3期・92,93冊目 『導きの星(3),(4)』

導きの星〈3〉災いの空 (ハルキ文庫―ヌーヴェルSFシリーズ)

導きの星〈3〉災いの空 (ハルキ文庫―ヌーヴェルSFシリーズ)

導きの星〈4〉出会いの銀河 (ハルキ文庫―ヌーヴェルSFシリーズ)

導きの星〈4〉出会いの銀河 (ハルキ文庫―ヌーヴェルSFシリーズ)

3巻 内容(「BOOK」データベースより)
辻本司の活躍(?)で、遂にオセアノは産業革命を迎えた。天才発明家の登場により、文明は大空を目指す。そんな中、種族間の反目を契機に司はその正体を明かす決断を迫られる…。一方、地球政府は「超地球知性体」の存在の証拠を入手する。銀河文明を操るゲームマスターとは一体なにものか?転換点の暗雲の中、勇気を持って前進する人々を描く好評ハートフル文明育成SF!第三巻は航空機開発と核危機の時代。

1,2巻は育成ゲーム感覚と書きましたが、前半はある意味地球人は神の立場で発展を見守るといった感覚でもありました。それに対して今回の3,4巻は親と子の関係に近くなってきたでしょうか。成長した子はいずれ親に対して反抗したり乗り越えようとするわけで・・・。
所属する外文明支援省の原則を無視して、司らは積極的に支援に関わっていった結果、驚異の発展を見せるオセアノ人。そして星間企業が連合して非合法に育成を始めたセントール人の二つの文明が宇宙に飛び出し、やがて人類と関わってくるようになってきます。そこには独自の目的を持ち人類とは袂を分かつことになったパーパソイドたちも絡んでいて、不穏な雰囲気が漂うわけですが。


地球を含む文明の変遷がテーマにもなっており、長らく銀河系に君臨してきた地球人類でさえも例外ではなく、超越した知性体によってその観察、時には干渉を受けていたという*1。その結果巻き起こった異種間文明の争いの中でそれぞれの人物はどうするのか・・・というのが4巻の見どころ。3巻までの謎は終盤急激な展開の中で明かされます。


今までのいきがかり上、どうしてもオセアノ人と司、そして心を持つアンドロイドともいうべきパーパソイドと司との関係がどうなるかが気になって読んでいて、最後のちょっと曖昧だけどほんわかした結末に著者らしさを感じたものです。ただ、最後までセントール人に付き合ったモッデル*2の行動に感銘を受けたのも確かですね。

*1:そういう存在が出てくるのは、いかにもって感じの展開ではあるのですが

*2:元企業エージェントでセントール人の育成担当の一人だった