14冊目 横山信義『鋼鉄のキメラ―八八艦隊外伝』

鋼鉄のキメラ―八八艦隊外伝 (トクマ・ノベルズ)
作者: 横山信義
出版社/メーカー: 徳間書店
発売日: 1996/08

再読である。何と言うか『八八艦隊物語』の一連の外伝の中では、購入直後の感想としては『鋼鉄のメロス』>『瀑龍戦記』>『鋼鉄のガルーダ』に次ぐ評価であんまり読む気は起こらず、実に10年ぶりの再読であった。


内容的に表題である鋼鉄のキメラこと戦艦フロリダ(船体・砲塔は信濃)は実のところ脇役に過ぎない。あとがきで作者が述べているように『八八艦隊物語』から『鋼鉄のレヴァイアサン』への時代の橋渡し役という位置づけであり、要は大鑑巨砲主義が主流であった世界でのキューバ危機を描きたかったのかな、と。登場人物にしたって『鋼鉄のレヴァイアサン』からの登場が目立つ。


まぁ再読してみたものの、横山流・60年代世界の政治・軍事概況が読めたなーという以外、これと言って特筆すべき点は無いですな。この頃は反左翼が露骨だったのを微妙に再確認(笑)。派手なドンパチは無いけど、60年代の兵器体系が見られる仮想戦記は珍しいかもしれない。