78冊目 『ジャンヌ・ダルクまたはロメ』

ジャンヌ・ダルクまたはロメ (講談社文庫)

ジャンヌ・ダルクまたはロメ (講談社文庫)

前に『傭兵ピエール』を読んだ関連でタイトルに惹かれたのと、たまには短編集もいいかなと思って読んでみました。
短編にしてはやや長めかもしれないタイトル作品から、新聞のコラムといった短いものまでそれなりに楽しめはするのですが、率直に言って佐藤賢一という人は長編向けなのではないかと思いますね。


英仏100年戦争物にしても、ルネッサンス時期のイタリアにしても、素材は興味深い(西欧史は、他の作家でも読むようになったのもあるので)ものの、ちょっと物足りないままで終わってしまうのです。
導入部分とか、短いなりに人物像の描写がいい感じで書かれているのに、「あれ?もうおしまい?」ってのが何度かありましたね〜。


さて、本編とは関係ないけど、意外に文庫の解説が面白かったです。
中には先に解説を読む人もいるのかもしれませんが、私は本編読後に時間があれば斜め読みする程度でして。
粗筋をひたすら追って、付け足したような誉め言葉が書いてある程度ならば読む価値など感じないし、逆に専門的な言葉の羅列で表現がどうこうとこねくりまわしているのも、受け付けない時もあるし。


だけど、今回の石原千秋という人の解説は、歴史小説に対する歴史認識という普遍的なテーマから始まって、佐藤賢一の固有名詞の使い方のうまさに言及していて、なかなか簡潔にしてうまいまとめ方だなぁと思いました。


(えーと、何か今回はレビューになっていませんね・・・)