減作戦の一環である日本軍潜水艦隊迎撃で取り入れたドイツの郡狼戦術
  • トラックにおける前哨戦(B17空襲)
  • トラック近海の日米機動部隊同士の戦いと米新型戦闘機*1vs天風、零戦

奇策を取らず正攻法で、かつ史実と違って戦力・人材が揃っている日本軍が中部太平洋での防衛戦を戦うとなると横山信義的仮想戦記としては王道パターンなんですが、それだけに既にマンネリと言うしかないのです。今回は特に過去作品で見たことあるようなシーンが目につきましたねぇ。*2
まぁこれだけ太平洋戦争ものを書いていればどこかかぶるのも仕方ないという見方はありますね。それに読者を飽きさせない戦闘シーンは定番というべきか(ファンとしての贔屓目もあるだろうけど)。中でも良かったのは潜水艦による雷撃を受けた戦艦「伊勢」が艦隊を離れ、トラックにて防空戦に貢献したあたりですね。
ちなみにドイツに関しては欧州情勢が冒頭でさらっと触れられたのと、アメリ東海岸での通商破壊作戦がアメリカの対潜能力の高さによって損害が出ているというくらいしか出てきませんでした。もう少し米軍を困らせてもいいと思うのですが、あくまでも脇役に徹するようです・・・。*3

*1:いわゆる地獄猫

*2:ハルゼーが水上砲戦部隊で夜戦を挑むあたり

*3:イギリス製ドイツ艦隊の出番はあるのかなぁ。いやむしろ日本に来てきれないものか