はてなのYoshiyaさん

question:1170698443
得意分野に日本史とあったので俄然質問する気がわいてきて、一両日ほど考えてましたが、なかなかコレ!っていうのが思いつきませんでした。
考えてみれば、id:Yoshiyaさんとは人ま会での付き合いはあったものの、日本史関係でどんな嗜好を持つかまでは知らなかったもので。
結局、過去の自分の質問の使いまわしになってしまった・・・。

日本史の中で一回だけ、Yoshiyaさんの好きなように歴史に介入することができます。
せっかくですから、最小の努力で最大の効果が望めることをしてみましょう!
"いつ" "どこ"で "なに"をしますか???

Yoshiyaさんの回答、ヘヴィーな内容で来ました(^_^;A

-いつ「1941年8月」(日本必敗のシュミレーションが出された時)

  • どこで「東京都 永田町」(シュミレーションを近衛内閣の閣僚に報告した時)
  • なにを「陸軍大臣 東条英機を説得する。 できなければ刺し違える」

そこまでの根性が私にあるのかはわかりませんが、もしその場所にいる事ができれば、戦争回避の為にやってみたいと思いました。

当初、東條一人排除したところで、歴史の流れは変わりよう無いのでは?と思ったりもしたのですが、よくよく考えてみればこういう流れも面白いかもしれません。
説得が成功した場合は少なくとも主戦派の一角が崩れることで、史実とは違う動きが起こる可能性は少なくないかも。
説得材料としてシミュレーション結果だけでなく、漫画『ジパング』ではないですが、開戦後日本の辿った道を巧くプレゼンテーションしてみせて、ショックを受ける東條英機。そして−−−−−−→組閣の大命を受け、内閣総理大臣に就任した東條は、陸軍の期待を裏切り英米講和派に接近、日独伊三国同盟の脱退・中国大陸からの撤兵といった大胆な施策を断行。日米間の緊張は一気に緩む。しかし、陸海軍の少壮将校や国粋主義者を中心に「裏切り者・東條」を打倒するクーデターが密かに仕組まれていた・・・。なんて妄想。


東條英機が死んでしまったとしても、当時、陸軍強硬派を抑えられる人物と言えば、東條しかいない。*1もし他の人物になった場合に、暴発してクーデター→2.26のように天皇自らお出まして鎮圧。うまくすれば強硬派勢力が後退・・・なんてことにならないかなぁ。*2


コメントにも書きましたが、私自身もどうすれば戦争を回避できたのだろうと考えてみたことはあります。歴史改変の可能性も含めて。
でも昭和十六年の段階では、なかなか効果的な方法を見出せませんでした。
理由としては、

  • 日本は独裁国家ではなかったので、ドイツのヒトラーに相当するようなキーとなる人物が見当たらず、国家戦略を劇的に変えるには相当入れ替える必要がありそう。*3
  • 昔、軍部によって戦争への道を行かざるを得なくなったと教えられた。だけど悪いのは軍部、国民はいつも犠牲者というほど物事は単純でないと思う。少なくとも戦前は国民の大部分も強硬論に賛意を示していたのではないかという印象。いつだって生活に支障が出ない範囲ならば、調子の良い言葉に惹かれがちでしょう。避戦に向けようとする人物を実力で排除しようとする強硬派というかそういう雰囲気を何とかしなければならない。*4

かつて、中国大陸からの撤兵ができたならば対米戦を回避できたはずだ、という意見に感心したことがありますが、いろいろ*5あって簡単に済みそうな話ではありません。
なので、どこかの仮想戦記小説みたいに、多少歴史を遡って改変しなければ難しいのではないかと思うのです。


そこで思い出したのが、前に私が実施した質問(【太平洋戦争を阻止せよ!】)です。
パラレル世界というか改変後の歴史の動きを考えますと、どこまで遡れば目的とする歴史を変えることができるか、どれくらい変わるか、想像は尽きないのですが、史実のような大東亜戦争(太平洋戦争)をまるきり変えるためには、妥当なところで日露戦争あたりから5.15事件までかと思っていました。
幕末から明治政府の成立あたりを変えるのも面白いけれど、その後がどーなるか読めない。回答の中で、昭和十六年九月六日の御前会議がラストチャンスという意見がありました。


