2期・82冊目 『きみとぼくの壊れた世界』

きみとぼくの壊れた世界 (講談社ノベルス)

きみとぼくの壊れた世界 (講談社ノベルス)

内容(「BOOK」データベースより)
禁じられた一線を現在進行形で踏み越えつつある兄妹、櫃内様刻と櫃内夜月。その友人、迎槻箱彦と琴原りりす。彼らの世界は学園内で起こった密室殺人事件によって決定的にひびわれていく…。様刻は保健室のひきこもり、病院坂黒猫とともに事件の解決に乗り出すが―?『メフィスト』に一挙掲載され絶賛を浴びた「体験版」に解決編を加えた「完全版」。これぞ世界にとり残された「きみとぼく」のための本格ミステリー。

う、うーむ。ストレートのウォッカだと思って期待して呑んだらモスコミュールだったという感じ(一体何を期待していたんだか)。
1章からの櫃内兄妹の関係の危うさからして、もうこれはギャルゲー*1・テイストで妹萌えとかツンデレとかそっちが好きな人にはたまんないのでしょうな。無論、妹のみならず同級生の琴原りりすとか病院坂黒猫(なんちゅー名前だ)との関係も。


一応、学園内で起こった殺人事件を追うミステリー仕立てではあるものの、あくまでも謎解きは添え物扱いのような。主題は己についての悩みとか人間関係を中心とする日常を描いたものであり、独特のもってまわった言い方でつづられるのです。それについては妙に内に篭もる主人公(様刻)の思考や保健室のひきこもりである病院坂黒猫の口調が特徴的。そこがしつこいとも言えるし面白いとも言えそう。


登場人物達の設定にはご都合主義的なものを感じるし*2、行動は結構アブノーマルではあるものの、作品内の雰囲気によるものか、さほど意外には感じられないのですね。まぁこんな感じかと。
ラストはハッピーエンドっぽくはあるものの、ある意味予想外とも言える。繰返して語られてきた終りの始まりを象徴させているのかな。

*1:実はギャルゲーはよく知らない。エロゲ-ならば前世紀までやっていたけどw

*2:教師や親といった大人はほとんど出てこない