2期・27冊目 『三国志1の巻 天狼の星』

三国志 (1の巻) (ハルキ文庫―時代小説文庫)

三国志 (1の巻) (ハルキ文庫―時代小説文庫)

前に人力検索はてなにて三国志に関するアンケートを実施した時に、また『三国志』が読みたいと思って、試しに買ってみたうちの一冊。しばらく積んだままでしたがこのたび読んで見ました。


う〜ん、『波王の秋』もそうでしたが、私には北方謙三の文章は合わないのかな。
どうしても面白いとは思えませんでした。
会話が多くを占めているので武将のキャラクターがよく描かれているという評価がありましたが、はっきり言って単調です。主要人物と配下の会話ですが、固有名称を入れ替えれば誰と誰が会話しているのか区別つきません。
ただし、呂布については不器用だけど一途な男として書かれ、他の三国志物と比べても遜色ないです。
そう言えば、三国志でも後漢末の時期はまさに群雄伝と言ってもいいくらい人物が豊富で出ては消えていくのですが、なんかやけに登場人物が少ない*1し、扱いに差があり過ぎるような。


そして会話中心にして状況描写が少ないので、街とか城とかの風景、人物の服装とかイメージが全く浮かびません。これは他の中国史を書く作家と比べると歴然としています。
あと「旗本」とか「軍人」とか、後世の用語を濫用するのが興ざめでした。


手厳しくなってしまいましたが、三国志が好きなせいもあって、自然に求めるハードルが高くなっているのかもしれないです。

*1:多彩な人物が登場するところが歴史長編の魅力であって同時にとっつきにくいところである気がするんですが。