それはともかく、史実を振りかえって見た時に、よくある疑問として出てくるのが、勝ち目の無い戦いだったのにどうして始めてしまったのか?戦争への流れを止めようとはしなかったのか?ということです。
ちょっと前にウォッチリストに入れた質問で、こんなのがありました。
太平洋戦争が、よく言われるように無謀な(=勝ち目のない)戦争であったかどうかを調べてみようと思っています。
実際のところ、程度の差こそあれ対米戦の遂行は困難であることを認識していた人物は多くいたでしょう。(例えば日独伊三国軍事同盟が英米を敵にまわすとして反対していた人々)
そして昭和十六年十一月の段階まで戦争回避への手段は取られていました。


実際どういった点で戦争に踏み切ることが「無謀」であったということは、この質問にいろいろと寄せられていますので、回答の中からピックアップします。

  • 確固とした戦争収拾への方針を持たなかった
  • 日中戦争が泥沼化し、国力が疲弊し始めていた
  • 相手国の国民性や国力に対する侮りや希望的観測
  • ドイツが欧州を制して、イギリスなどが連合側から脱落するだろうという他力本願な姿勢
  • 人事や命令系統と言った組織的な面で不合理・非効率が多かった。平時の運用のままずるずると戦時に移行してしまった。


他にもいろいろとあるのですが、確かに当時の日本が強大なアメリカを始めとする連合国に対して戦争しかけるとはなんと無謀な、って思いますわな。
戦前から終戦までの経過を見れば、いろいろと過誤が目につきますし。
でもですね、それって現在からの視点で結果を知っているからってのもあるのでしょうねぇ。
よく日露戦争の時と比べられますが、日露は(形の上では)勝利、対米は敗戦(しかも悲惨な)と対照的です。勝った時は良い面に目がいき、負けた時は悪い面に目がいきがちなのではないでしょうか。

偏見や思い込みにとらわれずに歴史を理解するためには、正しい知識にもとづいた公平な判断力が必要なのだ。当時の社会背景、権力構造、時代の流れ、それに倫理観、それらによって善悪の価値観も違うことを知らなければ、正しい歴史認識はできないのである。
海音寺潮五郎『悪人列伝 中世編』梓澤要による解説より)

どの時代でも共通して言えることですね。
更に、日清戦争日露戦争大東亜戦争(太平洋戦争)という点で捉えるのではなく、連続した流れとしての線、更に国際情勢をも加えた面という見方で歴史をよく知っていかなきゃと思うわけです。


ちなみに先にあげた【太平洋戦争を阻止せよ!】とは、檜山良昭のシミュレーション小説のタイトルからいただきました。昭和初期の日本を再現した仮想マシンの中で首相になって日本を戦争回避に導けるかやってみようという内容です。
史実を変えようと努力するも、こちらを立てるとあちらが立たず。各勢力の機嫌を損ね過ぎると倒閣運動が起きたり暗殺さりたりしてゲームオーバーとなかなか理想通りにいかないストーリーでした。

新・大逆転!太平洋戦争を阻止せよ (カッパ・ノベルス)

新・大逆転!太平洋戦争を阻止せよ (カッパ・ノベルス)

でも百聞は一見に如かずと言いますが、こういうマシンが実際にできれば歴史的事実を体感できていいですけど。


何だか今回はタイトルからだいぶ話が逸れてしまいましたね〜。
質問終了前にUPするつもりが、時間的な問題以外に他の質問まで言及しようと欲張ったせいで、すっかり予定が狂っちゃいました。


【参考】
東條英機
山本五十六
日独伊三国軍事同盟

*1:木戸幸一日記

*2:そういや「テロによって歴史を変えることはできない」(銀英伝ヤン・ウェンリー)なんて台詞があった気がしましたな

*3:東條英機は元々主戦論者で、内閣総理大臣兼内務大臣・陸軍大臣に就任したけれど、独裁者というほど権力を一手に握っていたわけで無い上に、極度と言えるほどの天皇崇拝者であった。まぁ、ヒトラー好きでもあったらしいけど

*4:山本五十六連合艦隊司令長官になったのも、陸の上にいたら過激派によって命を狙われて危ないから米内光政によって現場に出された、という逸話もあるそうです。理想を言えば山本は軍政家向きなので、海軍大臣としての活躍を望みたいところ。

*5:日露戦争の英霊に申し訳ない」by帝国陸軍